歯の色は、生まれつき一人ひとり違っています。ですから、治療で歯に詰め物や被せ物を作る時は、16種類くらいの色見本(シェードガイド)の中からそれぞれに合う色を選んで使っています。
よく「白い歯」といいますが、歯本来の色は真っ白ではありません。歯の色は、歯の内部の象牙質の色が反映されているのです。象牙質は、その名のとおり象牙色。黄色味がかったアイボリー色です。歯の表面はエナメル質と呼ばれる半透明の層で、中の象牙質の色が透けて見えているため、歯の色はもともと少し黄色みがかっているのが自然です。そして、その自然な色こそが日本人の肌の色に合ったキレイな“歯の白さ”なのです。
歯の着色(変色)には、歯の表面にステインと呼ばれる着色性の汚れが付着することで起こるものと、歯の内部が変色し、その色が歯の表面に透けて見えているものとがあります。
内部からの変色の原因は、抗生物質の副作用や歯髄(歯の神経)を抜いたあとの時間経過で起きるもの、加齢や歯の外傷によるものなどです。内部から変色した歯を白くするには歯科医院で治療を受ける必要がありますので、まずは歯科医院で相談してみましょう。
歯の表面にステインが付着して起こる着色は、お茶やコーヒー、紅茶、赤ワインなどの飲み物や、カレーなどの食べ物が原因です。色が濃い飲み物や食べ物には、ステインの原因となるポリフェノール類が多く含まれているため、飲食するたびに歯の表面に蓄積していき、少しずつ黄ばんだりくすんだりしていきます。
だからといって、大好きな飲み物や食べ物を我慢したくはないですよね。ステインは、歯科医院でクリーニング(PMTC)すればきれいになりますから、定期的なクリーニングをおすすめします。また、家庭でも使えるステインを落とす効果がある歯磨剤や、ステインをつきにくくする洗口液などの液体製剤もあるので、上手に活用するとよいでしょう。