【Q】赤ちゃんの肌に湿疹ができました。これって、アトピーですか!?
【A】赤ちゃんが生まれてから比較的早い時期に生じる湿疹は乳児湿疹の可能性が高いですが、症状が続く場合はアトピー性皮膚炎の可能性が考えられますのですみやかに受診しましょう。
アトピー性皮膚炎はあるひとつの要因によって起こるものではありません。その全容はまだわかっていませんが、少なくとも、アトピー性皮膚炎になる人は、「アトピー素因」を持っていることが多いといわれています。
アトピー素因とはアレルギーの病気になりやすい要因のことで、気管支喘息・アレルギー性皮膚炎などにかかったことがある、家族がアレルギー性の病気を持っている、IgEというアレルギーに関する抗体を作りやすい体質などをさします。最近では、アトピー素因(体質)と肌のバリア機能の脆弱性などの遺伝的な要因がベースにあって、その上で、さまざまな環境要因が複合的にかかわると説明されています。
つまり、アトピー素因を持っているからといって、必ずしもアトピー性皮膚炎になるわけではありませんが、特定の食べ物、花粉やダニ、皮膚に残った汗、ストレスなどが刺激となって発症したり悪化したりします。アトピー性皮膚炎になりにくい生活環境に整えることが大切です。
アトピー性皮膚炎の治療は、①薬物療法、②スキンケア、③悪化因子を取り除く、とされています。一方、予防としては、肌バリアを維持するためのスキンケアが重要となります。
毎日のスキンケアの方法も重要です。沐浴や入浴では、石けんをよく泡立てて、泡をお肌に置き、ゴシゴシとこすらず、そっとなでるようにして洗います。お湯の温度は38~40℃と大人が少しぬるく感じる程度がおすすめ。お風呂上りは、1時間以内を目安にできるだけ早めに保湿剤を塗ってください。
汗をかいたまま放置するとアレルギー性皮膚炎が悪化する原因になるので、ガーゼやタオルを肌にそっと置くようにしてぬぐいましょう。衣類などで肌をこすっていないかもチェックしてください。このようなお手入れを2~3日続けてもよくならない場合は受診をおすすめします。
また、かゆみのある湿疹は、アトピー性皮膚炎以外でもできることがあります。「かゆい湿疹ができたからアトピー性皮膚炎だ」と自分で判断して、アトピー性皮膚炎用の薬剤を塗るのは避け、すみやかに皮膚科を受診しましょう。
子どものアトピー性皮膚炎は、成長とともに湿疹ができる場所が変化しやすいという特徴があります。長く続く慢性のアトピー性皮膚炎かどうかは、乳児では2ヶ月以上、それ以上の年齢では6ヶ月以上続いているかどうかで判断します。
「アトピー性皮膚炎がずっと続くの?」と心配になるかもしれませんが、その後も同じ症状がずっと続くとは限らず、年齢とともに改善するケースもあります。反対に、赤ちゃんの頃には症状が出なくても、3歳をすぎて発症する場合もあります。
上でご紹介したスキンケアは、アトピー性皮膚炎の場合だけでなく、お肌をすこやかに保つ基本的な方法です。すでにアトピー性皮膚炎になった赤ちゃんはもちろん、今はアトピー性皮膚炎になっていない赤ちゃんのお手入れの習慣として、ぜひ取り入れてください。
こちらの記事もどうぞ>>
【Q&A】赤ちゃんの肌にも保湿が必要ですか?
肌の乾燥に大きくかかわる「角質層」の厚さはどれくらい?