生後5~6ヶ月頃になると、母乳や育児用ミルクなどだけではエネルギーや栄養素が不足してきます。だからといって、いきなり大人と同じような食事をとることはできません。そこで、まず母乳やミルクに離乳食を少しずつプラスしながら幼児食に移行する「離乳」という段階があります。そして、その時に食べるものを「離乳食」といいます。
離乳食には、栄養補給以外にも、固形物を食べる練習をする、噛む力を育てる、豊かな食経験をするといった役割があることも覚えておきましょう。
離乳食をはじめる目安は、生後5~6ヶ月頃。赤ちゃんの首のすわりがしっかりしてきて、食べ物に興味を示すことも増える時期です。
<離乳食をはじめる頃の赤ちゃんの様子>
離乳食のステップは、お口の発育と連動しています。各ステップでのお口の動きが十分に育ってきちんと身についたと思ったら、次のステップへと進みましょう。お口の発育には個人差があるので、同じ月齢の赤ちゃんと全く同じである必要はありません。
<離乳食の与え方>
最初は1日1回ひとさじずつからスタート。なめらかにすりつぶしたつぶしがゆを、赤ちゃんの様子を見ながら与えます。慣れてきたらすりつぶした野菜や白身魚なども試してみてください。初めての食材は、アレルギーが出た時に備え、病院が開いている時間にひとさじからはじめるとよいでしょう。母乳やミルクは飲みたがるだけあげてください。
<お口の発達>
この頃は、唇を閉じたまま食べ物を取り込み(捕食)、嚥下をして、口に入った食べ物を舌で前から後ろへと送り込むことができるようになる時期です。
<離乳食の与え方>
離乳食をはじめて2ヶ月ほど経ったら、舌でつぶせるかたさの食べ物を試してください。1日2回の離乳食で食事のリズムを身につけ、食の楽しみを覚えていきましょう。
具体的には、穀類(主食)、野菜(副菜)、果物、たんばく質性食品(主菜)を組みあわせて食事らしく。家族の食事から味つけする前のものを取り分けたり、薄味のものを取り入れたりして、いろいろな食材や調理方法を体験させると、好き嫌いを減らすことにつながります。母乳やミルクは食後に飲ませて、母乳は赤ちゃんがほしがる時に、ミルクは1日3回程度が目安です。
<お口の発達>
この時期になると、舌や顎が前後運動から上下運動へ移行し、唇が左右対称に引かれるようになります。食べる時は、平らな離乳食用のスプーンを下唇にのせ、口が閉じるのを待つようにしましょう。
<離乳食の与え方>
1日3食のリズムに整え、家族と一緒に楽しく食べる時間を経験させましょう。歯ぐきでつぶせるかたさのものを与え、食欲があるようなら離乳食の量を増やし、食後には母乳かミルクを。それに加え、母乳は赤ちゃんがほしがる時に、ミルクは1日2回程度を目安に飲ませてください。
<お口の発達>
この頃は、舌で食べ物を歯ぐきの上に乗せて、歯や歯ぐきでつぶせるようになります。左右対称の動きしかできなかった唇は、左右非対称の動きも可能になります。離乳食用のスプーンは、平らなものからくぼみのあるタイプに変えるとよいでしょう。
食べ物をさわる、握るなどの興味が強くなり、「手づかみ食べ」もはじまります。服やテーブルが汚れるのは大変ですが、食べ物への関心を高め、自分の意志で食べようとする行動につながる大切な行為でもあります。やわらかくゆでた野菜スティックやパンなど、手が汚れにくいメニューを取り入れるのも一考です。
「母乳やミルクを飲まなくなったら離乳完了」ではありません。形のある食べ物をかみつぶすことができ、エネルギーや栄養素の大部分を食事から摂るようになった状態が、離乳の完了です。1日3食を習慣化させることも重要です。
補食は1日1~2回程度、母乳やミルクは様子を見ながら。素材の持ち味を生かした薄味の食事を心がけましょう。
そして、「手づかみ食べ」を通して、自分で食べる楽しみを知ってもらいましょう。食べ物を前歯で噛み取り、ひと口の量を覚え、やがて食器を使って食べるようになり、自分で食べる準備をしていきます。