コラム
2019/11/30

知っておきたい!赤ちゃんとジュースとの付き合い方

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時間や量を決めて飲ませるのが基本

離乳食開始後であれば、おやつとして時間を決めて与えるのが基本です。また、砂糖や人工甘味料などが添加されていないものをおすすめします。果汁100%のジュースや野菜ジュースには栄養成分も含まれていますが、糖分も含まれています。ほしがるたびに与えたり、だらだら飲みをしたりすると、肥満やむし歯になりやすくなるだけでなく、満腹感により食事の妨げになってしまうので注意しましょう。水分補給としては水やお茶など甘味や酸味を含まない飲み物を与えるようにしましょう。

ジュースをおやつにする時の注意点

赤ちゃんや子どものカラダには水分の補給も必要です。「ジュースなら喜んで飲むから、おやつとしてだけでなく水分補給にもなるかも…」とつい与えたくなるかもしれません。ジュースを飲ませる時は、間食全体のエネルギーに気をつけましょう。

間食の目安は、食事の総エネルギーの10~15%が望ましく、たとえば1~2歳児では100~150kcalです。ジュースも間食としてカウントされるので、間食のエネルギーが増えすぎないようにするとともに、ジュースだけでおなかが一杯になることがないよう、補食としてパンやおにぎりなどもきちんととるように心がけてください。

砂糖の代わりに人工甘味料を使ったイオン飲料を活用したくなりますが、甘味に対して習慣化してしまうおそれもあります。普段は水やお茶などで水分を補給し、甘いものをだらだら飲まないように気をつけてください。

ジュースをだらだら飲むとなぜダメなの?

ジュースやイオン飲料は、「甘い」とともに「酸性」のものが多く、このふたつの理由から、歯の健康に悪い影響を及ぼします。

むし歯菌は、砂糖をはじめとする糖質をエサにしてネバネバしたプラーク(歯垢)を生み出します。そして、プラークの中で糖質を分解して酸を作り、歯の表面を溶かします。また、しっかり噛んで食べることは食後に分泌される唾液を促し、唾液のはたらきで溶かされた歯の表面を修復します。ところが、甘いものをだらだら飲んでいると、修復が追いつかないため、むし歯に進行しやすくなります。

むし歯以外にも、歯が溶けたり欠けたりする原因として注意したいのが、食べ物や飲み物の酸が歯を溶かすことで起こる「酸蝕(さんしょく)」です。酸性のジュースやイオン飲料を一日に何度も飲んだり、哺乳びんやストローで長時間口に含んだりすると、歯が酸に接触する時間が増えるので、酸蝕を招きやすくなります。普通の食事で酸性の食品を少し食べる程度なら、唾液が酸を中和するので、歯が溶けることはありません。

甘いものを飲んだ後は、歯をみがく、うがいをする、水やお茶を飲むといった習慣を身につければ、むし歯も酸蝕も予防できます。眠っている間は唾液の分泌が減るので、寝る前には、砂糖を含むものや酸味の強いものなどを飲まないようにしましょう。


 
監修/西川伸一(にしかわ しんいち)
医師、医学博士
1948年滋賀県生まれ。1973年京都大学医学部卒業。1980年ドイツ・ケルン大学遺伝学研究所留学。帰国後、京都大学胸部疾患研究所にて助手、助教授を勤めた後、1987年より熊本大学医学部教授、1993年より京都大学大学院医学研究科、分子遺伝学教授を歴任。2013年よりNPO法人オール・アバウト・サイエンス・ジャパン代表理事に就任するとともに、2019年より一般財団法人サンスター財団会長に就任。
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