コラム
2019/11/30

知っておきたい!お肌に棲む菌のこと

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お肌の健康にかかわる「肌フローラ」

腸の中にはさまざまな菌(微生物)が棲んでいます。近年では、菌の種類やバランスが健康に深くかかわっているとして、腸の中の菌のかたまりを示す「腸内フローラ(菌叢:きんそう)」という言葉も知られるようになりました。

実は、腸と同じように、お肌にもさまざまな菌が存在しています。お肌を健やかに保つには、「肌フローラ」を整えることが大切です。

お肌の善玉菌として知られる表皮ブドウ球菌

健康なお肌に導く善玉菌の代表格として知られるのが「表皮ブドウ球菌」です。表皮ブドウ球菌は、皮脂を分解してグリセリンと遊離脂肪酸を生み出します。グリセリンは保湿成分で、遊離脂肪酸は肌を弱酸性に整えるはたらきがあります。また、表皮ブドウ球菌は抗菌ペプチドを分泌することで、悪玉菌である黄色ブドウ球菌の増殖を抑えるはたらきもあります。

悪玉菌として知られる黄色ブドウ球菌

黄色ブドウ球菌は、人間の鼻の中や肌に存在しています。特にアトピー性皮膚炎の湿疹の場所などに多く出てくる傾向があり、黄色ブドウ球菌が作り出すエンテロトキシンという毒素が、炎症を悪化させたりバリア機能を低下させたりします。

表皮ブドウ球菌が弱酸性の環境を好むのに対し、黄色ブドウ球菌は中性~弱アルカリの環境で生育します。

問題を起こすことがあるアクネ菌

アクネ菌は酸素を嫌うため、普段は毛穴や皮脂線の中にいる常在菌です。皮脂を分解してグリセリンと遊離脂肪酸を作り出す性質があるので、肌を弱酸性に保つことに一役買っています。

ですが、思春期やストレスなどにより皮脂の分泌が増えると、それをエサにするアクネ菌が増殖して毛穴を詰まらせて炎症を起こします。これが「ニキビ」です。

お肌の洗浄は適度に

「肌フローラ」についてはまだ研究がはじまったばかりで、アトピー性皮膚炎やニキビとの関係は少しずつわかってきていますが、菌が何をしているのかまではわかっていないことが数多くあります。

一般的に、お肌のトラブルの予防や改善には、肌を清潔に保ち、保湿することが有効です。これは、刺激となる物質を除去して悪玉菌の増殖をしにくくすることにつながります。しかし、だからといって洗いすぎはお肌のバリア機能を痛め、本来の菌のバランスを崩す可能性もあります。洗浄による摩擦や洗浄成分が肌への刺激となることもあるので、洗いすぎはNGと覚えておきましょう。


 
監修/西川伸一(にしかわ しんいち)
医師、医学博士
1948年滋賀県生まれ。1973年京都大学医学部卒業。1980年ドイツ・ケルン大学遺伝学研究所留学。帰国後、京都大学胸部疾患研究所にて助手、助教授を勤めた後、1987年より熊本大学医学部教授、1993年より京都大学大学院医学研究科、分子遺伝学教授を歴任。2013年よりNPO法人オール・アバウト・サイエンス・ジャパン代表理事に就任するとともに、2019年より一般財団法人サンスター財団会長に就任。
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