



洗顔、歯みがき…いつも何ごともめいっぱいがんばる星子さん。もうすぐ梅雨時ということもあり、ふとん干しにも一生懸命。「ジメジメしたふとんは嫌!そういう寝具だと、寝つきも悪いし、朝起きて気合いが入らないんです」。
ということで、もう少し寝ていたいというパートナーの太陽さんのふとんをひっぺがしたりすることもしばしば。でも、ふとんをベランダに干すのは体力も必要だし、仕事中に天気が悪くなると雨が心配で気が気じゃない。スッキリするはずのふとん干しが、めいっぱいやることでむしろモヤモヤに。
ただでさえ忙しい朝、雨の心配もあるこの時期。あんまり無理しても…ということで今回は、適度なふとん干しの方法を、家事と暮らし方のプロフェッショナル、高橋ゆきさんに聞きます!
今回の相談相手
- 高橋ゆき(たかはし ゆき)
- 家事代行サービス 株式会社ベアーズ 取締役副社長。家事大学設立・学長。家事研究家、日本の暮らし方研究家として、テレビ・雑誌などで幅広く活躍中。2016年のTBSドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」では家事監修を担当。
ふとん干しの目的は「最幸」の睡眠のため!
先生。私、やりすぎなんでしょうか?
いえいえ、とても素敵な心がけですね。そもそもなぜふとんを干すかといえば、気持ち良い睡眠をとるため。最上級の睡眠、私はこれを「最幸睡眠」といっています。
幸せな睡眠!そうですね。ついふとんを干すことが目的になってしまっているような気がしますが、目的は幸せな睡眠のためですよね。
人間というのはとても寝汗をかくんです。通勤やスポーツの時は平均で200ml~400ml。これが寝ている時には500mlともいわれているんです。
え!?そんなに寝汗をかくんですか!
じめじめしたままだと「最幸睡眠」にはなりませんから、できるだけ、換気をして、お日様にあてて、ふとんが乾いた状態で寝たほうがカラダにも、心にもいいんです。
そうするとやはり毎日干すことが必要ですよね?
いえいえ、まずは「愛がモリモリ」している時だけでも大丈夫ですよ。
あ、素敵な言葉!
循環なんです。幸せな睡眠が体感できれば、自然に干したいな、という気持ちになって、そうすると自然にやろうかなって思えます。だから無理せず簡単にできることからはじめましょう。もっと家族みんなでいい睡眠を取りたいなと思うと「愛がモリモリ」してきますよ。
外に干さなくても大丈夫。こんな工夫でらくらくに
では、無理なくできるアイディアはありますか?
3段階で考えましょう。1段階目はちょっとした工夫でできることです。陽があたる窓際に椅子を背中あわせに、1m~1.5mぐらい開けて並べ、そこにふとんをブリッジのようにかける。枕もそこにおいていただいて。まずはこれだけ。「天日干しもどき」です(笑)。大事なのは乾燥して気持ちの良い布団に寝ること。もどきでもいいんです。
それだけでもいいんですね!外に干すと、花粉やホコリが心配。それに梅雨時や、最近は夏でも突然の雨が降るので気になって仕事中も不安ですし。

椅子を並べて窓際に干すだけの「天日干しもどき」でも十分。
あとは洗濯物の部屋干し用の竿を利用して、掛けぶとんなど重くない寝具をかけるといいですね。干す時間がない場合は、出かける前に掛けぶとんを足もとに3つ折りにたたんで置き、敷きぶとんを空気にあてましょう。
そうか、まずは空気にあてることが大切なんですね。万年床をはがすと畳が染みになっているのは湿気が原因と聞きます。
そうなんです。水分がたまってしまうのを避けたい。ですから空気の通り道を作ってあげる。ベッドの場合、ベッドと台の間、四隅に雑誌2冊ずつを挟むだけでもいいんです。四隅が無理なら上下2か所でもマットが浮きますよ。もちろん寝る前には抜いてください。
干すことは陽に当てることと思っていましたけど、空気にあてる、湿気をとばすということも重要ということがわかりました。
季節や忙しさで3段階の使いわけ
1段階目は、工夫と習慣でできそうです。2段階目はどのようなことでしょうか?
2段階目は道具を利用する。ドラム式の乾燥機を使えばダニやハウスダストを除去できます。またふとん乾燥機も便利です。帰宅してセットしておけば、寝るまでにはクールダウンしていますから。朝全部やる必要はないんです。最近はふとん乾燥機も進化していて、自分の好きなアロマをセットできるものもあります。楽しそうでしょう?
好きなアロマ、ふわふわのふとん。いい眠りにつけそうです。
3段階目はお金で時間と健康を買う。家事代行サービスに、風通しから布団干し、さらに除菌してダニやフケを除去してベッドメイキングまでしてもらうのもいいですね。起き抜けで出かけて行っても、お帰りまでの間に終わっていますから。
3段階を意識すれば無理なくできそうです。枕も同じように乾燥を意識したほうがいいですよね。

そう、寝具は人にいろいろな影響を与えます。枕を放置しておくと呼吸器にまで影響があるんです。
呼吸器ですか!?
はい、頭の寝汗が原因で、湿気が枕にたまると枕の中にカビが生えてしまい、それが影響を及ぼすのです。特に頭の寝汗が多い小さなお子様は注意です。ぜひ乾燥させてください。
それからお肌。掛けぶとんは顔に直接触れていますから、肌あれの危険もあります。ストレスが原因ではなくふとんが原因の場合があるので、しっかり洗って、乾燥させてください。
良い睡眠が健康につながるんですね。
ふとんを干すことが目的ではないんです。干すことは手段。家族で気持ちよく良い睡眠をとって健康に生きるために、ふとんを干すのですから。
最後に、干しすぎることでのデメリットってありますか?
やりすぎということはないですよ。問題は、無理にがんばって干すこと。なんで私がやらなきゃいけないんだ、という気持ちになってしまったら残念。あとは、面倒だと思ってやっていて腰を痛めるなんていうのも嫌ですよね。
無理なく、できることをするのが大切なんですね。がんばりすぎずに工夫しながらやっていきます!
取材・記事 岩瀬大二
撮影 石原敦志
イラスト なとみ みわ
