「ドライマウス(口腔乾燥)」とは、その名のとおり“お口の中が乾燥してしまうこと”をいいます。
お口の乾燥の原因は、放射線障害やシェーグレン症候群といった病気から、ストレスや薬剤の副作用などで唾液が産生しにくくなるために起きるもの、また、お口で息をするためにお口の中の乾燥感を感じるものまでさまざまです。
その度合いは軽度から重度までと幅広く、軽度の場合、本人が気づかないケースも多いと考えられます。
ドライマウスの主な原因
(1)がん治療
化学療法と放射線治療の2つがあり、これらの治療によって唾液の産生が低下することがあります。
(2)シェーグレン症候群
唾液腺が自身のリンパ球によって破壊されることで、お口や眼の粘膜が乾燥する病気です。
(3)糖尿病
食べ物から分解された糖分が体内に吸収されにくくなり、血液中に糖分が溜まってしまう状態が続く病気です。血糖のコントロールが悪いと、糖を含んだ尿を大量に排出するため、体内の浸透圧が上昇し、お口の乾燥を引き起こします。
(4)薬の服用
一般的な医薬品(花粉症の薬や高血圧のための降圧剤など)の3割に、唾液の産生を抑える副作用があることが報告されています。
ドライマウスの主な症状
お口が渇く
のどが渇く
お口がネバネバする
パンなどの乾いたものが食べづらい
味覚がおかしい
唇が渇く
お口の中が痛い
喋りづらい
よく咳き込む ⇒ 摂食・嚥下障害につながる
むせる ⇒ 摂食・嚥下障害につながる
「これくらいなら水をひんぱんに飲めばいいんじゃない?」と思われるかもしれませんが、ことはそれほど簡単ではありません。唾液は、“ただの水”ではないからです。唾液には、潤滑作用や、食べ物を飲み込むために食塊を作る作用、洗浄作用などの大切な役割があります。これらがはたらきづらくなるわけですから、ドライマウスの状態が長期間続くと喋ることが困難になり、食事をするのも難しくなります。さらに口臭に悩まされ、カラカラに乾燥したお口の中がヒリヒリ痛んで…というように、苦痛を味わうことになってしまいます。
最近では、ドライマウスの治療に対応する歯科医院も増えてきました。「お口が乾燥する」と感じたら、歯科医院や薬剤師さんに相談してみましょう。