網膜症は、眼球の中にあってカメラのフィルムの役割をする視神経の膜(網膜)が傷んでしまう病気のことです。高血糖状態が続くと、網膜内の血管壁が次第にもろくなり、視力低下や失明を引き起こすこともあります。
糖尿病の合併症はいろいろありますが、ここでは代表的なものを6つ紹介します。いずれも、血糖コントロールがうまくいかずに「高血糖」の状態が続くことで引き起こされますので、できるだけ毎日の血糖コントロールを心がけ発症しないようにしましょう。
網膜症は、眼球の中にあってカメラのフィルムの役割をする視神経の膜(網膜)が傷んでしまう病気のことです。高血糖状態が続くと、網膜内の血管壁が次第にもろくなり、視力低下や失明を引き起こすこともあります。
腎症は、腎臓の機能が損なわれてしまう病気で、血液をろ過し、老廃物を排泄する働きをする腎臓の糸球体という部分の血管障害が原因で起こります。糸球体はたくさんの毛細血管でできていて、高血糖状態が続くとこの毛細血管が硬くなり、血液のろ過機能が低下します。腎症を放置すると、最終的には、腎臓の機能が停止する腎不全に陥ります。
神経障害は、身体のすみずみに広がっている末梢神経の働きが低下する病気です。高血糖だと血液が流れにくくなり、神経に栄養を伝える毛細血管の中をスムーズに通ることができなくなるため起こります。末梢神経には、痛みなどを感じる「知覚神経」、筋肉を動かす「運動神経」、内臓の働きを整えたり体温を調節したりする「自律神経」の3つがあり、この3つの神経の働きが低下してくるために手足のしびれなどの自覚症状があらわれてきます。進行すると、温度や痛みを感じにくくなります。
心筋梗塞は、心臓の要である冠動脈という血管が高血糖による動脈硬化によって狭くなってしまい、つまってしまう病気です。高血糖が続くと動脈硬化が進行しやすくなり、心筋梗塞のリスクも高まります。心筋梗塞になると、血流が悪くなると心臓の筋肉が酸素不足になり、胸の痛みや息苦しさに襲われます。冠動脈が完全につまってしまう「閉塞」という状態になると、血液が行き渡らなくなり、心臓の細胞が死んでしまうため、心臓から全身に血液が送る力が弱まる「心不全」になってしまいます。
高血糖によって動脈硬化が進みやすくなると、脳梗塞のリスクも高まります。脳梗塞は、動脈硬化で脳の細い血管がつまってしまうことによって起こる「脳血栓症」と、脳以外の血管にできた血栓が血管を通して脳まで流れてきて起こる「脳塞栓症」があります。いずれも、脳組織に血液が行き届かなくなり、細胞が死んでしまうため、めまい、言語障害、身体の片方だけがしびれる状態などが引き起こされます。
歯周病も、他の合併症同様、高血糖により、ハグキの血管が傷んでしまうことによって進行しやすくなります。また、歯周病の細菌に抵抗する力が弱まることも、悪化につながります。歯周病だとハグキから様々な菌が血液に入りこみやすくなり、糖尿病を悪化させることにもつながります。日本は「歯周病大国」と呼ばれており、35歳以上の約80% が歯周病だと言われています。糖尿病だとさらにその比率が高まり、95%が歯周病です。他の合併症ほど知られていませんが、糖尿病だと歯周病になりやすく、また、歯周病だと糖尿病を悪化させると考えられています。歯周病と糖尿病は、相互に関連し、悪影響を及ぼしあうのです。