コラム
2017/12/18

腸内フローラだけじゃない、口内フローラにも注目を!~研究員が教える豆知識 VOL.5~

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こんにちは。サンスター研究員の関根です。

研究員が教える豆知識 第5弾の今回は「口内フローラと健康」についてご紹介します。

腸内フローラとは?

腸内フローラ』という言葉を聞いたことがありますか?

私たちの体にはたくさんの細菌が住んでいて、私たちはこれらの細菌と共生しながら生活しています。特に腸には1000種類以上、100兆~600兆個もの細菌が住んでいます。細菌が種類ごとに集まって存在している状態は、花畑に例えられることから『フローラ』と呼ばれ、腸に存在する細菌の集まりは「腸内フローラ」と呼ばれています。

腸内フローラと健康

腸は、食べ物の消化・吸収といった働きだけではなく、入ってきた病原体から体を守る免疫にも関わっています。この体を守る働きには腸内フローラが関わっていて、何かしらの影響でこの腸内フローラのバランスが崩れることが、様々な病気につながることが、最近の研究から分かっています。

腸内フローラと関わっているものの1つが「肥満」です。肥満の人と肥満でない人では、腸内フローラに違いがあることが分かっています。また、肥満の人が食生活を変えることで、体重が減るだけでなく、肥満でない人に似た腸内フローラに変化し、肥満の人に特有の代謝異常や炎症が改善することも分かっています。

このように、腸内フローラのバランスが全身の健康と関わっていることが明らかになってきており、腸内フローラを使った病気の治療も研究されるようになってきています。

口内フローラと歯周病

フローラが存在するのは、腸だけではありません。実は、口の中にも約700種類、数千億個もの細菌が住んでいて、腸と同じようにフローラを形成しています。これを『口内フローラ』といいます。700種類の細菌の中には、私達の体に良い影響を与えるものから悪い影響を与えるものまで様々ですが、これらたくさんの種類の菌がバランスを保って存在することで、口内フローラは成り立っています。

少し復習となりますが、歯周病は細菌が原因で起こる感染症であり、歯周病菌によって歯グキが炎症を起こし、歯を支える骨が溶け、最終的に歯が抜け落ちてしまいます。

歯周病の原因となる細菌の1つに、ジンジバリス菌というものがありますが、最近の研究によって、この歯周病の原因菌は歯グキや歯を支える骨など(これらを歯周組織と呼びます)にダメージを与えるだけでなく、口内フローラのバランスを崩す原因となることが分かってきました。

口内フローラのバランスが崩れることで、歯周病の原因菌がさらに増殖しやすい環境となり、歯周組織の破壊が進行して、歯周病の重症化が引き起こされてしまうのです。このように、口内フローラも腸内フローラと同様、そのバランスが重要だということがわかりますね。

口内フローラと全身の関係

歯周病と糖尿病の関係については、このサイトでも以前にもご紹介しましたが、歯周病は糖尿病だけでなく、肥満などさまざまな全身の健康状態とも関係しています。そして、その歯周病と全身の健康の関係に、口内フローラや腸内フローラが関わっている可能性が報告されています。

口内フローラがどのように関わっているかというと、(1)まず、口内フローラのバランスが崩れると、歯周病の原因菌が増えます。(2)そして、食べ物や唾液と一緒にこの歯周病の原因菌を取り込むことによって、腸内フローラのバランスも崩れてしまいます。(3)これにより腸のバリア機能が低下し、そこから血液中に入った細菌が出す毒素が、様々な臓器に流れ込んでしまいます。(4)その結果、全身の炎症や代謝の異常が起こり、メタボリックシンドロームのリスクが高まる可能性があるのです。

口内フローラのバランスを保つことは、口の中だけでなく、全身の健康の維持にも重要なんですね。

口内フローラを整えるためには?

このように、様々な病気と関連している可能性がある口内フローラですが、口の中をいつも清潔にし、歯垢の少ない状態をキープすることで、口内フローラのバランスを保つことができます。

口腔フローラの崩れを予防するための基本は、毎日の歯みがきです。特に糖尿病患者さんの場合は、日中でもお口が渇きやすく、細菌が繁殖しやすい環境となっています。歯周病の原因菌は、歯周ポケットに潜んでいるので、歯だけでなく、歯と歯グキの境目を丁寧に磨くように意識するだけでも、いつものブラッシングが変わってくると思います。また、歯間ブラシなどの歯間清掃具の併用で磨き残しを減らすことも重要です。

サンスターでは現在、口内フローラに着目し、国内外の研究機関と協力して研究を進めています。口内環境を整えることは、全身の健康維持につながります。 お口と全身の関係について、サンスターはこれからも様々な取り組みを行っていきます。

※このコラムは、「糖尿病とうまくつきあう」サイトに掲載されたものです。
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