これまでもウォーキングして得られる嬉しい効果をいくつかお伝えしてきましたが、今回はこんなニュースをお届けします。
おさんぽなどの運動を毎日行うことで、高血圧や糖尿病などの生活習慣病の予防や改善に役立つことはこれまでもお伝えしてきましたね。みなさん運動はされていますでしょうか?
今回ご紹介する内容は、米国立がん研究所(NCI)、米国立衛生研究所(NIH)、米国がん学会(ACS)などの研究チームが144万人を対象とした大規模な研究で明らかにした、がんの予防効果です!
研究チームが米国や欧州で行われた観察研究を元に調査・解析したところ、ウォーキングなどの活発な運動を週に5日以上行っている人は、運動をほとんど行っていない人よりもがんの発症リスクが20%低下することがわかったそうです。
この研究では、食道腺がん、肝臓がん、肺がん、腎臓がんなど13のがん発症リスクの低下が示されました。がんの種類によって低下するリスクの割合は違いますが、ウォーキングは体のあらゆるところに良い影響を与えるといえそうですね。
なぜウォーキングなどの運動ががんのリスクを低下させるのでしょうか。そのメカニズムについての研究も進んでいるようです。
がんの発症リスクが高くなるメカニズムのひとつに、肥満や運動不足などによって引き起こされる「高インスリン血症」が影響していると考えられています。
「高インスリン血症」とは、インスリンの作用低下(インスリン抵抗性)による高血糖を抑えるために、インスリンが過剰に分泌されることによって起こる状態です。この状態では、インスリンをたくさん分泌することで低下したインスリンの作用をカバーしているため血糖値はそれほど高くなりませんが、高血圧や動脈硬化などが進行しやすくなります。
インスリン抵抗性がある人では、肥満や中性脂肪の高値、善玉のHDLコレステロールの低値なども多くみられます。さらに、高インスリン血症が続くとインスリンの作用がさらに低下するという悪循環に陥り、やがて血糖値が上昇し、2型糖尿病の発症につながります。
つまり、
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インスリン抵抗性が高まる → 高インスリン血症 → 高血圧や動脈硬化が進行しやすくなる。肥満や、中性脂肪やコレステロールの異常も増える → さらにインスリン抵抗性が高まる
という負の連鎖が起こるのですね。
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他にも、細胞から分泌される「サイトカイン」と呼ばれるタンパク質が慢性炎症を引き起こし、がん細胞がさらに増殖しやすくなってしまうということもあります。
また、女性ホルモンであるエストロゲンや、男性ホルモンであるテストステロンなどの性ホルモンの分泌が乱れるとがん細胞の発育が促されてしまいますが、運動をして体脂肪を減らすことにより、これらのホルモン分泌が調節され、がんリスクが低下することもわかっています。
つまり、がん細胞が増殖しやすい「高インスリン血症状態」や「ホルモン分泌の乱れ」を改善するには、毎日の運動が効果的ということですね!
一方で、運動する頻度の高い人は、「悪性黒色腫」(メラノーマ)や前立腺がんの発症リスクが高いことも明らかになっていますが、メラノーマについては、「運動をよくする人は外に出る機会が多い傾向にあり、日焼けによって皮膚がんを発症するリスクが上昇するおそれがある」と、米国立がん研究所のムーア氏は述べています。
おさんぽのうれしい効果はまだまだ見つかりそうですね。おさんぽや糖尿病治療もそうですが、何事も自分のペースで継続することが大切だと改めて感じたたまきでした。
がんは早期発見が大切だと言われていますが、たくさんの人ががん検診を受けることで、がんの発症率は増えますが死亡率は減少するという傾向が欧米で実際に見られているそうです。
運動などの日常の習慣に合わせて、定期健診も忘れずに、積極的に行ってくださいね。
※引用元:糖尿病ネットワーク
ウォーキングが13種類のがんのリスクを減少 運動でがんを予防 - 2016年05月24日
http://www.dm-net.co.jp/calendar/2016/025498.php
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