今回は、糖尿病の治療に関するニュースをお届けします。
みなさん、「世界保健デー」をご存知ですか?世界保健機関 (WHO) が設立された1948年4月7日を記念して、1950年以降毎年4月7日は「世界保健デー」と定められました。テーマは毎年変わるのですが、2016年世界保健デーのテーマが「糖尿病」だということはご存知でしょうか?
ちなみに、2015年のテーマは「食品安全:あなたの食べ物はどれくらい安全ですか?」2014年は「節足動物が媒介する感染症から身を守ろう」でした。テーマが幅広いですね。
その「世界保健デー」に合わせて、英国糖尿病学会(Diabetes UK)は「糖尿病患者が受ける治療」について15項目のチェックリストを発表しました。
では早速チェックリストを見ていきましょう。いくつ実行できているか数えてみてくださいね。
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1.血糖値とHbA1c値をはかる
血糖値のコントロールを良好に維持することで、様々な合併症を防ぐことができます。医療機関で検査を受け、目標値など医療従事者と相談しましょう。
2.血圧値をはかる
血糖値と血圧値が高いと、動脈硬化や心筋梗塞などの危険性が高くなります。簡単に家で血圧を測定できる家庭用血圧計もたくさんあるので、1ヶ月に1回以上ははかりましょう。血圧値は年齢によって変化し、目標値も変化するので、自分の目標値を知っておくことも大切ですね。
3.コレステロール値をはかる
悪玉のLDLコレステロール、善玉のHDLコレステロール、中性脂肪は食事や運動の影響を受けやすく、これらの数値が高い場合、薬による治療が必要となることがあります。血糖値と血圧値と同じように、コントロール目標も医療従事者と相談しましょう。
4.眼の検査を受ける
糖尿病網膜症は糖尿病の三大合併症の1つです。以前9割が気付いていない緑内障!自分は大丈夫だと思っていませんか!?でもお伝えしましたが、定期的な眼科の検査を受け、適切な治療を続けることが大切です。
5.足をチェックする
つい先月とっても簡単!足病変リスクを今すぐチェックしよう!でも糖尿病足病変についてのニュースをお伝えしましたね。足のチェックを定期的に行い、気になることがありましたら医療従事者に相談しましょう。
6.腎臓の検査を受ける
腎機能を調べる方法には血液検査と尿検査の2つがあり、血液検査ではクレアチニンを尿検査では微量アルブミンを確認します。
アルブミンは糖尿病のごく初期に尿中に少量もれてくるタンパクですが、通常の尿検査では分からないため、少なくとも年1回、できれば半年に1回は微量アルブミン尿検査を受けることが大切です。
7.管理栄養士に相談する
糖尿病の食事療法は、食べたいものを我慢することではなく、食事のカロリーと栄養バランスを適切にコントロールすることが大切です。体重コントロールの目標がある人は、ウエスト周囲径もはかり、得られた値について管理栄養士に相談しましょう。
8.心理的なサポートを受ける
糖尿病は一度発症すると完治することはなく生涯つきあっていく必要があるため、自己管理(セルフケア)が重要ですが、ずっとつきあう中で疲れてしまうこともあります。そのため、不満や自分の感情をありのままに受けとめ、共感し、サポートする体制が必要です。
9.糖尿病教室に参加する
糖尿病療養を支援する糖尿病教室は各地で開催されています。分からないことを理解する良い機会です。また、同じく各地で開催される患者会は、糖尿病の治療に取り組む仲間に出会え情報交換などができますので、こちらも参加してみてはいかがでしょうか。
10.糖尿病のチーム医療
糖尿病の治療では、医師、看護師、管理栄養士、薬剤師、理学療法士、臨床検査技師などが連携をとりながら対応しています。相談しやすい医療スタッフの方に相談しましょう。
11.インフルエンザの予防接種を受ける
以前、知っておきたいインフルエンザ予防!ワクチン+5つの対策とは!?でお伝えしましたが、血糖コントロールが良くない状態が続くと、体の免疫機能が低下する場合があります。糖尿病の方はそうでない人に比べ、インフルエンザにかかる危険性が高いという報告もありますので、インフルエンザの流行シーズンが近づいたら、インフルエンザの予防接種を受けましょう。
12.教育入院は重症患者に限らない
教育入院で指導や学習を受けることにより血糖値を低くすることができ、糖尿病の悪化を防ぐことにつながります。教育入院は全国の医療機関で行われているので積極的に活用しましょう。
13.糖尿病患者が抱える性の問題
血糖コントロールが不良であると血管障害や神経障害が起こりやすいことが一因となり、性的な問題を引き起こすおそれがあります。しかし現在は、「性機能の低下」を治療する方法もあります。
14.禁煙する
もしあなたがタバコを吸っているのなら、やめましょう。健康保険を適用して、禁煙治療を受けることができるので具体的な禁煙の方法について、医師に相談しましょう。
15.糖尿病の人も妊娠は可能
糖尿病の人であっても、計画妊娠によって健康な人と同じように妊娠・出産ができます。ただし、妊娠前からいろいろ注意が必要なため、妊娠を希望する人は糖尿病専門医に相談しましょう。
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いかがでしたでしょうか。実行できていない項目があれば、かかりつけの医師や医療スタッフに相談してみてください。8.に「心理的なサポートを受ける」とありますが、このコミュニティで同じく糖尿病治療をしている仲間と出会い、コミュニケーションをとることで、少しでも治療中の不安が和らげばうれしいです。
また、今回のニュースでは歯周病についての内容がありませんでしたが、オーラルケアをすることは「7.管理栄養士に相談する」にある、食事の満足感を高めることやおいしさを感じることに大きくかかわります。オーラルケアも忘れずに行ってくださいね。
※引用元:糖尿病ネットワーク
これだけ守れば糖尿病の治療は上手くいく 「15項目のチェックリスト」 - 2016年05月14日
http://www.dm-net.co.jp/calendar/2016/025453.php
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