今回は、加齢とともに対策が必要となる、こんなニュースをお届けします。
みなさんは「サルコペニア」という言葉をご存じでしょうか。「サルコペニア」とは、サルコ(筋肉)とペニア(減少)を組み合わせた言葉であり、加齢とともに筋肉の量が減少し、筋力や身体機能が低下した状態のことです。
筋肉量が一定以下まで低下すると、食事や排泄、移動、入浴などの日常生活動作に支障をきたし、寝たきりや転倒骨折などを起こすリスクが非常に高まります。
「最近、階段を上がるのがつらくなってきた、ついエレベーターを使ってしまう」という経験はありませんか?さらに運動不足の場合は、「サルコペニア」のリスクが高いといえます。
そのサルコペニア(筋肉の減少)と、肥満(体脂肪の増加)が重なって起きる「サルコペニア肥満」があります。高齢者の10%以上でサルコペニアが認められますが、糖尿病患者のサルコペニアの割合は3倍に上昇するといいます。
さらに、その1割はサルコペニア肥満であり、サルコペニア肥満の人はそうでない人に比べ、介護が必要となる割合が10倍に上昇するそうです。そのため、「サルコペニア肥満」が近年問題となっています。
2週間の運動不足で筋肉が○%も減少!失った筋肉を取り戻すにもとっても時間がかかります!というニュースでもお伝えしましたが、たった2週間の運動不足で20%以上の筋力を失ってしまいます。さらに、失った筋肉を取り戻すにはとても時間がかかります。
運動をする習慣がないと、筋肉は20~30歳代から少しずつ減ります。そうすると、エネルギーを多く使う筋肉が減り、使われずに余ったエネルギーは脂肪に変えられて体に溜まりやすくなってしまいます。サルコペニア肥満の場合、BMI(体格指数)が標準であっても、筋肉だった部分が脂肪に置き換わっている人が多いようです。
つまり、
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加齢で筋肉が減りやすい + 運動不足
⇒ サルコペニアが進行
⇒ 動くのがますますおっくうになり、脂肪が溜まる
⇒ 「サルコペニア肥満」が進行する
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という悪循環に陥ってしまいます。
サルコペニア対策として、もっとも手軽で効果的な方法はやはり運動です。運動によって、筋肉をつけながら余分な脂肪を落とすことができます。運動の中でもスクワットや腹筋運動など、筋肉に負荷をかけた動作を繰り返し行う「レジスタンス運動」が効果的です。筋肉は、鍛えると何歳になってからでも強く大きく発達させることができるうえ、筋肉が増えると基礎代謝もアップするので、血糖コントロールも改善することが期待できます。
また、高齢の方の負荷量は若年者ほど高くなくてもよいと考えられているようです。全身の筋肉の7割が下半身にあるため、効率よく筋肉を増やすポイントは下半身の筋肉を刺激すること!「片脚立ち」や、やり方によって負荷を変えられる「スクワット」などで無理のない運動を続けることが重要ですね。
筋肉を育て、脂肪を減らすためには、食生活の工夫も大切です。カロリーを控え、バランス良く栄養を摂ることが基本ですが、さらに筋肉をつくるために大切な良質のタンパク質を積極的に摂る必要があります。
しかし、高齢になると筋肉の材料になるアミノ酸を含む動物性タンパク質をあまり摂らなくなる傾向があるので、意識して摂らないといけないそうです。運動した直後にタンパク質を摂取すると、サルコペニア肥満の予防効果はいっそう高まるという研究報告がありますので、積極的に摂りいれていきたいですね。
さらに、糖尿病だと骨折リスクが2倍! その予防策とは!?でもお伝えしましたが、糖尿病の方は血糖コントロールの悪い状態が続くと、骨が弱くもろくなり、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)になりやすく、骨折もしやすくなってしまうのだそうです。デンマークで行われた研究によると、糖尿病でない人と比べて、1型糖尿病の方は6~7倍、2型糖尿病の方は1.5~2倍、骨折リスクが高いといわれています。
骨粗鬆症予防にも、運動と食事が重要です。
・ウォーキングや階段昇降など、無理のない運動を継続して行う
・乳製品、小魚、大豆製品、青菜などカルシウムが多く含まれる食品を摂る
・ビタミンDを活性化させるために手や足に1日30分から1時間程度、日光を浴びるようにする
などが良いといわれていますので、出来ることから取り入れていただければと思います☆
様々な症状を改善・予防するには、やはりウォーキングなどの運動の継続と、良質な食事療法の継続が不可欠のようですね。
※引用元:糖尿病ネットワーク
「サルコペニア」「骨粗鬆症」に食事と運動で対策 筋肉と骨を鍛えよう - 2016年06月03日
http://www.dm-net.co.jp/calendar/2016/025530.php
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