毎日のウォーキングにはたくさんのメリットがあるというお話は、今までもこの糖尿病ニュースでお伝えしてきましたね。今回は、おさんぽ効果に関するこんな記事をご紹介します。
運動をするとブドウ糖がすぐ消費されて血糖値が下がります。そして運動を習慣にすると、血中のブドウ糖の量をコントロールするインスリンが効きやすい体質に変わります。
さらに、運動には「体重が減る」「血圧が下がる」「中性脂肪が減る」「筋力や心肺機能が向上する」ほか、これまで糖尿病ニュースでもお伝えしてきた、さまざまなメリットがあります。
糖尿病治療のために、ジョギングなどの激しい運動をいきなり始める必要はなく、1日約2kmのやや活発なウォーキングでも、継続することで体は変化します。都心部では、駅ひとつ分が2kmくらいですので、それくらいのウォーキングであれば、毎日続けるのが苦にならないですね。
米国デューク大学医療センターは、空腹時血糖値が95~125mg/dLと高い糖尿病予備群と判定された45~75歳の男女150人を対象に、以下4つのグループに無作為に分けて、運動に6ヶ月間取り組むという研究を行いました。
グループ(1):「糖尿病予防プログラム」
やや活発なウォーキングを週に12kmと、脂肪とカロリーを抑える食事療法
グループ(2)
速いペースのウォーキングを週に12km
グループ(3)
速いペースのウォーキングを週に18.4km
グループ(4)
ジョギングを週に12km
6ヶ月後、参加者にブドウ糖負荷試験を行い血糖値を測定した結果、推奨される「糖尿病予防プログラム」であるグループ(1)が、空腹時血糖値が9%低下し耐糖能が改善しており、 もっとも効果的であることが判明しました。
グループ(2)は空腹時血糖値が5%改善、グループ(3)は7%の改善にとどまりました。そして、もっとも効果が少なかったのは、ジョギングをしたグループ(4)であり2%の改善となりました。
つまり糖尿病予備群の人でも、中強度の運動を長時間行った方が、高強度の運動を短時間行うよりも、血糖値が上昇しにくくなる効果を得やすいことが明らかになりました。
「糖尿病を改善するためのウォーキングは、ふだん歩いているよりもやや活発に行うと効果的だと分かりました。これに、糖尿病予防プログラムのゴールドスタンダードである、脂肪と摂取エネルギーを抑える食事療法を加えると、はじめて効果を発揮します」と、代表研究者のクリス スレンツ氏は言っています。
ウォーキングなどの運動は、ただ行えばよいわけではなく、効果的なやり方があります。「活発なウォーキングなどの中強度の運動を1日30分以上かけて行うと、体脂肪が燃焼しやすくなります。体が慣れてきたら、運動強度を少しずつ上げていくと、効果はさらに高まります」と、クラウス教授はアドバイスしています。
ふだん運動をしていない人がいきなり活発な運動を始めると、体に負担がかかり危険が伴う場合があるので、無理のない程度から始めるのがよいですね。
糖尿病の治療を難しく考える必要はなく、「毎日の生活にウォーキングをする時間を少し付け加える」、「高脂肪の食品を避けて、食事全体のカロリーも少し減らす」。
これだけの工夫をするだけでも、毎日続ければ体は変化します。
そうなんです。毎日の生活で変えることはほんの少しでも、それを継続するということが肝心なのです。
活発なウォーキングが難しければ、まずはゆっくりおさんぽから始めて、歩くことを習慣化してみてはいかがでしょうか。
※引用元:糖尿病ネットワーク
ウォーキングはジョギングより効果的 血糖を下げる運動は簡単 - 2016年07月22日
http://www.dm-net.co.jp/calendar/2016/025740.php
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