今回は、見た目だけでは判断できない生活習慣病の危険性について、こんな記事をご紹介します。
体重と身長から肥満度を判定する「BMI」、みなさん、ご自身のBMIを知っていますか?このBMIによる肥満の基準は、日本では「BMI 25以上」ですが、海外では「BMI30以上」とされています。
最近の研究で、日本を含むアジア人は、BMI25未満でも、2型糖尿病などの生活習慣病(代謝異常)にかかる危険性が高いことが明らかになりつつありますが、今回、順天堂大学代謝内分泌内科学・スポートロジーセンターの田村准教授らが100人以上の日本人男性を対象に行った調査により、太っていなくても代謝異常を生じている人は、筋肉の質が低下していることが明らかになりました。
「インスリン抵抗性」とは、血糖を下げるホルモンであるインスリンの感受性が低下して、インスリンが効きにくくなった状態を指します。脂肪の多くは皮下や内臓などの脂肪組織に蓄えられますが、それ以外の筋肉や肝臓などにも蓄積されます。
これまでの研究で、肥満でなくとも肝臓や骨格筋といったインスリンが作用する臓器に脂肪が蓄積するとインスリン抵抗性が生じることや、アジア人は痩せていても脂肪肝になりやすいことなどが示されていましたが、日本人での詳細は不明でした。
そこで田村好史准教授らの研究チームは、日本人の非肥満者を対象に、インスリン抵抗性と代謝異常、異所性脂肪蓄積の関連性などについて調査しました。
研究チームは、対象者の肝臓及び骨格筋のインスリン抵抗性を測定し、心血管代謝リスク因子(高血糖、脂質異常症、高血圧のいずれか)をもっている数によって、対象者を以下の3グループに分類((1)~(3))、比較のための2グループ((4)~(5))と合わせて解析を行いました。
(1)BMIが23~25で、心血管代謝リスク因子をもっていない
(2)BMIが23~25で、心血管代謝リスク因子を1つもっている
(3)BMIが23~25で、心血管代謝リスク因子を2つ以上もっている
(4)BMIが21~23で、心血管代謝リスク因子を持たない
(5)BMIが25~27.5で、メタボリックシンドロームを合併している
その結果、(1)のグループは、(4)の正常群と同等のインスリン感受性でしたが、(2)や(3)のように心血管代謝リスク因子を1つでももっているグループでは、(5)の肥満群と同等の骨格筋のインスリン抵抗性が認められました。
一方で、(2)や(3)のように心血管代謝リスク因子を1つでももっているグループでも、肝臓のインスリン抵抗性はみられませんでした。
つまり、太っていなくても心血管代謝リスクを合併している人では、骨格筋インスリン抵抗性が起こりやすいことが明らかになりました。
また、さらなる調査によって、
・「内臓脂肪の多さ」や、「血中アディポネクチン濃度の低下」「体力のなさ」「日常的な活動量の少なさ」「脂肪摂取量の増加」などが骨格筋のインスリン抵抗性と関連していること
・「脂肪肝」にいたるほどではないものの肝臓に脂肪が蓄積した状態でも、骨格筋のインスリン抵抗性が起こりやすい
・正常範囲内であっても肝機能検査の値が上昇した状態(正常範囲内の後半)でも、骨格筋のインスリン抵抗性が起こりやすい
ということも明らかになりました。
太っていなくても代謝異常が起こりやすい人は、体重の減少に加えて、生活習慣に特に注意を払う必要があり、ウォーキングの量(生活活動量)を増やす、筋肉に負荷のかかる運動を取り入れて、体力を向上させることが勧められます。普通に歩くだけでは体力の向上はそれほど期待できませんので、「活発なウォーキング」や「ジョギング」などを取り入れる必要がありそうです。
今回は少し難しいお話でしたが、とても勉強になりました( ..)φ みなさん、いかがでしたか?
外見やBMIだけでは生活習慣病かどうかの判断が出来ないということですね。どんな体型の人にも、おさんぽと筋肉に負荷のかかる運動は有効です。運動が苦手という方は、まずはのんびりおさんぽなど、体を動かすことを習慣づけることから始めるといいですよ☆不安のある方は医療従事者の方にご相談の上、行ってくださいね。
※引用元:糖尿病ネットワーク
「やせメタボ」で2型糖尿病になる? 「筋肉のインスリン抵抗性」が影響 - 2016年08月08日
http://www.dm-net.co.jp/calendar/2016/025801.php
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