コラム
2016/11/28

内科で眼科検診?日々進化する治療方法

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今回は、糖尿病の三大合併症のひとつである「糖尿病網膜症」について、 こんな記事をご紹介します。

失明を避けるために「糖尿病網膜症」を早期発見 治療法が進歩

「糖尿病網膜症」は糖尿病の三大合併症のひとつであり、現在日本における中途失明原因の第2位です。(現在日本における中途失明原因の第1位は緑内障です。以前、「9割が気づいていない緑内障!自分は大丈夫だと思っていませんか!?」でご紹介しましたね。)

糖尿病網膜症は長い間、中途失明原因の1位でしたが、様々な治療法ができたことにより、失明を回避することが可能になってきています。しかし、糖尿病患者が急増しているため、それに伴って網膜症患者は増加の傾向にあり、依然として中途失明の原因の上位を占めているのです。

日本で行われている「久山町研究」や「舟形町研究」によると、糖尿病患者における糖尿病網膜症の有病率は15~23%であり、血糖コントロール不良や、糖尿病歴が長いほど頻度が高くなることが分かっています。HbA1cが8%以上で罹患期間が10年であると、4割以上の人が糖尿病網膜症を発症するのだそう。

糖尿病網膜症とは、血糖値の高い状態が続くことで、網膜の血管が傷ついたり、つまったりして起こる病気です。病気の初期では、見え方に変化がなく自覚症状はありませんが、病気が進行すると、「かすんで見える」「ゆがんで見える」「見えない部分がある」といった現象があらわれます

糖尿病網膜症の進行には段階があり、
「単純糖尿病網膜症」 → 「前増殖糖尿病網膜症」 → 「増殖網膜症」
と進行します。

日本眼科学会では、各段階を以下のように定義しています。

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● 単純糖尿病網膜症
初期の糖尿病網膜症です。
最初に出現する異常は、細い血管の壁が盛り上がってできる血管瘤(毛細血管瘤)や小さな出血(点状・斑状出血)です。蛋白質や脂肪が血管から漏れ出て網膜にシミ(硬性白斑)を形成することもあります。この時期には自覚症状はほとんどありません。

● 前増殖糖尿病網膜症
単純網膜症より、一歩進行した状態です。
細い網膜血管が広い範囲で閉塞すると、網膜に十分な酸素が行き渡らなくなり、足りなくなった酸素を供給するために新しい血管(新生血管)を作り出す準備を始めます。この時期になるとかすみなどの症状を自覚することが多いのですが、全く自覚症状がないこともあります。

● 増殖糖尿病網膜症
進行した糖尿病網膜症で重症な段階です。
新生血管が網膜や硝子体に向かって伸びてきます。新生血管の壁が破れると、硝子体に出血することがあります。

硝子体は眼球の中の大部分を占める透明な組織です。ここに出血が起こると、視野に黒い影やゴミの様なものが見える飛蚊症と呼ばれる症状を自覚したり、出血量が多いと急な視力低下を自覚したりします。

また、増殖組織といわれる線維性の膜が出現し、これが網膜を引っ張って網膜剥離(牽引性網膜剥離)を起こすことがあります。
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<黄斑の中心窩に異常が出た場合>
いずれの段階でも、軽度の視力低下、ゆがんで見える、飛蚊症、視野に見えないところができる「視野欠損」といった症状が現れることもあり、症状が重くなるにつれて、その頻度は増えます。

「糖尿病網膜症は、初期の段階では自覚症状が何もありません。残念なことに、そのことが治療の開始を遅らせる原因になっています。

糖尿病と診断された人々は、少なくとも1年に1回は目の検診を受けるべきです」と、米国のノバサウスイースタン大学の眼科医であるジャネット リーシャ氏が言っています。

糖尿病網膜症による視力障害や失明の主な原因は、眼科を受診せず、適切な治療が行われないことです。初期段階では自覚症状がなく見つけることが難しいため、異常がなくても年に1度は眼科を受診するべきですね。

また、同氏は血糖コントロールを改善するためには、医療従事者の密接な連携が必要であると強調しています。

多くの地域で糖尿病と眼科医の連携は整備されていますが、糖尿病患者の定期的な眼科は受診率は高くありません。その理由として、患者にとってはいくつもの医療機関の診療を受けるのは煩わしい、場所が離れていて交通が不便、検査を受ける時間をつくるのが難しいなどといったことが挙げられるようです。

そうした場合のために、「遠隔医療」を糖尿病網膜症の治療に役立てようという研究が米国で進められています。ミシガン大学医療システムでは、小型のスクリーニング検査機器を開発し、インターネットを使い、内科の診療所で主治医が目の検査を行う実験を行っているそうです。

内科の主治医に眼科検診も行ってもらえるなら、わざわざ眼科に行く手間や時間を省けるので、受診する割合が増えそうですね!

糖尿病網膜症の治療の基本は、血糖コントロールをしっかり行うことです。普段の食事療法や運動療法を続けつつ、1年に1度は眼科を受診していきたいですね。

 

▶元記事を読む

※引用元:糖尿病ネットワーク
失明を避けるために「糖尿病網膜症」を早期発見 治療法が進歩 - 2016年09月23日
http://www.dm-net.co.jp/calendar/2016/025943.php
[日本医療・健康情報研究所] Copyright @ 2016 Soshinsha.

※このコラムは、「糖尿病とうまくつきあう」サイトに掲載されたものです。
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