今回は、産業技術総合研究所と企業の共同研究について、 こんな記事をご紹介します。
みなさん、「栄養学」や「体内時計」という言葉は聞いたことがあるのではないでしょうか?(体内時計については「体内時計の乱れは○○不足かも?血圧も改善する○○とは!?」で ご紹介したことがありますので、ぜひご覧くださいね。)
では、「時間栄養学」は聞いたことがありますか?「時間栄養学」とは、従来の栄養学に体内時計の視点を加えて、食事のリズムと機能性との関係について研究する新しい学術分野だそうです。
つまり、
時間栄養学 = 従来の栄養学「何をどのくらい食べるか」+体内時計「いつ食べるか」
ということですね。
産業技術総合研究所(産総研)は体内時計に関する研究開発を行い、時間栄養学の成果を実験することによる健康長寿社会を目指しています。そして、研究開発の1つとして、魚油に含まれるDHAやEPAの摂取時刻と機能性の関連性について企業と共同研究を行っています。
DHA(ドコサヘキサエンン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)は、サバ・マグロ・カツオ・サンマ・ブリなどの魚油に多く含まれています。このDHAやEPAは人間の体内ではほとんど作られませんが、体を維持するために不可欠な脂肪酸であり、心血管障害の抑制やアレルギー・脳機能向上・脂質代謝の改善などに効果があることが報告されています。
しかし、魚油の摂取時刻とそれら機能性との関連についてはあまり分かっていないのだそう。そこで、産総研は企業と共同で魚油の摂取時刻と機能性との関連について研究を行いました。
研究では、明期と暗期それぞれ12時間の環境で飼育したマウスを以下3つのグループに分け、魚油の摂取時刻によって機能性に違いがあるのかどうかを調べました。
(1)コントロール群
魚油を含まない果糖過剰食を与える
(2)朝摂取群
朝食時間帯(12時間)は4%の魚油を含む果糖過剰食を、残り(12時間)は果糖過剰食を与える
(3)夕摂取群
夕食時間帯(12時間)は4%の魚油を含む果糖過剰食を、残り(12時間)は果糖過剰食を与える
※朝食時間帯・夕食時間帯はそれぞれ、夜行性のマウスにとって活動開始時間帯または活動終了時間帯を中心とした時間
その結果、朝摂取群と夕摂取群の間に1日あたりの魚油摂取量の有意な違いはなかったが、コントロール群に比べて朝摂取群でのみ、血液と肝臓の中性脂肪量が有意に減少していることが明らかになりました。
また、血液中のDHAとEPAの濃度は夕摂取群よりも朝摂取群で有意に増加していることもわかりました。つまり今回の研究により、朝に魚油を摂取することは、DHAやEPAの血中濃度を高めて、脂質代謝を改善するということが示されました。
魚油からDHAやEPAを摂るという観点においては、夕食に魚を食べるよりも朝食に魚を食べる方が、脂質代謝に効果がありそうだということですね。
普段の生活では朝食に魚を食べることが少ないですが、同じものを食べて効果が違うのであれば、朝食にも焼き魚を食べたいなと思うたまきでした。
※引用元:糖尿病ネットワーク
魚のDHAやEPAは朝に摂ると良い 生体リズムが脂質代謝にも影響 - 2016年11月18日
http://www.dm-net.co.jp/calendar/2016/026158.php
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