今回は「ウォーキングの認知症予防効果」についてこんな記事をご紹介いたします。
これまで糖尿病ニュースでは、運動に関するたくさんの情報を紹介してきました。運動に様々な利点があることは、みなさんもうご存知ですよね。
運動をすると体内でブドウ糖がすぐに消費され、血糖値が下がります。さらに運動を習慣化すると、血中のブドウ糖の量をコントロールするインスリンが効きやすい体質になります。
他にも、「肥満を解消する」「血圧が下がる」「中性脂肪が減る」「腎臓病を予防・改善する」など、運動には様々な利点があります。
運動が脳に影響を与えることはこれまでもわかっていましたが、運動の脳への効果に、2型糖尿病の原因のひとつである「インスリン抵抗性」が関わっていることが、最近の研究で分かってきました。
インスリン抵抗性とは、肥満や運動不足などが原因でインスリンが効きにくくなり、ブドウ糖が細胞に十分に取り込まれなくなった状態のことです。
インスリン抵抗性があると、血糖値が上がりやすくなり、高くなった血糖値を下げようと、膵臓はさらにインスリンを分泌します。
イスラエルのテルアビブ大学の研究により、インスリン抵抗性が、脳の記憶力・認知力などのパフォーマンスを急速に低下させるおそれがあることが明らかになりました。
研究は心血管疾患の既往のある平均年齢57.7歳の489人の患者を20年以上、追跡調査し、研究開始時と5年ごとに測定を行いました。その結果、インスリン抵抗性のある患者では、認知能力が低下していることがわかりました。
研究を行ったテルアビブ大学医学部のデイビッド タンネ教授は『インスリン抵抗性は、運動を習慣として行うこと、栄養バランスの良い健康的な食事を摂ること、標準体重を維持することで改善できます。そうした習慣は脳の健康にとっても良いのです』、『高齢になると認知症が増えます。インスリン抵抗性を改善し脳を保護することはいっそう重要になります』と話しています。
では、「脳を保護する」ためには、何が効果的なのでしょうか。多くの研究ではウォーキングなどの運動で、脳の記憶力と思考力を改善できることが、確かめられています。
ブリティッシュ コロンビア大学の研究により、ウォーキングなどの有酸素運動を続けると、脳に以下のような良い効果があることが明らかになっています。
・記憶や学習を司る海馬の神経が増える
・思考力や学習力などに関わる前頭葉のボリュームが増える
・記憶力などに関わる側頭葉のボリュームが増える
やはり運動が大事、というわけですね。運動と脳の関係について、専門家は以下を指摘しています。
・活発なウォーキングを週に150分行うだけで、脳に変化が生じる
・週に150分の運動が難しい場合、毎日5~10分の運動でも良い
・とにかく始めることが肝心。運動に慣れてきたら、少しずつ運動量を増やす
まずは運動を始めることが重要ですが、続けることも同じぐらい重要です。運動を習慣化するために、専門家のアドバイスを参考にして、工夫をしてみましょう。
・目標をつくる (「ウォーキングを毎日30分行う」「週に5日行う」など)
・運動の記録をつける。自分がどれだけ運動をしたかが分かるとやる気につながる
・運動を目的としたサークルやクラブに入り、仲間をつくる
・運動を指導してくれる専門家を見つけ、効果的で長続きする運動のやり方を教えてもらう
「脳を保護する」と言われても、一体何をすればよいのかな……と思ってしまいましたが、蓋を開けてみると、やはり基本が大事、ということでした!
以上、たまきでした。
※引用元:糖尿病ネットワーク
ウォーキングは脳も改善する 記憶と思考を改善 認知症も予防 - 2017年04月07日
http://www.dm-net.co.jp/calendar/2017/026745.php
[日本医療・健康情報研究所] Copyright @ 2017 Soshinsha.