今回は「糖尿病による心の負担と緩和」についてこんな記事をご紹介いたします。
糖尿病になっても、健康な人/糖尿病になる前と同じような生活の質を維持することができますが、血糖・体重・血圧などをきちんとコントロールする必要があります。
そしてそのためには、食事・運動・服薬・定期的な検診、さらには周りの理解といった社会的な交流を含む、糖尿病治療に取り組むことが重要です。
診療時に医師と会話をする、コミュニティ企画に参加する、コミュニティで仲間と会話をするなどして、社会的な交流を深められている方もたくさんいらっしゃるかと思います。
しかし、糖尿病とともに生きる日々が、負担になってしまう時もあるかもしれません。そんな心の負担は「糖尿病による苦痛」(diabetes distress)と呼ばれています。
「糖尿病による苦痛」は、心身の負担や医療費の心配・周りの人の誤った認識など、人によって異なります。共通しているのは、まれに起こることではなく、多くの人が経験しているという点です。
「糖尿病による苦痛」を感じていると、血糖コントロールが悪化し、HbA1cが上昇する傾向にあるのだそうです。
糖尿病療養に携わる医療者の多くは、そんな「糖尿病による苦痛」を、軽くする必要があることに気づいています。
カリフォルニア大学のローレンス フィッシャー教授は「糖尿病が引き起こす苦痛を解決する介入を行えば、軽減できるのではないか」と指摘しています。
フィッシャー教授は、「糖尿病による苦痛」を緩和する方法として、3つのことを勧めています。
医療従事者の指示に従って、血糖・血圧のコントロール、コレステロール値などの管理を全て完璧に行うことは至難の業です。
完璧を目指すのではなく、より良いものを目指しましょう。そして、少しでも改善できれば、その状態を維持し、自分を褒めてあげましょう。
一度に全てに取り組むことが難しい場合もあります。1つずつステップを上げていくことでも、糖尿病療養は改善できます。生活スタイルを変えるときは、一度に行わず、ゆっくりと変化を加えていきましょう。
結果がすぐに出なくても、落胆しないで、辛抱強く続けることが大切です。
糖尿病の治療に疲れて、苦痛を感じることもあるかもしれません。しかし、それはあなただけの問題ではなく、また決してあなたが悪いわけでもありません。だから、いまの状態に絶望する必要は、ないのです。
食欲の低下や、睡眠パターンが変化したとき、悩み事があるとき、気分の落ち込みがあるときなどは、医師や医療スタッフに相談してみましょう。
3つの緩和方法をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。完璧を目指さず、できることからコツコツと。何かあったら相談しつつ、うまくつきあうことが大事、ということですね。
ところで、このニュースをお読みいただいているみなさんの中には、「相談する」・「サポートを求める」ことが、「自分の弱みをさらけ出す」ように感じて、抵抗があるという方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、他人に支援を求めることについて、フィッシャー教授はこのように語っています。
『サポートを求めることは「強さのあらわれ」です。自分に何が必要であるかを具体的に見極め、勇気を持って誰かに求める行為です』。
また、『他の人の手助けがあると、より良い成果を得られることが多い』とのこと。ぜひ相談するようにしてみてください。
悩まれている方や、苦痛を感じている方がいらっしゃったら、このニュースで少しでも楽になっていただけたらいいな、と思うたまきでした。
※引用元:糖尿病ネットワーク
「糖尿病による苦痛」を軽くするために 心の負担への対処法 - 2017年04月07日
http://www.dm-net.co.jp/calendar/2017/026725.php
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