今回は、たばこが主な原因である「COPD」という病気について、こんな記事をご紹介いたします。
たばこが健康に良くないことはみなさんご存知だと思いますが、「肺の生活習慣病」とも言われ、主にたばこが原因で起こる「COPD」(慢性閉塞性肺疾患)という病気をご存知でしょうか。
国内のCOPD患者数は約500万人と推定されており、COPDは日本人の死因10位ですが、世界で見ると、がん・心疾患・脳血管障害に次ぐ4位に位置しています。COPDは進行性の病気なので、早めの対策が必要です。
COPDの典型的な初期症状として「階段や坂道をあがったときに息切れを起こす」などが挙げられます。
COPDの主な原因であるたばこには、ニコチンやタール、PM2.5の粒子など、さまざまな有害物質が含まれており、それら有害物質を吸い続けることで、気管支や肺胞に炎症が起こります。
そして、炎症が進むと肺胞が壊れ、酸素が十分に取り込めなくなり、息苦しさが出てきます。
たばこは健康面に大きな悪影響をもたらすため、喫煙をしないことが1番ですが、禁煙以外にもCOPDの予防・改善のために取り組めることがあります。
スウェーデンのカロリンスカ研究所などの研究により、野菜や果物を十分に摂ることで、COPDの発症リスクを抑制できることが明らかになっています。
研究は、4.4万人以上の45~79歳の男性を対象に行われ、13年間の追跡調査において、そのうちの約1,900人がCOPDと診断されました。では、喫煙習慣と野菜や果物の摂取量の関係を見てみましょう。
<現在喫煙習慣のある人>
果物と野菜の1日の摂取量が「推奨値の半分未満の場合」、「推奨値を満たしている場合」と比べ、COPDの発症率は約2倍に増える。
<過去に喫煙習慣があった人>
現在喫煙習慣のある人と比べ、COPDの発症率は約1/2に低下する。 それでも、果物と野菜の1日の摂取量が「推奨値の半分未満の場合」、「推奨値を満たしている場合」と比べると、COPDの発症率は2倍以上に増える。
<喫煙習慣のない人>
「喫煙習慣がなく、推奨される果物と野菜の摂取量を満たしている場合」と、「喫煙習慣があり、推奨される果物と野菜の摂取量を満たしていない人」を比べ、COPDの発症リスクには13.5倍もの開きがある。
つまり、「喫煙習慣:なし、野菜の推奨量摂取:〇」のCOPDリスクを1とすると、COPDのリスクはそれぞれ、
喫煙習慣:あり、野菜の推奨量摂取:× → リスク13.5倍以上
喫煙習慣:あり、野菜の推奨量摂取:〇 → リスク7.5倍以上
喫煙習慣:過去、野菜の推奨量摂取:× → リスク6倍以上
喫煙習慣:過去、野菜の推奨量摂取:〇 → リスク3.5倍以上
ということですね。
大阪市立大学の研究グループは、運動によって、COPDを予防・改善できる可能性があるという研究結果を発表しました。
運動が体によいことはみなさんご存知だと思いますが、体によい理由・仕組みのひとつとして、筋肉から分泌されるホルモンの働きが挙げられます。その中の1つが「アイリシン」です。
「アイリシン」はウォーキングなどの運動をすることで増え、身体に貯められている脂肪をエネルギーとして燃焼するのを促進します。
研究グループにより、アイリシンを加えることによって、酸化を防ぐタンパク質が増加し、たばこの煙に含まれるオキシダント(酸化物質)による肺胞細胞(肺の大部分を占める細胞)の細胞死を抑えられることがわかりました。
運動によって、2型糖尿病などの改善効果があることはみなさんご存知だと思いますが、COPDでも改善効果を期待できるということですね。
COPDの予防と改善策に触れてきましたが、やはり「食事と運動」が大事、ということですね。日頃、糖尿病とうまくつきあう中でも、意識されている方も多いかと思います。
COPDの症状として、運動時に息切れが起こりやすくなります。そのため、COPDを発症すると体を動かさないで家に閉じこもりがちになる傾向がみられます。しかし、運動をしないと筋肉が減り、心肺機能がさらに低下し悪循環を招きます。
ウォーキングなどを習慣化すると、筋肉が増えて骨も強くなり、心肺機能が向上して息切れも軽減するといった効果も得られますので、できることから習慣化するのが大事ということですね。
もちろん、食事に気を遣うことも忘れないでくださいね!
以上、たまきでした。
※引用元:糖尿病ネットワーク
肺の生活習慣病「COPD」 運動と野菜の摂取でリスクを下げられる - 2017年03月24日
http://www.dm-net.co.jp/calendar/2017/026717.php
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