今回は身近な食品である「味噌」について、こんな記事をご紹介いたします。
「味噌」を使った料理といえば、お味噌汁・みそ煮・肉味噌などたくさんありますが、みなさんは「味噌」を使った料理をどのくらい食べていますか?
近年の研究によって、日本の代表的な発酵食品である味噌が、血圧の上昇を抑え、脳卒中や心筋梗塞などの予防に役立つ可能性があることが明らかになりました。
味噌は日本人に古くから愛されており、食生活から切り離せない食材です。味噌の歴史は1,300年以上も前に遡り、江戸時代に刊行された本朝食鑑には、味噌が薬のように説かれています。
しかし一方で、味噌を摂ることが食塩の過剰摂取につながるおそれがあることも指摘されてきました。
味噌など発酵食品についての科学的な研究は多くありませんが、研究の進展により、近年それらの健康機能が急速に明らかになりつつあります。
国立循環器病研究センターは、閉経後の女性が味噌などに含まれるイソフラボンを摂取すると、脳卒中や心筋梗塞が抑えられることを報告しており、国立がん研究センターなどは、味噌などを多く摂取する日本型の食生活により胃がんのリスクが下がることや、味噌に一定の乳がんの予防効果があることを報告しています。
長年にわたり味噌の抗がん効果などを研究し、生理機能を解明してきた、広島大学の渡邊敦光名誉教授は、味噌に「胃がん」「肺腺癌」「大腸がん」「肝臓腫瘍」の予防効果があることを突き止めました。さらに、塩分が含まれる味噌を多く食べても、血圧が上昇しないこともわかりました。
渡邉名誉教授らの研究グループは、脳卒中を発症しやすい高血圧のラットを以下の3つのグループに分け、63日間にわたり観察をしました。
・低食塩群:0.3%の食塩を含むエサを与える
・味噌群:味噌由来の2.8%の食塩を含むエサを与える
・高食塩群:味噌群と同じ量の食塩を含むエサを与える
その結果、低食塩群でも血圧は200mmHgを越え、高食塩群ではさらに血圧が上昇し、早期に脳卒中を発症し歩行不全などの異常があらわれました。
一方、味噌群は高食塩群と同じ量の食塩が含まれていますが、脳卒中による死亡率は低食塩群よりやや高いものの、味噌群と低食塩群の間において血圧には差が生じませんでした。
また、研究グループは過去の研究で、食塩感受性の高いラットを用いて血圧に対する味噌の影響を検討しましたが、こちらでも今回の研究と同様に、味噌を与えると同等量の塩分を摂取しているにもかかわらず、血圧は上昇しないことが明らかになっています。
渡邊名誉教授は「日本人は食生活で塩分を多く摂取しているが、心筋梗塞などが少なく、長生きしていることは海外でも関心を集めている。味噌には塩分の影響を緩和する物質が含まれており、熟成みそは特にその効果が強いと考えられている」と述べています。
これらの研究結果から、味噌には血圧上昇を抑制する効能があると考えられます。さらに、熟成した味噌の中には血糖値を低下させる成分や、抗酸化作用を持つ成分が含まれていることも分かりました。
渡邊名誉教授は「味噌を含む発酵食品を摂取することが、がんや高血圧などの減少につながる可能性がある。食塩を多く摂取することの弊害が問題になっているなかで、味噌を摂取する日本型の食事スタイルの重要性はますます高まっている」と述べています。
これまで、日本食には欠かせないお味噌汁の塩分に不安を感じていましたが、実は味噌が血圧を抑えていたのには驚きですね。「味噌を中心とした日本型の食事スタイルの再評価が必要」とも述べられていますので、今後他の食材でもいろいろな成果が報告されるかもしれませんね。
今後も、美味しく身体にも優しい味噌料理・日本食を食べていきたいなと思うたまきでした。
※引用元:糖尿病ネットワーク
「味噌」に血圧の上昇を抑える効果 日本型の食事スタイルを再評価 - 2017年08月23日
http://www.dm-net.co.jp/calendar/2017/027213.php
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