今回は「近視」について、こんな記事をご紹介いたします。
みなさんは、スマートフォンやパソコンなどを長時間使用していませんか?
近年、デジタル デバイスの普及により日常で目を酷使している人が多く、それに伴い「近視」が世界的に増えています。
オーストラリアのブライアン ホールデン視覚研究所は、2000年時点で世界人口の23%にあたる約14億人が近視、またそのうち11%にあたる約1億6,000万人が強度の近視であるという推計を発表しました。
近視は今後も増加し続け、2050年には世界人口の50%にあたる約50億人が近視になり、さらにそのうちの約10億人は強度近視であると予測されています。
強度近視は失明してしまう主な原因の1つであり、2000年から2050年にかけて約7倍増加すると予測されているので、気をつけたいですよね。
慶應義塾大学医学部眼科学教室の坪田教授らは、近視の進行予防に期待のできるものとして、「バイオレットライト」に着目しました。
「バイオレットライト」とは、太陽光に豊富に含まれる360~400nmの波長の光です。バイオレットライトというと、紫外線をイメージされる方もいらっしゃるかもしれません。
バイオレットライトと紫外線は隣り合う光ではありますが、紫外線は人の目が感知できない光であるのに対し、バイオレットライトは人の目が感知できる可視光であり、バイオレットライトと紫外線は別のものです。
特定の波長の光で身近なものといえば、「ブルーライト」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。ブルーライトの波長は目への負担だけでなく、不眠やうつ、高血圧、肥満などのリスクを高めると話題になっています。対するバイオレットライトは、近視の進行抑制が期待されています。
坪田教授は、高度近視の治療として眼内レンズ(水晶体の代わりに目の中に挿入するレンズ)を入れた患者さんにおいて、近視の進行度に差が出たことから、バイオレットライトに注目しました。
研究チームは、ヒトを対象とした臨床研究から、バイオレット光を透過するコンタクトレンズを着用している人の方が、透過しないコンタクトレンズやメガネを着用している人よりも近視の進行が抑制されていることを見出しました。
また、近視のヒヨコを使った実験においても、バイオレットライトを浴びたヒヨコは、近視の進行を抑える遺伝子の数値が上昇していることを確認し、バイオレットライトと近視の関連性を明らかにしました。
それでは、私たちが近視予防のためにバイオレットライトを浴びるには、どのような方法が効果的なのでしょうか。
ブライアン ホールデン視覚研究所の研究者は、「1日2時間以上、外で遊んでいる子どもは、両親が近視でも近視になりにくいことが知られています。屋外光にのみ含まれるバイオレット光を浴びている時間の違いだったと考えると説明ができます」と、述べています。
バイオレットライトは、日常的に使用しているLEDや蛍光灯などの照明には、ほとんど含まれておらず、ガラスなどの材質もバイオレットライトをほとんど通さないこともわかっています。
そのため、バイオレットライトを浴びるためには、日中に屋外に出て、ウォーキングなどで体を動かすと効果的です。平日に屋外で活動するのが難しいという人も、週末はなるべく屋外での運動を心がけてみましょう。
近視になる原因は大きく「遺伝」と「環境」の2つがあり、とくに注目されているのは環境の影響による近視です。
米国眼科学学会は血糖値の変動が近視の原因になる可能性があると述べています。また、高血糖の状態が続くと、目の水晶体(レンズ)の屈折に異常が起こり、近視になりやすいことが知られています。
環境による近視の要因は他にも
■テレビやゲーム
■携帯電話やスマートフォン
■パソコン画面
■本や新聞
など、これらを近くで見て作業する「近業」があります。最近では子どもだけでなく、大人の生活にも定着つつあります。眼精疲労に関係する毛様体筋の疲労の原因のひとつとして、「長時間の手元の作業」や「暗いところでの手元の作業」が挙げられるため、近業には注意が必要です。
とくに暗い場所で近業をすると、瞳孔は多くの光を取り入れようと大きくなります。するとピントを合わせにくくなり、毛様体筋に通常以上の負担がかかった結果、眼精疲労が起こりやすくなります。デスクワークなどの作業が1~2時間以上も続く場合には、できるだけ明るい場所で行い、ときおり休憩を挟んで目の筋肉をリラックスさせましょう。
近視を予防するためには、屋外での活動を増やすこと、近業の時間の短縮、適度な目の休憩が大切です。今日からでも目の健康に気をつけていきたいなと思うたまきでした。
※引用元:糖尿病ネットワーク
世界中で近視が急増 ウォーキングで自然光を浴びると近視対策に - 2017年09月01日
http://www.dm-net.co.jp/calendar/2017/027278.php
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