糖尿病の患者さんにとって、「歩行運動」はもっとも行いやすい運動のひとつです。でも、いざ運動療法として行おうとすると、どれぐらい歩けばいいのかがわからなかったり、億劫に感じて休んでしまったりと、続けることが難しくなりがちですよね。
今回のアンケートでは、ご自身やご家族が糖尿病、あるいは糖尿病予備群である皆さんに、歩行運動の実態についてお聞きしました!
他の人がどれぐらい歩いているのかがわかると、自分が歩く指針にもなりますし、心強くも感じますね。さらに歩行を続けるための工夫や、効果を感じられた体験もたくさんお寄せいただきました。ぜひ毎日の歩行運動のヒントにしてくださいね!
定期的な歩行運動をしているかどうか、との質問には、「している」が71%、「していない」が29%との結果に。多くの方が、定期的な運動として歩行を取り入れていることがわかりました。
歩行運動を行う頻度は「毎日」が50%、「週に3~5回程度」が37%と、高い頻度で定期的な歩行を行っている人が、全体の9割近くを占めました。ほとんどの方が、おおよそ2日に1回以上のペースで歩いています。
1日あたりの歩数は、3千歩~6千歩の方がもっとも多く(36%)、1万歩以上(25%)歩いている方がこれに続きました。具体的な数値としては、キリの良い1万歩との回答が多くあがっています。歩数計などを使っている場合には、目標の数値を決めておくのもいいですね。
皆さんが実践している歩行運動の種類は、「ウォーキング」がトップで37%、続く「散歩」が30%との結果になりました。シンプルな歩行運動は、家の周りなど身近な場所で続けやすいのがメリットですね。
通勤・通学の移動距離が長い場合、歩くことや階段の上り下りなどが多い仕事が含まれている場合など、日常的なルーティーンを歩行運動として活用する方もいるようです。
せっかく運動の時間をとっても、ただ歩くだけで結果が残らないと、モチベーションが下がってしまうこともありますよね。歩行運動の管理は、どのようにしているか聞いてみたところ、「スマホのアプリで管理」している方がもっとも多く、40%との結果でした。「パソコンで管理」(13%)、「手帳やメモで管理」(10%)をあわせると、60%以上の方が何らかの方法で歩行運動の管理を行っていました。
一方、「スマホアプリや歩数計を使った管理はしていない」方も37%いました。いちいち結果を記録するのが大変だと感じる方もいるかもしれません。そのために歩行そのものが面倒になっては本末転倒ですから、自分に合った、続けやすい歩行運動のやり方で行ってください。
歩行運動を行っている時間は、「通勤時」「朝食後」「昼食後」が同率でいずれも15%、「早朝」「夕食後」「夕方」が同率で6%と、回答が分かれる結果となりました。その他の時間(食前、午前中、昼休み、外出時など)に行っている方も36%と、高い割合を占めていますので、ライフスタイルや身体の状態によって、歩行運動を行いやすい時間帯が違うようです。
歩行運動は、基本的に1日のうちのいつ行っても構いません。ただし、インスリン治療のため低血糖が起こりやすくなっている方は、血糖値の下がりやすい時間帯を避けてくださいね。
多くの方が、歩行運動をする際に困ることとして「外気の寒さ・暑さ」(35%)をあげました。「その他」(14%)の回答としても「天候」(女性・65歳)や「雨の日、公共トイレ」(男性・69歳)があがっており、歩行運動を行うには、気温や天候が大きな影響を持つことがわかります。確かに、熱中症の危険が高まる真夏の炎天下など、時間があっても歩行運動をするのに適さない時期もありますね。
一方、「適切な時間やペースがわからない」(12%)、「定期的に続けることができない」(9%)、「歩くことがつまらない」(7%)といったように、習慣として運動を続けなければいけないという意識が妨げになることもあるようです。こうした悩みは、一緒に歩く仲間がいることで、軽減されるかもしれません。
暑すぎず寒すぎない春・秋には、ウォーキングイベントも多く開催されます。ときにはイベントに参加してみると、仲間のつながりができるチャンスもありますし、歩く楽しみが広がりますのでおすすめですよ。
・同じ料理を食べていても、歩いた後だと血糖値が違う。(39歳/女性/糖尿病歴:2ヵ月)
・家にいると、口さみしい時があるみたいで、間食をしていました。歩きに行くようになって、意識が変わったようです。(74歳/女性/糖尿病歴:15年位)
・実際に基礎代謝のカロリーが変わったらしく、基礎体温もあがり、血糖値もそれに比例をして下がりました。(54歳/男性/糖尿病歴:27年)
・HbA1cが安定した。(65歳/男性/糖尿病歴:15年)
※個人の体験談です。すべての方に同様な効果があるものではございません。糖尿病の症状は進行度や人によって違いがあり、必要な対策も異なります。必ず、かかりつけの医師にご相談ください。
歩行運動を続けることで、血糖コントロールに効果があったと感じている方の声が多くみられました。頑張った結果が血糖値の数値として現れると、歩き続けるモチベーションも上がりますね。間食の欲求がおさえられるという、意外な効果を実感された方もいるようです。
[実践している工夫]
・日によってルートを変えて歩いてみる。同じルートだと飽きやすいですし、違うルートにすれば、歩く途中で新たな発見があり、楽しみが増えるかもしれません。(40歳/男性/糖尿病歴:10年2ヵ月)
・自分のペースで無理をせずに歩く。周りの景色を楽しみながら歩く。(74歳/女性/糖尿病歴:15年位)
・ちょっとした用事を作ることだと思います。少し遠くの自動販売機で少し高価な飲み物を買うことも楽しみになりますし、MP3プレーヤーを聴きながら歩くのもとても楽しいです。(54歳/男性/糖尿病歴:27年)
[おすすめのグッズ]
・ウォーキングシューズは高価なシューズでバネのきいたものを使っている。安物はだめです。(74歳/男性/糖尿病歴:5年2ヶ月)
・足にあった靴。トレッキング用の靴。(69歳/男性/糖尿病歴:5年6ヶ月)
多くの方が、一度の歩行運動で負荷をかけるのではなく、「続けていくこと」を意識していました。そのためには、回答にもあるように、無理をしないこと、ルートを変えて違う景色を楽しみながら歩くことがとても重要です。「ちょっとした用事を作ること」で、自分から楽しみを作ってしまうことは、良いアイデアですね!ワクワクしながら、歩行運動に出かけられそうです。
また、高価でもしっかりしたウォーキングシューズを選ぶべきとの声もありました。足に合った靴は歩行を助け、足を守ってくれますし、お気に入りのアイテムを使うことで歩く楽しみも増えます。これから歩行運動を始める方は、まずは形から入ってみるのもいいかもしれません!
今回のアンケートでは、多くの方が歩行運動を実施し、血糖値の改善などの効果を感じていることがわかりました。無理なく続けていくための、皆さんの工夫も参考になりますね。歩く頻度や時間、歩数など、今回の回答をひとつの目安に役立ててみてください。
<調査概要>
調査方法:インターネット調査
調査対象:「サンスター 糖尿病とうまくつきあう」会員
調査期間:2019年10月7日~2019年10月15日
サンプル数:42