がん治療とお口のトラブルには密接な関係があります。口腔ケアと全身の健康に関する研究を続けてきたサンスターは、がん治療における口腔ケアの重要性に着目し、医療関係者や患者さんの意見をくみあげた、口腔ケアの研究開発や情報発信に取り組んでいます。 がんとたたかう方のお役に少しでも立てるよう、お口の悩みを軽減するための口腔ケア関連の情報を提供しております。
はじめまして、がん看護専門看護師の佐伯と申します。私は口腔ケアの必要性について、看護の面からお伝えしていきたいと思います。突然ですが、がん治療における口腔ケアについて、このように考えておられる方はいませんか?
がんになったら口腔ケアが必要だとはいわれるけれど、よくわからない。
がんの治療が優先だから、お口の中のことまで考えている余裕はない!
私が看護師としてがん患者さんとの出逢いを繰り返していく中で、がんを含めた自分自身のコントロール感を実感されておられない方が多くいらっしゃいました。治療をしてもがんはカラダのどこかに潜んでいるかもしれないという不安、まさに見えない敵との闘いです。しかし、気持ちを強く持ち続けるには限界があります。時には肩の力を抜いて深呼吸をしてみてください。このコラムを目にした方に、ほんの5分でもゆったりとした気持ちになって読んでもらいたいと願い、心を込めて書かせていただきます。
口腔ケアが必要となる理由として、次の3つが挙げられます。
例えば、米国国立がん研究所(NCI)では患者さん向けの情報として、毎日の具体的な口腔ケアの方法を提供しています。また、European Oral Care in Cancer Group(EOCC)では、ガイダンスの中でも口腔ケアとその評価は日常的に実施することを推奨しています。これらには患者さんがご自身で毎日実施できるケアが口腔ケアであり、口腔ケアを通してがん治療をセルフコントロールしている実感を持つ狙いがあります。
お口の粘膜は、外に開放された最も大きな臓器になります。お口は、目に見えない菌やウイルスのゲートのようなものになりますが、それを粘膜組織や唾液がガードマンとして守ってくれています。しかし、がんの治療によって、そのガードマンが貧弱になってしまう、もしくは数が減ってしまうような状態になります。ガードマンとしての機能が弱ってくると、外からやってくる菌やウイルスだけではなく、もともと自分のお口の中に住んでいる大人しい菌も悪さをするようになります。そうなってしまうと粘膜は感染や炎症、痛みを引き起こし、さらに口腔ケアができずに菌やウイルスが増殖して悪循環に陥ります。
また口腔粘膜の下には血管が豊富に走っており、ゲートを壊して侵入してきた菌やウイルスが、血管のパイプを使ってカラダ中に広がってしまうことになるのです。このような状態になってしまうと、お口の中だけの問題ではなくなってしまいます。現在のがん治療は、手術療法、放射線療法、化学療法にオプジーボなど新たな薬剤を中心とした免疫療法も加わっています。手術と放射線は局所療法となり、抗がん剤を使う化学療法や免疫療法は全身療法です。口内炎があることによって、これらの治療を中断もしくは抗がん剤治療であれば薬剤の減量をせざるを得ないことにもなるのです。
がん治療と口腔ケアの繋がりは一見分かりにくいですが、あなたが続ける毎日の行動が、今後の治療や将来の「食べる、話す、笑う」に大きく関わってきます。治療方法や症状の変化を理解した上でがん治療前後の生活を続けていくため、これからコラムではがんと口腔ケアに関してお伝えしていきます。
プロフェッショナルの視点から開発され、弱ったお口の中にやさしい低刺激タイプや、乾いたお口を保湿するタイプなど、お口のケアに適した商品ラインアップを取り揃えました。