がん治療とお口のトラブルには密接な関係があります。口腔ケアと全身の健康に関する研究を続けてきたサンスターは、がん治療における口腔ケアの重要性に着目し、医療関係者や患者さんの意見をくみあげた、口腔ケアの研究開発や情報発信に取り組んでいます。 がんとたたかう方のお役に少しでも立てるよう、お口の悩みを軽減するための口腔ケア関連の情報を提供しております。
がん治療にとって口内炎(口腔粘膜炎)は多くの方が悩まされる副作用のひとつです。治療後に口内炎が発症する割合は治療内容によっても異なります。
原因としては、抗がん剤や放射線治療による直接的な影響と、唾液分泌低下や感染などによる間接的な影響があります。お口は食べ物の通り道として消化管に繋がっているため、吐き気や便秘、下痢など消化管の変化があると、お口の状態にも異変がないかと関連づけて考えます。今回は、口内炎と食事についてお伝えしていきます。
私たちの生活において、食べることは単に満腹感を得るという行為だけではなく、体に必要な栄養やエネルギー源を取り込み、生きるために必要な原動力や活力になります。がん治療中、頑張っている身体に少しでも多くの栄養を行き渡らせ、体力をつけておくことは大切なことのひとつです。また、腸管の表面はヒダ状になっていて、そのヒダ状の粘膜は栄養を吸収するだけではなく、免疫のための大切な役割を担っています。食べることで腸に刺激を与え、この大切な腸管の機能を維持することができます。
ただ、どうしても食欲がない時もあります。そのような時は、医師から食事について特別な指示がある場合以外は、無理をせず体調にあわせ、食べられるものを食べるとよいでしょう。
<うがい、歯みがき>
一部の洗口液に含まれる殺菌剤のグルコン酸クロルヘキシジンは、やや重い口内炎の改善や口腔内の細菌の減少について有効な結果がなく、うがいによる不快感、味覚変化、歯の変色などの報告がみられることがあるので、治療中はほかの種類へ変更するなどで対処をします。治療期間は、低刺激の保湿剤でお口を潤し、病院で処方される痛み止めも活用しながら口内炎の痛みを抑えて食事ができるようにしましょう。
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<食事の工夫>
口内炎があっても、しっかりと食事をしていくために、以下のような工夫があります。献立などで不安がある方は、かかりつけの病院の栄養士と相談をしてみてはいかがでしょうか。
<参考文献>
日本がんサポーティブケア学会:EOCC(The European Oral Care in Cancer Group) 口腔ケアガイダンス, 2018,
http://jascc.jp/wp/wp-content/uploads/2018/01/guidance_20180115.pdf(2019.6.7最終アクセス)
佐藤禮子:がん化学療法・バイオセラピー看護実践ガイドライン,医学書院,2009
Sonis,S.T: The pathobiology of mucositis. Nature Reviews Cancer. 4: 277~284,2004
大島茂,渡辺守:腸管免疫と腸内細菌の密接な関わり合い,日本内科学会雑誌第104:81~85,2015
緩和医療ガイドライン委員会:がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン,金原出版,2014
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