毎日の生活の中で、お口のはたらきについて意識することはめったにないかもしれません。実は、みなさんのお口は単なる「食べ物の入り口」ではありません。からだも心も健康な毎日を送るために大切な①から⑤の役割を担っています。
①食べ物を取り入れ(摂食)、噛み(咀嚼)、飲み込む(嚥下)
お口は人体の第一番目の消化器官です。歯で噛むことにより食べ物を小さく細かくし、唾液とよく混ぜ合わせ、ひとかたまりにして胃に送り込みます。摂食、咀嚼、嚥下ができないと、食べ物の栄養が摂れなくなるだけでなく、食事を楽しむこともできなくなります。よい歯でよく噛むことが健康の第一歩です。
②言葉を話す
言葉を発するためには、舌や唇や歯が必要です。歯が抜けてしまったり、前歯に入れ歯をしていると、発音がしづらくなります。
③味わう
舌の表面にある「味蕾(みらい)」で、食べ物の味を感知します。人は通常、「甘い」「辛い」「酸っぱい」「苦い」「うまい」の5種類の味を感知できるといわれています。また味だけではなく、「熱い」「冷たい」「硬い」「やわらかい」などの食感も、味わうための大きな要素です。
④免疫物質や抗菌物質の分泌
お口の中で分泌される唾液には、免疫グロブリンA(IgA)やリゾチーム、ラクトフェリンなどの免疫物質や抗菌物質が含まれています。これらの物質のおかげで、外から浸入してくる菌などを防ぐことができるのです。
⑤顔の表情を表す
嬉しい時、楽しい時の「笑顔」や、不満を感じた時の「への字口」など、お口が表現する顔の表情はたくさんあります。そして、これらのさまざまな表情はコミュニケーションにおいて非常に重要な役割を果たしています。普段からお口の周りの筋肉をしっかり動かし、よく噛むように心がけて、表情豊かに生活したいものですね。