今回は日本食の認知症予防について、こんな記事をご紹介いたします。
「アルツハイマー病は予防できる!今すぐできる5つの対策」でもご紹介しましたが、糖尿病の人は認知症を発症しやすいことが知られており、九州大学の調査によると、糖尿病の人が認知症を発症するリスクは、糖尿病でない人に比べ1.7倍、アルツハイマー病に限ると2倍に上昇することが示されています。
認知症は予防がとても重要です。米国のラッシュ大学医療センターは、認知症の予防に効果的な新たな食事スタイルとして「マインド ダイエット」を発表しました。
「マインド ダイエット」とは、「地中海式ダイエット」と「DASHダイエット」の長所を組み合せた食事方法で、「地中海食とDASH食による神経変性を遅延させるための介入」(Mediterranean-DASH Intervention for Neurodegenerative Delay)の頭文字をとって「マインド」(MIND)と名付けられました。
(DASHダイエットや地中海式ダイエットは「○○を食べて高血糖を予防!知っておいて欲しい7つのポイント」などでもご紹介してきましたので、ぜひご覧くださいね。)
「マインド ダイエット」の画期的な点は、従来の食事スタイルと異なり、ほどほどに守っていても効果を得られるところです。 「マインド ダイエット」をしっかりと実行した人では、アルツハイマー病の発症リスクが5割以上減少、ほどほどに実行した人でも4割近く減少することもこれまでに報告されています。
地中海式ダイエットやDASHダイエットはほどほどに実行するだけでは予防効果がほとんど得られないそうなので、ほどほどに実行しても効果が得られるという点で「マインド ダイエット」が魅力的だということがわかりますね。
「マインド ダイエット」の方法は“10種類の健康に良い食品を積極的にとり、5種類の健康に悪い食品をなるべく避ける”というとてもシンプルなもの。
その15種類の食品を以下ご紹介します。
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○ 積極的にとりたい10種類の食品 ○
葉菜類 ・ 根菜類 ・ 豆類 ・ 全粒穀物 ・ 不飽和脂肪酸の多い植物油 ・ 魚 ・ チキン ・ ナッツ類 ・ ベリー ・ ワイン
● なるべく控えたい5種類の食品 ●
赤身肉 ・ バター、マーガリン ・ チーズ ・ ペイストリーやケーキ、お菓子 ・ 油で揚げた食品、ファストフード
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ワインは積極的にとりたい食品ですが、飲みすぎには注意してくださいね。認知症を予防するための食事スタイルは、糖尿病や肥満の予防・改善の食事とも似ています。
今回の「マインド ダイエット」の効果については今後詳しく研究される必要がありますが、糖尿病や高血圧・肥満などにも役立つと考えられています。では、日本食と認知症予防の関係はどうでしょうか?
東北大学社会医学講座の遠又氏らは、65歳以上の高齢者約1.4万人を5.7年間追跡調査しました。そして、食物の摂取頻度に関する39項目の質問から、対象者の食事パターンを「日本食」「動物性食品」「高乳製品」の3つに分け、認知症発生との関連を調べました。
その結果、「日本食」パターンでは認知症発生リスクが20%低下していることが判明しました。つまり、“日本食を多く摂っている人では認知症の発症が少ない”ということですね。
一方、「動物性食品」「高乳製品」の2パターンでは、認知症発生との有意な関連は見られませんでした。「日本食」パターンの特徴は、魚・野菜・海草・漬物・大豆製品・きのこ・いも・果物などを多く摂取している点です。これは、「マインド ダイエット」と共通するものが多く、また日本食は、高血圧、糖尿病、脂質異常症の予防・改善にも効果があることが確かめられています。
日本で暮らしていて、『ペイストリーを避けよう』『チキンを積極的にとろう』と考えるのは少々難しそうですが、「マインド ダイエット」は認知症発生リスクを下げ、日本食と共通するところが多い、と捉えておくことならできそうですよね。
日本食を中心に、「マインド ダイエット」も参考にしながら、食事をしようと思うたまきでした。
※引用元:糖尿病ネットワーク
日本食に認知症を予防する効果 認知症を予防するための食事療法 - 2016年07月21日
http://www.dm-net.co.jp/calendar/2016/025739.php
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