むし歯になる主な原因はミュータンス菌
むし歯の主な原因菌は、お口の中にすむ細菌の一つであるミュータンス菌。ミュータンス菌は別名、むし歯菌とも呼ばれています。ミュータンス菌は糖類を栄養にして歯の表面にねばねばした物質を作り出します。この物質は水に溶けないため歯にしっかりとくっつき、ミュータンス菌や他の細菌の巣となるプラーク(歯垢)を形成します。 ミュータンス菌の大好物は食べ物の糖類。プラーク(歯垢)に住みついたミュータンス菌は、さらに食べ物の糖類を餌にして酸をつくります。この酸はしだいに歯の表面の硬いエナメル質を溶かし始めます(脱灰)。脱灰の状態が続くと歯のリンやカルシウムが溶けだして歯に孔をあけます。これがむし歯のはじまりです。
糖類→甘いものではありません!
糖類の含まれるものは砂糖だけではありません。主食である米やパンなどの炭水化物にも多く含まれ、私たちが口にするほとんどの食品にも糖類が含まれています!
だらだら食べはむし歯になりやすい!
通常お口の中では脱灰(※1)と再石灰化(※2)という現象が起こっています。この脱灰と再石灰化のバランスが崩れるとむし歯になってしまいます。口の中が中性に戻るまでは30~40分を要するといいますが、いつも口に食べ物を入れていると歯は再石灰化されないまま脱灰状態になります。だらだら食いなどはむし歯になりやすい典型的な食べ方ですので気を付けましょう。
歯はおなかの中で作られます
妊娠7週頃に歯の芽ができ始めます。この時おなかの赤ちゃんは11mmぐらいの大きさ。妊娠4~5ヵ月ころには石灰化といって、歯が硬くなっていきます。また妊娠3ヵ月~4ヵ月頃に永久歯胚もつくられ始めます。そして出産時には歯ぐきの中にはしっかりと乳歯が形づけられ、永久歯の芽も植わっている状態になります。
妊娠中のママの歯と栄養
バランスの良い栄養補給がおなかの赤ちゃんの歯質を丈夫にします。 歯の芽を大切に育てるために、特に歯の形成に必要なたんぱく質やカルシウム、ビタミンを多めにとり、バランスのよい食生活を心がけましょう。
かつては「一子生むと一歯失う」などといわれましたが、おなかの赤ちゃんにカルシウムを取られるからむし歯になるわけではありません。ママがバランスのとれた栄養をとり、お口のケアをしっかり行うことで歯を守ることはできるのです。
むし歯菌は、食べ物の口うつし、スプーンなどの食器の併用から唾液を介して感染します。ママや家族のお口の中にむし歯菌がたくさんいると、何らかの機会にむし歯菌が赤ちゃんのお口に感染しやすくなります。
赤ちゃんに感染させないために!
生まれてくる赤ちゃんの歯を守るには、出産前にママを含む家族みんなのお口の中からむし歯菌を減らすことがとても大切。やわらかな乳歯はむし歯菌の大好物、もしむし歯になってしまったら他の歯にもむし歯が広がってしまう可能性があります!生まれてくる赤ちゃんの強い歯を育てるために、妊娠中から家族みんなお口をきれいな状態にしておきましょう。
※1 歯のエナメル質が溶けだす(むし歯が進行する)こと。
※2 歯が修復(歯の溶けかかった所が埋まって再生)されること。