毎日すくすく成長する赤ちゃん。実は身長や体重だけでなく、お口の中も日々成長しているって知っていますか?
赤ちゃんにとっての大切な栄養源はママの母乳やミルク。この時期、固形の食べ物は口にしませんが、お口の中では食べ物を食べるための準備が始まっています。
生まれてまもない赤ちゃんがおっぱいや哺乳ビンに吸いつく行為は吸啜といい、生まれつき備わった原始反射です。唇や顎の動きはあまり見られませんが、お口の中では活発に舌が動き、母乳やミルクを一生懸命飲んでいます。この吸啜反射は成長と共に弱まっていき、生後約6ヶ月で消失します。
吸啜反射が消失すると、舌の活発な動きもおさまりスプーンで食べることが可能になってきます。初めての乳歯である下の前歯(乳切歯)が顔を出し始めるのもこの頃です。上下の前歯である乳切歯が生え揃う生後8~9ヶ月頃になると唇と舌と別々に動かせるようになり、舌で食べ物を押しつぶせるようになっていきます。
お口の発達には、母乳やミルクをしっかり吸うことがとても大切です。また、赤ちゃんは舐める・噛むという行為を通し、さまざまな物をお口で確かめていきます。お口を動かすことは、食べることをはじめ、体や脳の発達にも重要な役割を担っているのです。
赤ちゃんの歯は、生後6ヶ月頃に下の前歯(乳切歯)から生え始め、2歳半から3歳頃までにゆっくりと時間をかけながら生え揃います(※1)。
哺乳ビンで飲み物を飲むときは…
歯が生え始めたら、むし歯にも注意が必要!ジュースやイオン飲料を日常的に哺乳ビンで飲ませていると、上の前歯の歯と歯の間や歯と歯ぐきの境目が白っぽくなったり、むし歯が進行して前歯が溶けて無くなります。歯が白くなるのは、歯の表面が溶かされている(むし歯になりかけている)証拠。哺乳ビンの中には、ミルク以外は入れないようにしましょう。どうしても哺乳ビンで飲ませるときは、できるだけ甘い飲み物が歯と接する時間を短くすることが大切です。歯が白くなっていることに気付いたら、小児歯科医を訪ねましょう。
転んで歯で唇を切ったり、歯をぶつけてしまったら…
歯が折れたり、抜けてしまったら…
最も大切なことはできるだけ短時間で適切な処置を受けることです。30分以内に歯を探し、できるだけ早く歯科医院を受診しましょう(※2)。
乳幼児期のむし歯は、治療しにくいといわれます。必ず仕上げみがきをすること、そして以下のことにも気をつけましょう。
また、甘いものを食べる習慣をつけないためにも、甘いものを口にする年齢をなるべく遅くしましょう。おやつを食べる場合は、だらだら食べず短い時間で食べること、1日2回などおやつを食べる時間を決めること(ジュースも1回のおやつと考える)、おやつの後に水やお茶を飲むこと(できれば歯みがきも)を意識しましょう。
いろいろなものを食べるようになると、乳歯の上の前歯に茶色い色が着くことがありますが、これは食べ物の色素などで病気ではありません。歯磨剤を使い始めれば取ることができますので、心配しなくても大丈夫。どうしても気になる場合、歯科医院でも取ることができます。
また、1歳半健診の歯科健診で、「開口」や「反対咬合」を指摘されて不安になるママもいるかもしれません。奥歯で噛んでいても、上と下の前歯が開いてしまう開口は、指しゃぶりによる代表的な不正咬合です。早い時期なら、指しゃぶりの癖を止めたり、筋訓練をするだけで治ります。
反対咬合は乳歯の噛み合わせが逆になることですが、永久歯もそのままとは限りません。矯正の時期やタイミングは人によって違うので、まずは、3歳児健診の時によく歯科医師と相談しましょう。矯正期間は、歯並びの程度や患者の協力度によっても異なります。取りはずしのできない装置をつける場合は2~3年かかります。その後も噛み合わせを守るため定期的な通院が必要になります。
赤ちゃんの成長は嬉しい反面、むし歯、歯のけが、噛み合わせなど、ママパパには心配ごとも増えてきます。正しい知識を持ち、かかりつけの歯科医と相談しながら、大切な赤ちゃんの歯を守っていきたいですね。
※1 生える順番や時期については個人差があります。
※2 意識を失ったり頭に外傷、顔面に大きなキズが認められた時は、脳外科または、外科を受診しましょう。