太陽の光は、目に見える可視光線と、目に見えない赤外線や紫外線に分けられます。紫外線は地表に届く太陽光の中で波長が最も短いもので、波長の違うA・B・Cの3つがあります。そのうち、地球の表面に届いて私たちのカラダや皮膚に影響を与えるのはAとBの2つで、UV-A・UV-Bと呼ばれます。
UV-BはUV-Aに比べて日焼けを起こす力が600~1,000倍強いといわれており、短時間で肌が真っ赤になる「サンバーン(炎症)」と、その後に肌が黒くなる「サンタン(色素沈着)」を引き起こします。また、UV-Bは炎症やシミの原因となるだけでなく肌表面の細胞のDNAを傷つけるなど、強い影響があります。
一方、UV-Aは即時的な影響はUV-Bほどではありませんが、より肌の奥に入り込む性質があり、慢性的な紫外線障害である「光老化」につながります。
紫外線の量は、季節・天候・高度・緯度(南北)によっても違います。紫外線は直接太陽から届くだけでなく、地面などからの照り返しによる反射光や散乱光もあります。
たとえば、新雪では照射した紫外線の80%が反射しており、砂浜では10~25%、コンクリートやアスファルトでは10%、水面では10~20%が反射しているといわれています。日陰は日向の50%の紫外線量であることや、屋内ではたらく人は、屋外ではたらく人の10~20%の紫外線を浴びているといわれています。
曇りの日は日焼けしにくいというイメージもありますが、薄雲の場合は80%以上の紫外線が通過します。
紫外線を浴びすぎた場合のカラダへの影響は、いわゆる日焼け(サンバーン・サンタン)やシミ・シワはもちろんのことですが、これらの症状が慢性的になると、皮膚がんや白内障を引き起こすおそれがあります。
肌が未発達で薄い赤ちゃんは、大人に比べて紫外線による悪影響を受けやすいため、さらに注意が必要です。1998年までは母子手帳に記載されていた「日光浴」が、現在は「外気浴」だけに改められています。紫外線の強い時間帯の外出は控える、強い日差しが直接赤ちゃんに当たらないよう工夫をするなどの対策をしましょう。
帽子や日傘、衣類で防ぐなど、日焼け対策にはいろいろな方法があります。また衣類などで覆うことのできないところには日焼け止めを使うことも効果的です。
一口に「日焼け止め」といっても、その効果や特徴はさまざまです。使用シーンにあった日焼け止めを選んで使用するとよいでしょう。
一方で、紫外線は肌に有害だから絶対に浴びないほうがいいというわけではありません。
カルシウムの代謝に必要なビタミンDは、UV-Bが皮膚に当たることによって合成されており、食事からのビタミンDと合わせて必要量を得ています。紫外線量の少ない高緯度地域に住んでいる場合や、過度に日光をさえぎる生活を送ることで、ビタミンD不足につながると報告されています。ビタミンDの不足はカルシウムの吸収不足から骨や歯の形成に影響し、くる病の原因となります。
母子手帳では、天気のよい日に薄着で散歩する「外気浴」がすすめられています。特に、母乳で育てている赤ちゃんや食事制限をしている赤ちゃんは、骨の成長に必要なビタミンDが不足しがち。冬場には1日15分程度の適度な日差しを浴びるとよいでしょう。朝起きたときに光を浴びる習慣をつくると、体内時計を整えるのにも役立ちます。
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