コラム
2019/11/30

妊娠中のお口の中の変化に関する基礎知識

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妊婦さんのお口の中に起きる変化

妊娠すると、お口や歯のさまざまなトラブルが起こりやすくなります。

<妊娠中のお口の中の変化>
・歯肉(歯ぐき)が腫れる、出血する
・冷たいものや熱いものがしみる
・歯が痛む
・むし歯ができやすくなる
・口の中がネバネバする
・口臭が強くなる

主な原因は女性ホルモンや食生活

妊娠中は、女性ホルモンがたくさん分泌されます。それに伴い、歯周病菌が増えて妊娠性歯肉炎が起こりやすくなり、歯肉の出血や腫れなどの症状が見られます。

唾液には、お口の中を清浄化する、pHを一定に保つといった口内の環境を整える働きがあります。妊娠すると、唾液の分泌量が減ることがあるほか、唾液の質が変わることでお口の中が酸性に傾くこともあり、口内の環境が悪化しがちです。

さらに、つわりや体調の変化により、何度も飲食したり、歯みがきの回数が減ったりする人も多く、むし歯のもととなるプラーク(歯垢)がたまりやすい状態になります。

妊娠によって引き起こされるこのようなさまざまな変化が、お口の中の不快感や口臭、むし歯、歯周病などにつながるのです。

女性ホルモンの分泌量の変化やつわりは妊娠時の自然な現象ですが、歯科健診で歯の状態を知り、歯石をとるなどのケアをしておくと、お口と歯のトラブル予防に役立ちます。

妊娠を計画したら歯科医院へ

妊娠すると、お口の中の環境が変わり、トラブルが起きやすくなります。また、妊婦さんのむし歯や歯周病は、赤ちゃんの健康に影響を及ぼすというデータもあります。特に、重い歯周病は早産等の原因となることがあるので注意しましょう。

そのため、「妊娠したら歯科医院へ」という呼びかけが進んでいますが、お母さんと赤ちゃんの健康を長い目で考えた場合、「妊娠を考えた段階で歯科医院へ」という考えが世界各国で推奨されています。

重要なのは、妊娠前にお口の健康チェックを行い、むし歯や歯周病の治療や歯石とりなどを済ませて、良好な口内環境に整えておくことです。妊娠後は、妊婦歯科健診を受け、必要なら治療を行いましょう。通院が難しい場合は、安定期に入るまで待つなど体調に合わせて無理のない範囲で治療を進めます。お口の中の健康に妊娠前から気をつけて、出産時のリスクを下げましょう。


 
監修/雫石聰(しずくいし さとし)
大阪大学名誉教授、歯科医師、歯学博士
1947年大阪府生まれ。1971年大阪大学歯学部卒業。1978年より同大学歯学部にて講師、准教授を務めた後1992年より予防歯科学教授、2002年より同大学歯学部附属歯科技工士学校長、2006年より同大学歯学部附属病院病院長を歴任。2010年大阪大学名誉教授、サンスター(株)顧問に就任。
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