歯の研究においては、むし歯は「歯質」「食事(糖質)」「細菌」の3大要因から発生するとされてきました。近年になり新たに加わった要因が、「時間」です。
むし歯菌は、砂糖をはじめとする糖質をエサにしてネバネバしたプラーク(歯垢)を生み出します。そして、プラークの中で糖質を分解して酸を作り、歯の表面を溶かします。これを「脱灰」と呼びます。
一方、食後に分泌される唾液が口の中をアルカリ性~中性に戻し、唾液中のカルシウムやリンが歯の表面に戻って修復されます。これが「再石灰化」です。
適切な食事間隔で生活していれば、「脱灰」と「再石灰化」が交互に起こるので、むし歯菌がいても、すぐにむし歯にはなりません。ですが、頻繁に飲食をしていると、再石灰化する時間がなく、歯の表面が酸に長い時間さらされるため、むし歯になりやすくなります。
むし歯以外の原因でも、歯が溶けたり欠けたりする酸蝕(さんしょく)という症状があります。注意したいのは、酸性のジュースやイオン飲料を一日に何度も飲む、哺乳びんやストローで長時間口に含むといった習慣です。歯が酸に接触する時間が増えるからです。
小さなお子さまの食生活は、バランスのとれた3食と、カラダの発達にあわせた補食が基本です。離乳食期は、将来の健康に大きく影響する生活リズムの基礎を身につける時期でもあるので、赤ちゃんだけのこと。と捉えるのではなく、家族みんなで食生活リズムを意識してみましょう。
まず、「食べ物や飲み物をほしがったらすぐに与える」を避け、きちんと再石灰化ができるよう、飲食と飲食の時間を空けてください。加えて、何かを口にしたら歯をみがく習慣が重要です。外出先にいるなどの事情で歯をみがけないときは、水やお茶を飲む、うがいをするなどのケアをおすすめします。
まだ歯みがきができない赤ちゃんは、ガーゼや歯ふきシートなどで歯の表面の歯垢などを拭いてあげましょう。眠っている間は唾液の分泌が減るので、寝る前に飲食したら、忘れずにお口のケアをしてください。