うんちの回数や色をチェックできていた赤ちゃんの頃と違い、おむつをはずしてしまうと、子どもの排便のペースを把握しきれない場合もあります。トイレタイムが長い、トイレをいやがる、食欲がない、すぐに満腹になるなどに気づいたら、うんちの頻度などに目を配ってみましょう。
うんちが週に3回より少ない場合で、硬くて出にくい、おなかがはるなどの症状が続けば、便秘症と考えられます。腸に便がたまりすぎると少量の便が頻繁に漏れ出るようになります。小さいコロコロ便や、軟らかい便が少しずつ、1日に何回も出ている場合も便秘の疑いがあります。
また、便秘に伴って、発熱・食欲低下・下血・腹部が膨れる・体重減少などがみられる時は、迷わず医師に相談してください。
「うちの子どもは快便だから大丈夫」という場合でも、子どもが便秘を発症しやすい時期を知っておきましょう。それは、トイレトレーニングの開始時期や通園・通学の開始時期です。これらのタイミングに、不快なトイレタイムを経験することにより、排便を避けるようになるケースがあるからです。
まずは食事や生活習慣の見直しからはじめることをおすすめします。早寝、早起きをして規則正しい生活をするとともに、子どもの様子を確認しながら次の方法を試してみましょう。それでも便秘の状態が改善しない場合は早めに医療機関に相談を。便秘が1~2ヶ月以上続く場合はきちんとした治療が必要になります。腸やカラダに特別な原因があることもあるので、医師の指導のもとで便秘の改善に取り組んでください。
・マッサージ
おなかを大人の手のひらで「の」の字を描くようにマッサージ。左足のつけ根の上にある「S字結腸」のあたりをやや強めに押すと効果的です。
・食事の量を増やす
適切な食事量には個人差がありますが、食事の量が少なすぎると、うんちを作る材料が不足してしまう可能性があります。
・水分の量をチェック
水分の摂取で便秘が改善するわけではありませんが、うんちをやわらかくして出しやすくする予防効果はあります。 特に夏あるいは冬に水分摂取量が少なくて便秘が悪化する場合もありますので、こまめに水分をとるようにしましょう。
・食物繊維を増やす
食物繊維には、善玉菌(乳酸菌やビフィズス菌など)を増やす水溶性食物繊維と、水分を吸収し、膨張して便の量を増やすことで腸の蠕動運動を活発にする不溶性食物繊維の2種類があります。野菜や果物、豆類、きのこ類、海藻類を積極的に食事に取り入れて、バランスのとれた食事を心がけてください。
・ヨーグルトなどの発酵食品を摂る
善玉菌(乳酸菌やビフィズス菌など)をふくむ発酵食品を摂ることで、腸内フローラが改善され、便秘の症状が改善する可能性があります。
・適度な運動をする
カラダを動かして、腸の運動を活発にしましょう。ハードな運動は必要ありませんので、楽しくできる程度の運動を1回1時間以内で週2回程度やるようにしましょう。
・朝食後の時間に余裕を持たせる
通園や通学がはじまると、朝が慌ただしくなりがち。朝食後に便意を感じても、精神的なゆとりがないと、ゆっくりうんちができず、便秘になってしまう場合もあります。家族みんなで朝をゆっくりと過ごしてみましょう。
私たちの腸の中には、体内の菌(微生物)のうち約9割が存在するといわれています。腸内に棲む菌の集まりを、腸内フローラ(菌叢:きんそう)と呼び、便秘や下痢といったおなかの健康だけでなく、全身の健康にも影響することがわかっています。
腸内フローラは3歳頃までに育成されるといわれているので、善玉菌を増やしたりはたらきを助けたりする食べ物を、子どものうちに積極的に食べましょう。野菜や発酵食品が不足している人は、ぜひ食べる量を増やしてみてください。
「子どもが便秘だけど、ツラいのはトイレタイムだけだから」「野菜や発酵食品を食べたがらないから仕方ない」と軽視していませんか?
4歳以下で便秘と診断された子どもの40%以上が治療を受けたにもかかわらず学童期になっても便秘による症状が残るというデータや、5歳以上の小児期に便秘になった子どもの25%は便秘が改善しないまま大人になるというデータがあります。
便秘が進むと、痛みをともなう排便を避けようとするあまり、通常の姿勢でトイレでの排便ができず、幼稚園や学校のトイレをいやがる子どももいます。また、腸にたまった硬い便と腸の間から下痢便が漏れ出てしまう「漏便」をおそれるあまり、登校拒否につながってしまう場合もあります。
幼稚園や学校でお友達と元気に過ごしてもらうためにも、将来の便秘を防ぐためにも、子どもの便秘を放置せず、早めの対策を心がけてください。
※この記事で取り上げた便秘とは、疾患が原因の便秘ではなく、毎日の生活習慣などが原因による慢性的な便秘(慢性機能性便秘症)を指します。