《守るための、縁の下のちからもち》第１回　ラグビー選手を支えるメディカルトレーナーという仕事

お口の健康を保つことは、全身の健康にかかわる大きな問題です。人生100年時代といわれるこの時代には、身体の健康を保つことがいつまでもイキイキ過ごすために大切。そこで、みなさんの健康を守るためにベストを尽くす、「縁の下のちからもち」を、さまざまな分野からご紹介します。

プロフィール

2019年に開催されたラグビーワールドカップの熱狂から続くラグビー人気。国内最高峰のリーグ戦であるトップリーグでは、国内外の一流選手がしのぎを削り、素晴らしいプレーを見せてくれました。

しかし、なんといっても激しく肉体をぶつけ合うスポーツですから、選手たちは強靭な肉体作りやコンディション作りが必要で、さらに練習や試合での怪我への対応も必須です。

これを支えるのがメディカルトレーナーというお仕事。さて、どんな内容で、この仕事から見たラグビー選手のすごさや素顔はどんなものなのでしょうか。

昨シーズンのトップリーグで５位に躍進。スター選手も数多く所属する「NTTコミュニケーションズ シャイニングアークス」のヘッドメディカル、髙野宏樹さんに、ファン歴40年、いつも試合を見て感動で泣いてしまうラグビーフリークのライター岩瀬が伺います。

ラグビー選手は医学の常識を超える！？

彼らといると混乱しますよ。医学の常識を超えてきますから。（笑）

まずケガからの回復力。ある日本代表にも選ばれている選手なんですが、選手生命の危機ともいえる手術をして、回復に１年かかるはずなのに、半年で復帰できた。

メディカルトレーナーの立場とすれば、たくさんの研究を重ねて、積み重ねた資料もある。その立証した結果をもとに復帰までの期間や状態を想定しているのですが…彼らといったら…リハビリの強度もすごいですし、想定した常識を超えて回復していってしまう。（苦笑）

今までいろいろなスポーツに関わってきましたが、本当に彼らはすごいです。

マルチカルチャーの中での信頼関係

例えば練習後のアイシング。こちらとしてはしてほしい。でも選手によって必要、不要の感覚が違います。トップレベルの選手ですからここまでくる間で成功したやり方があって、それは尊重したい。でも必要性は伝え続ける。そこはせめぎあいです。

お互いプロ同士であるということです。彼らはラグビー選手としてのプロ、こちらはメディカルのプロ。彼らが私のことをプロと認めてくれるように日々の仕事に取り組む。そして実証、データをしっかり提示する。その上でお互いのマインドを理解しあう。

今季、南アフリカ代表の選手が加わりました。彼は「君のプロとしての考えをいってくれ。それを受け入れる」といってくれましたが、それに応えていかなければいけません。

国でいえばニュージーランド、豪州、南アフリカ、トンガの選手がいて言語だけではなく考え方も違う。回復のスピードや筋肉量などフィジカル面でも違うんです。

彼らが安心してプレーできるように、肉体面、精神面ともにしっかりコミュニケーションをとりながらケアしています。私は幸い、今までのキャリアで英語が使えますので、それは役立っています。

世界のトップチームでの経験が生きる

きっかけは中学の時、サッカーをやっていて、ドイツの1FCケルンというチームに短期留学しました。

はい。でもそこで一番印象に残ったのが医療施設。すごいなと。もともとスポーツ選手と関わる仕事をしたいという思いもあったので、そこからこの仕事を目指し、高校卒業後はアメリカに留学しました。

インターンシップでアメリカンフットボールのピッツバーグ・スティーラーズ、アイスホッケーではNYアイランダースなどに関わることができました。それからニューヨーク州の大学で７年間、アスレティックトレーニングの仕事をしました。

ラグビー選手の素顔は「大きな子供たち」

我慢強いといいますか、黙っているタイプもいますよ。試合に出たいからです。怪我の具合によっては、僕からもコーチからもストップがかかりますから。子供が歯医者さんに行きたくないから痛いのを我慢していわないみたいな。（笑）

そうなんです。少しの変化を見逃さない。大丈夫だといってもいつもよりも足の動きがおかしいなど、注意深く見ています。

50名です。もちろん私だけではなく、４人のスタッフで手分けしながらですが。だからミーティングは欠かせません。コーチ、メディカルトレーナー同士。共有するための時間はとても長いです。

マニアックでもいいですか？

胸鎖乳突筋という、首筋から鎖骨にかけて通っている筋があるんですが、そこにぐーっと力が入るところはたまりませんよ。ぜひ。

シャイニングアークスの試合日程などの情報はこちらをチェック！
https://www.ntt.com/rugby/