サンスター財団が運営する「サンスター心身健康道場」(大阪・高槻市)。サンスター社員の健康増進を目的に設立された福利厚生施設です。
そこで今回、2日間のプログラムを体験してきました。「道場」というと厳しい鍛錬や、「鬼師範」の叱咤激励なんてイメージも沸きますが、もちろんそんなことはありません。正しい道(方法)を知って、健やかな毎日を過ごす。そのための楽しい時間でした。プログラムを順番にお伝えしていきます。
体験者プロフィール
13:00 「入門」&施設見学
会場に入るとすでに参加者が身軽な格好に着替えて、ほがらかにおしゃべりしていました。今回は大阪、兵庫から来たという6名の女性たちです。まずはひとりずつ体組成測定と血圧、体温測定を行います。
ひどくはないけど大丈夫でもないという微妙な血圧や数値でした
参加者に聞くと、みなさん、体脂肪率も内臓脂肪レベルも実に健全。中には「20歳から体重が変わってないんですよ」なんて方も。健康意識が高い方が多く驚きました。
13:30 道場長による「健康セミナー」
ここで道場長が登場です。どんな鬼瓦(失礼!)が登場するかと思えば、なんとも物腰の柔らかな紳士。この方が7代目道場長の佐藤雄彦さんです。
オリエンテーションの語り口も優しい佐藤道場長
ここで参加者の自己紹介も行われました。「自己流ではなく正しい健康法を知りたい」「身体に良いだけではなくおいしい玄米菜食を作りたい」など動機はさまざまですが、単に痩せたい、血圧などの数値を改善したい、というのではなく、健康への意識が高い方々だということがわかりました。
道場長の講義のテーマは「健康道場の三要素」。健康に過ごすためには、「食事・身体・心」という三要素が大切。これを普段の暮らしの中でも意識できるように、この道場での体験を通してヒントが得られる、という内容でした。これが後々すーっと腹に落ちていくことになります。
14:20 メンタルトレーナーによる「マインドフルネス」
講義から今度は実践へ。「マインドフルネス」は呼吸や自分の身体の内面に意識を向けることで、集中力、記憶力、想像力を高め、生活のパフォーマンスを向上させようとする考え方。そのひとつの手法が「瞑想」です。
しばし、静寂の時間。こういう時間は久しくなかったなあ…としみじみ
「目を閉じて沸いてくる雑念や意識を、良い、悪いで評価しないで、受け流していきましょう」。その言葉通りにしていくと、次第に時間の感覚が薄れ、ふわっと軽い気持ちになりました。瞑想というと一見難しそうですが、マインドフルネスの方法なら、日常生活の中でほっと心落ち着く時間をつくっていくことが可能だと感じます。例えば、「歩行時に足裏の感覚に意識を向ける」、「五感を研ぎすませて食事をゆっくりとる」といったことから始めることができるでしょう。
14:50 健康運動指導士による「身体の歪みを整える体幹運動」
心の後は身体。特に腹横筋(ふくおうきん)を意識する簡単なストレッチを体験しますが、正しい方法を知るとはこういうことかと実感しました。先生の指導でしっかりやると、とんでもない負荷がかかるのです。でもみなさん楽しそうに取り組んでいました。
集中して正しい方法でやるとこんなにも違うんだ!と実感
15:50 冷温交代プログラムなどの体験
「冷温交代プログラム」は、約18℃の水と約42℃のお湯に、交互に9回入るというもの。最初は足先だけでも辛い冷水。その後に入る温水は天国です。インストラクターの軽妙なトークに乗せられて続けていくと、最後は冷水でも肩まで浸かることができました。
最初は冷水の時間が長く感じられ、温水は短く感じられました
自律神経のバランスを整えるのに良いといわれる「冷温交代プログラム」。心が落ち着いてリラックスした気分になることができます。さらに、身体にもメリットがたくさん。むくみや冷え性への効果が期待されるといわれています。さらにインストラクターによれば「化粧のノリが全然変わるんですよ」。男ではありますが自分の肌の実感として…わかりました。
続いて身体の歪みを補正できるとされる木枕の体験に、健康道場製品の試飲で、この日は終了。心と身体が活性化したせいか、心地よい気分で就寝することができました。
9:45 手作り青汁朝食
2日目のスタートです。昨日のさまざまなプログラムのおかげか、身体も頭も軽い。朝食代わりの青汁がスーッと身体に沁みてきます。この青汁、柑橘の爽やかさも効いていて、おいしい!
その場で作られた青汁。素材を目の前で見るとより美味しく感じられます。
心身健康道場オリジナルの手作り青汁は、水80gにほうれん草、小松菜、キャベツ、にんじんを各10gと、セロリとパセリを少しずつ。さらに、美味しく飲みやすい秘密として、約1/8個のりんごと薄切り1枚のレモン(1人分)を追加。これを加えると、がぜん風味がよくなるのです。考え抜かれたレシピですが、家で作るときはあるものでアレンジしても大丈夫とのこと。いずれにしても、素材を自分でわかって作るというのはとてもいいことなんだと感じました。
10:00 栄養士による「玄米菜食の実践と効用」
さまざまな実証データを基にした、玄米菜食の効用についてしっかり学べる講義ですが、クイズや対話が取り入れられ、楽しく学習できます。普段の食事に関心を持ち、健康を意識する。でも、無理なく楽しむことが大切だと教えてもらいました。
10:50 歯科衛生士による「お口の健康について」
体の健康を保つにはお口の健康が不可欠、ということでサンスター歯科衛生士よりお口ケアについて学べる講義です。特に印象深かったのは、唾液の話。よい唾液を多く出すことで口内環境が良くなるのだそうです。そのための一つの方法がよく噛むこと。
歯みがきの方法や口内にある細菌の情報などを楽しく学べました
せんべいが配られ、この1/4を何回噛めるかを実験します。僕は32回かめましたが、推奨回数はなんと60回!まだまだ噛む回数は足りませんでしたが、よく噛んで唾液とからむことでよりおいしく感じられるという実感もありました。これは、普段の生活でも意識してできそう。
12:00 健康道場オリジナル玄米菜食ランチ
アイディアいっぱいの玄米菜食ランチ。例えば玄米いなりちらしは、酢飯にすることでクセをなくし、玄米が苦手という方でも食べられるように工夫されています。「道場からあげ」は木綿豆腐を使った唐揚げ。さらにこの地の名物である水寒天もあり、食の好奇心をくすぐられます。
少食は胃腸を休めるという大きなメリットがありますが、単に食事を減らすと栄養素の摂取量も減ってしまいます。だから栄養素が豊富な「玄米菜食」が理想。とはいえ、ただ制約するだけではストレスもあるでしょう。
健康道場のレシピは家でも続けやすく、おいしく、楽しいもの。もちろん玄米食でも早食い、ながら食べでは意味がありません。マインドフルネスや口内衛生の考え方と組み合わせて、ゆっくりと噛み、その音や感触、しみだしてくる味や香りを感じながら食べる。これで効果が得られるのです。
創意工夫のおいしいランチに心身健康道場の気持ちが込められていました
この時間は参加者、道場長、スタッフがランチをしながら、2日間の感想を語り合い、また、今後暮らしに生かしていくためのアイデアを交換しあう場。おいしいからこそ楽しい時間が過ごせます。
ランチ後はアンケートの記入、道場長のお別れの挨拶があって13:30退門。
この2日間はその後の毎日のために
2日間で実感したのは、自らの生活習慣を見直す気付きがたくさんある体験だったということです。何のために心身を健康に保つか。道場長やスタッフのお話をまとめると、優しいメッセージが見えてきます。それは「歯が健やかで、心が穏やかで、身体の中がきれいなら、一生おいしいものを食べることができて、幸せに生きられる」。そのために「こうでなければいけない」、「こうしなければいけない」という決まりはないのです。
お土産もいただきました!
腹横筋や呼吸、噛む回数を意識し、時折青汁や玄米菜食を取り入れるだけでも、今より少し幸せな日々を送ることができる。学んだり、鍛えるのではなく、なんだか応援をしてもらっているような2日間。充実感があったことはもちろん、いつも以上に笑顔だったような気がします。
後日談なのですが、まずは噛む回数と腹横筋への意識がすごく高まっています。なんだか調子がいいんです、これが。
取材・記事 岩瀬大二
撮影 片山よしお