「生まれたばかりの赤ちゃんは、お母さんからもらった免疫があるから病気になりにくい」「お母さんからもらった免疫が切れると病気になりやすくなることも」といった話を耳にしたことはありませんか?もともと生まれたばかりの赤ちゃんは、免疫が十分ではなく、ウイルスなどの攻撃にさらされやすい状態にあります。そんな赤ちゃんを守ってくれるのが、母親から赤ちゃんへの最初の贈り物ともいえる母乳です。実は母乳(特に初乳)には、高濃度のラクトフェリンが含まれていて、この成分が、さまざまな菌やウイルスから、赤ちゃんを守っているといわれているのです。
ラクトフェリンについては、乳製品やサプリメントなどで耳にすることが多くなりましたが、その歴史は意外と古く、1939年にデンマークの科学者によって発見されています。ラクト=ミルク、フェリン=鉄と結合する性質を名前の由来とし、少し赤みがかった色をしているため、「牛乳の赤いたんぱく質」とも呼ばれていました。そして「牛乳の~」とつくことからもわかるように、ラクトフェリンは母乳だけでなく牛乳にも含まれています。さらには、私たちの唾液や涙など、粘膜を保護する分泌液の中にも含まれていることから、「生体防御成分」として、外部からの微生物の侵入を防ぐ役割を担っていると考えられています。
赤ちゃんから大人まで、年齢や性別を問わずカラダを守る役割を果たすラクトフェリンは、ウイルスとの関連においても注目の的。多数の研究成果の中から、今回はふたつの研究報告をご紹介いたします。
ひとつめは、カラダを病気から守るのに欠かせない、免疫との関係です。ひとことで免疫といいますが、中でも大きな役割を担っているのが免疫グロブリンです。喉や気管支、腸などの粘膜の表面に存在する「免疫グロブリンA」は、ウイルスなどが口や鼻、腸などから体内へ侵入する際などにはたらく重要な成分。実験で、健康な成人男女30名に、ラクトフェリン(1日あたり270mg)を含む食品を4週間摂取してもらったところ、唾液中の「免疫グロブリンA」の分泌が増えたという報告がありました(※1)。
ふたつめは、感染性胃腸炎との関係です。感染性胃腸炎とは、ノロウイルスなどのウイルスや細菌によって引き起こされる感染症のこと。食中毒だけでなく、人から人へと感染することも問題となっています。「幼稚園でノロウイルスが流行って、子どもから親に感染した」という経験がある人も多いのでは?
そんな身近な健康の大敵ともいえる感染性胃腸炎ですが、幼稚園と保育園の職員346名(解析に用いられたのは335名)に、ラクトフェリンを含む食品(1日あたり200㎎または600㎎)を12週間摂取してもらったところ、感染性胃腸炎への感染率が低減したという報告が出ています(※2)。毎年シーズンになると不安を感じている人には、嬉しい報告といえそうですね!
今回はふたつの研究結果をご紹介しましたが、これ以外にも、世界各国でラクトフェリンの研究が進んでいます。それだけ、ラクトフェリンにはすごい力が秘められていて、期待が持たれているということ。そして、未来の健康を支える存在として、世界中での需要も高まりつつあります。サンスターももちろん、ラクトフェリンに注目!今後も、少しでもみなさまに有益な情報や製品をお届けできるように、日々研究を進めてまいりますので、どうぞご期待ください。
<参考資料>
※1 今中ら,ラクトフェリン2017:115-118,2017.
※2 水木,ラクトフェリン2017:49-56,2017.
取材・記事 クラブサンスター編集部