コラム
2020/08/03

《守るための、縁の下のちからもち》第3回 心の健康に寄り添うメンタルヘルス・カウンセラー

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「心の健康」はカラダの健康と同様にとても大切なもの。もし悩みができた時、その解決を手助けしてくれるのが心理カウンセラーです。
今回は、公認心理師として、数多くのはたらく人の悩みに寄り添ってきた船見敏子さんに、心の健康について普段の暮らしでできることを聞きました。

プロフィール

 
船見敏子(ふなみ としこ)
公認心理師、キャリアコンサルタント
株式会社ハピネスワーキング代表取締役(https://happiness-working.com/
幸せにはたらく人、幸せな会社を増やすために尽力することがミッション。産業分野、自治体で、研修、コンサルティング、カウンセリングを通じ、メンタルヘルス対策及び組織活性化を支援するなど、従業員がワクワクはたらく健康度の高い組織作りに情熱を傾けている。

「私」を大切にするコミュニケーション

船見さんは、悩みを持つ人々と、数多く接してこられていますね。
右
はい。カウンセラーはいろいろな分野にいますが、私は、主に企業や組織ではたらく人のメンタルヘルスについてお手伝いしています。


船見さんの著書。はたらく人に寄り添い、組織や企業の健全なメンタルヘルスについて啓蒙する内容です。

最近では会社やはたらき方でも変化が激しく、対応できないといった悩みも多いのではないかと思います。
右
そうですね。例えば普及しつつあるテレワーク。いい側面がたくさんある。でも落とし穴もあります。
今後定着していく可能性があるので「落とし穴」というのは気になります。
右
会社の人たちと、普段顔をあわせていれば雑談もできますが、テレワークが続くとそれがなくなり、人間関係が壊れるケースもあります。解決策として、仕事の合間にオンラインお茶会を取り入れるなどすると良いと思います。
テレワークは、「顔が見えない」という不安を持つ方もいらっしゃいますし、従来とは違う文字やオンライン中心のコミュニケーションに、うまくいくのかとプレッシャーを感じる方もいらっしゃるのでしょうね。
右
伝え方のコツを身につけるといいですよ。「アサーション」をご存じですか?
いえ、初めて聞く言葉です。
右
「相手も自分も大事にするコミュニケーション」のことで、その中に「相手を尊重しながら言いたいことを伝える手法」があります。
具体的にはどのようにしたらいいですか?
右
「私」を主語にするんです。「私は」こう考えています。「私は」こうしたいと思っています、と自分の気持ちを伝えるようにしましょう。「あなたはこうだから」というのは相手を傷つける表現になってしまいます。
なるほど、意識してみるようにします!

目の疲れが脳の疲れにつながる

職場を含め、家庭、人間関係など、船見さんが新たに増えてきたなと感じる心の健康の問題はありますか?
右
みなさん、ほんと、疲れてますよね…。ものすごく余裕がなくなっていると思います。
原因はどこにあるのでしょうか。
右
情報の取り込みすぎですね。私たちはスマホ、SNSなど、四六時中なにかを見ています。ストレスチェックをすると99%の人が「目が疲れている」と回答されますが、目が疲れているということは脳も疲れているということです。

目の疲れは脳の疲れにつながっているんですね。
右
そうです。常に何かを見ていると、ずっと思考してしまう。情報を取り込み続け、思考をし続ければ、脳は疲労します。
脳が疲労すると、どうなってしまうんですか?
右
イライラして、人への思いやり、気遣いがなくなってしまいます。ブレーキをかける力もなくなってきやすいので、SNSで吐き出して失敗してしまう人もいます。
どのように改善していけばよいのでしょうか。
右
例えばSNSは1日20分、ニュースは朝と夜の2回など、自分でできる範囲で良いのでコントロールするといいですね。不安だから見る、でも、見るとネガティブになるというネガティブループに陥らないように気をつけましょう。

難しいことは考えず、まずは寝る

これからの時代、心健やかに生きるために、私たちはどのように自分をケアしていけばよいでしょうか。
右
とにかく、しっかり寝てください。
寝ることが解決策になるんですか!?
右
そうなんです。みなさん睡眠時間が足りない傾向があります。睡眠不足による疲れは蓄積してしまいますので、毎日しっかり、できれば7~8時間は寝て、疲れを取るようにしていただきたいですね。
なかなか寝られないという方も多いかと思います。
右
不安があるとカラダが緊張するので眠れないんですよね。カラダを緩めると心もほぐれるので、おすすめしたいのは寝る前のリラクゼーション。私がしているのは「筋弛緩法(きんしかんほう)」。ゆるくいうと「筋肉ゆるゆる体操」です。
どんなものですか?
右
ぎゅーっと一回、カラダに力を入れて、すとーんと力を抜くだけです。腕なら握りこぶしに7割ぐらい力を入れて、10秒ぐらいですとーんと落とす。顔なら、目と口をぎゅっと真ん中に寄せて。肩、お腹、おしり、ふくらはぎ、そして最後は全身。この体操、実は医療現場でも取り入れられているものなんですよ。


顔はぎゅっと真ん中に寄せて10秒。そしてふーっと力を抜くだけ。

最後に、心のケアの専門家としてメッセージをいただけますか。
右
物事は捉え方次第です。一方から見たらネガティブでも、もう一方から見たらポジティブだったりします。そういう風に視点を変え、視野を広げるためには余裕を持つこと。そのためにはしっかり寝て、疲れを取ることです。ぜひ意識してみてください。

取材後記心の健康のためにはよく寝て、疲れを取ること。単純に聞こえますが、おろそかにしがちだったことに気がつきました。船見さんおすすめの「筋肉ゆるゆる体操」をしてみたら、カラダがゆるんで、いつもより早く寝付くことができるようになった気がします。

取材・記事 岩瀬大二
撮影 石原敦志

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