雨やくもりの日が続く梅雨の時期。「カラダがだるい・倦怠感がある」「頭痛が起こる」「首・肩がつらい」など、体調の変化を感じることはありませんか?体調は、気候や気圧の影響で不安定になりやすいといわれています。そんな時におすすめの「ツボ押し」によるセルフケアについて、東西医学の専門家に教えてもらいました。
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梅雨の時期に訴えの多い症状として、全身のだるさや倦怠感、首や肩のコリや痛み、頭痛などがあります。特に、普段からカラダがコリやすい人の場合、梅雨は余計にコリを感じやすくなるといいます。
「人間は外部環境にあわせ細胞の内圧や体温などを絶えず調節していますが、急激な気圧や気温の変化が起き適応しきれないと、それがカラダの不調の誘因となります。特に梅雨の時期は、雨が続いたり、天気が不安定で日ごとの気圧の変化もあります。梅雨前線の発生時に不調を訴える方が多いのは、そうした理由によります」と伊藤先生。
実験では、気圧を下げると、平衡感覚を司る前庭神経や、顔面の感覚と関係する三叉神経に影響が出ることがわかっており、めまいや頭痛などとの関連が示唆されています。
「また、冷暖房の効いた均一な場所で過ごすことが増えた現代人は、環境の急激な変化に弱くなっています。梅雨に限らず、気圧や気温差などの変化に影響を受けやすいカラダになってしまっているのです」
不調改善のポイントは、自律神経系のはたらきを高めること。ウォーキングなど軽い運動が有効ですが、雨の多い梅雨の時期は外で動くのも億劫になりがち。
「そんな時、運動の代わりにツボ押しをすると、血流がよくなり疲労感の軽減が期待できます。さらに、ツボ押しには即効性があり、カラダが楽になるのを感じられるだけでなく、体調を整える面でもよい影響があります」
「ツボ」とは、押すと「痛み」や「しこり」のある場所で、時には気持ちよさを感じることもあり、全身に存在します。
ツボ押しに使う指は、基本的に親指か人差し指です。押し方は「皮膚面に対して垂直に」、または「中心に向かって」押すのが原則。判子を押す程度のやや強めの力で5秒間を1セットとし5回ほど繰り返し押します。押す前から痛みがあったり、熱や腫れのある部位は押すと症状を悪化させる可能性があるため、押さないように気をつけましょう。
伊藤先生がおすすめする「ツボ押し」はボールを使う方法です。指の届かない背中や、押しにくい腰やお尻なども簡単に刺激することができます。
「私自身、色々なボールで試してみましたが、おすすめはソフトボールです。ちょうどいい硬さと大きさで、細身の体型の方でもしっかりツボを刺激できます。背中のツボを押す場合には、布団やベッドなどの上に置いたボールの上に仰向けになって乗り刺激します。やり方は簡単で、ローラーを転がすように肩からお尻にかけてボールを移動させていくだけです」
野球ボールよりもひと回り大きくゴム製が一般的なソフトボールが伊藤先生のおすすめ。
回数は多くて1日1回まで。それ以上やると、もみ返しを起こす可能性もあるため注意しましょう。
「ボールを転がし痛みを感じる場所を重点的に10~30秒ほど押せば、ツボの位置がわからなくても、ツボ押しの効果が期待できます。寝る前に行うと、眠りが深くなり、目覚めもよくなるのでおすすめです」
職場などでは、背もたれのある椅子や壁との間にボールを挟んで転がすのでもツボ押しの効果が期待できます。
WHOが定めるツボの数は361種類ありますが、ここではつらいコリやだるさを解消できる代表的な3つのツボを紹介します。
1 合谷(ごうこく)- 痛み全般に効く万能ツボ
手の甲を上にむけて指を広げ人差し指の骨(中手骨)の真ん中あたりにあります。痛みに万能のツボで前頭部痛も和らげます。
「首のコリが気になる時にもおすすめ。もみ返しなどセンシティブな首を直接触れることなく一般の方でもケアすることができます」
2 肩井(けんせい)- 肩コリに効く代表的なツボ
下を向いた時に首の付け根付近にある骨(第7頚椎棘突起)と肩先(肩峰)を結んだ真ん中あたりにあります。
「肩コリはもちろん、肩まわりの血流をよくすることで集中力を高めるはたらきもあります。カラダをほぐしたい時におすすめのツボです」
3 心兪(しんゆ)- 背中のコリや痛みに効く
肩甲骨の真ん中あたりで、背骨の両脇にあります。
「心臓のはたらきを高めると同時に、精神的な緊張、ストレスを和らげてくれます。肩甲骨の間のコリは心臓や肺などにも影響します。この部分が凝ると呼吸が浅くなり、動悸、不安、不眠、集中力低下など、体調不良の原因になりますので注意が必要です」
自分で簡単にできる「ツボ押し」を実践し、梅雨の時期を健やかに乗り切りましょう。
取材・記事 清水美奈