歯周病は決して特別な病気ではありません。「毎日きちんと歯みがきをしているから、自分には関係ない」と思っていませんか?
実は、歯みがきをするだけでは歯周病を完全に予防することはできません。同じように歯みがきをしていても、歯周病にかかりやすい人とかかりにくい人がいるのです。では、歯周病にかかりやすい人とかかりにくい人には、どのような違いがあるのでしょうか。
歯周病を引き起こす原因となるのは、歯周病菌です。歯周病菌は多かれ少なかれすべての人のお口の中に存在しますが、すべての人が歯周病にかかっているというわけではありません。歯周病が発症するかどうかは、歯周病菌と、歯周病菌から身体を守ろうとする生体防御機能とのバランスが関わっています。
生体防御機能が同じようにはたらいていても、お口の中の清掃が行き届いている人に比べて、お口の中が不衛生で歯周病菌が多い人のほうが、歯周病を発症しやすくなります。一方、十分に歯みがきをしていてお口の中の歯周病菌が少ない人でも、身体の生体防御機能が低下していれば、歯周病を発症しやすくなってしまいます。
身体の生体防御機能に影響を与える要因はさまざまです。遺伝的要因の影響が大きい一部の歯周病を除いて、大人の歯周病のほとんどは「全身の状態」や「お口の環境」、「生活習慣」が大きく関わっています。
最近の研究では、特定の「全身の状態」が歯周病リスクを高めるということがわかってきました。具体的には、糖尿病、肥満、メタボリックシンドローム、骨粗鬆症、妊娠などが挙げられます。これらの病気や全身の状態によって、歯周病菌に対する生体防御機能が弱まり、歯周病が進行しやすくなるのです。
また「お口の環境」とは、歯ぎしりの有無や噛みあわせの状態、お口の乾燥などを指します。そのため、歯ぎしりする癖があったり噛みあわせが悪かったりすると歯周組織に負担がかかり、歯周病のリスクが高まります。お口が乾燥することで、唾液の洗浄作用や抗菌作用がはたらきにくくなるのも同様に歯周病のリスクを高めます。
さらにタバコを吸う、疲労やストレスをためている、よく噛まずに食べる、間食が多い、つい夜ふかしをしてしまう、そんな人も要注意。禁煙やストレスの解消、よく噛んで食べる、間食を控える、十分な睡眠をとるなど、できることからチャレンジしてみましょう。
さまざまな要因が関係しているため、歯みがきだけでは防ぐことができない歯周病。かかりつけの歯科医院で定期的に検診を受けたり、生活習慣を見直して、歯周病のリスクを減らすことを意識していきたいですね。