喫煙は身体に悪い影響を与えますが、喫煙者は非喫煙者に比べて歯周病にかかる割合が高いことが知られています。さらには歯周病にかかりやすいだけでなく、喫煙を続けている状態で歯周病の治療をしても治りにくく、再発しやすいということもわかっています。
タバコの煙の中には約200種類の有害な物質が含まれています。その中でも、特に毒性が強く、量も多く含まれているニコチン、タール、一酸化炭素が三大有害物質といわれています。喫煙すると、タバコの煙に含まれる有害物質は肺だけでなく、お口の中の粘膜や歯ぐきへもさまざまな傷害を与えます。
タバコの有害物質は、歯ぐきの毛細血管を収縮させ血液量を減少させます。歯ぐきに炎症があれば通常は赤くなったり出血したりしますが、喫煙者では血行が悪いためにこれらの症状が現れにくく、歯周病が進行しても気づかないことがあります。さらに歯ぐきの防御機能が正常にはたらかなくなるので、歯周病菌に対する抵抗力が弱まって、歯周病の発症・進行を助けることになってしまうのです。
しかし、禁煙すれば歯周病のリスクが下がることも分かっており、禁煙後約5日で歯肉の血流量が非喫煙者と同程度に回復し、歯周治療によって1年後には歯ぐきが本来の状態に回復します。一方で歯を失うリスクは禁煙の期間に伴い徐々に低下するものの、非喫煙者と同程度となるまでに10年以上を必要とします。
喫煙は、身体の健康にとってもお口の健康にとっても百害あって一利なし。喫煙は習慣化するとやめるのは難しいですが、禁煙することが身体だけでなくお口の健康にとってもよい、ということを心に留めておきましょう。