毎日の丁寧なオーラルケアや定期的な歯科検診が、私たちのお口の健康維持には欠かせません。ケアを怠ってむし歯になってしまった経験がある人も多いことでしょう。
むし歯の悩みを抱えているのは、私たち人間だけなのでしょうか?
野生動物について調べてみると意外な事実がわかりました。野生動物は、歯みがきをしないし、もちろん歯医者さんに行くこともありませんが、むし歯になることがほとんどないというのです。
その秘密を探るために、まずはむし歯ができるメカニズムをおさらいしましょう。
むし歯の発生は、お口の中の原因菌(ミュータンス菌)が糖質(ショ糖)を取り込み、歯垢(プラーク)を形成することから始まります。
つまり、むし歯発生の大きな要因の一つが、食べ物に含まれる糖質(ショ糖)ということ。私たち人間は、毎日糖質(ショ糖)が含まれる食べ物を好んで食べますが、野生動物が食べる肉や草には、ほとんど糖質(ショ糖)が入っていないため、むし歯が発生しにくいのです。
さらに野生動物は非加熱の固いものを食べるので咀嚼回数が多く、唾液がたくさん分泌されることもむし歯になりにくい要因になっているようです。
一方、動物園の動物たちやペットはどうでしょうか?
動物園で飼育されている動物は、糖質(ショ糖)を含む果物や芋類を食べることがあります。量がそれほど多くないので、むし歯になることは滅多にないそうですが、飼育員さんは日頃からお口のなかの状態をチェックしています。むし歯などでエサが食べられなくなってしまうことは、動物にとって命取りになるためです。それはペットも同じです。犬や猫は柔らかいペットフードばかり食べたり、飼い主が甘いものを与えたりすると、歯に食べカスが付いてむし歯になることがあります。家族の一員であるペットの健康のためにも、甘いものを与えるのは控えましょう。
歯みがきもせず、歯医者にも行かない野生動物にむし歯がないのに、私たち人間にはむし歯が多いのは、むし歯の要因の一つである糖質(ショ糖)を含む甘いものを多く食べているから、ということがわかったでしょうか?
糖質を控えたりよく噛んで食べるなど、野生動物をお手本にして、むし歯のない健康なお口を維持していきたいですね。フッ素入りハミガキで「歯質」を強化することや、正しいブラッシングで「原因菌」の住み家となる歯垢や食べかすを取り除く事も大切です。
参考:
毎日小学生新聞 動物は歯磨きをしなくても、虫歯にならないのですか?(2019年1月22日)
Gakkenキッズネット 動物は虫歯にならないの
朝日新聞 動物(どうぶつ)は歯磨(はみが)きなしで大丈夫(だいじょうぶ)?(2015年11月28日付be)