毎日使うハブラシやペースト、なんとなく選んでいませんか?自分の歯や歯ぐきの状態にあったグッズを使ってケアすることは、むし歯や歯周病の予防効果を高めます。
そこで、年代別の口内環境の特徴や、ホームケアにオススメのグッズ、そして正しいケアの方法を、”10~20代”、”30~40代”、”50代~”の3世代に分けて、歯科医の三宅先生に教えてもらいました。
連載2回目は、30~40代のオーラルケアについてです。
教えてくださった先生
Q. 30~40代のお口の中、口内環境の特徴を教えてください。
A. 30代を迎えると、歯周病の症状が見られる方が増えてきます。この年代では、歯の着色など審美的なことを相談にくる方が多いのですが、まずは歯ぐきの状態が健康かどうかをチェックし、歯周病を予防することが最も重要なポイントになります。歯周病は症状のないまま進行し自身では気づかないことも多いため、自覚症状がなくても、チェックを受けることが大切です。
歯肉炎を治療しないまま放っておき、歯を支える骨にまで炎症が広がった状態を歯周炎といいます。歯周炎になると、歯ぐきの腫れや出血のほか、冷たいものがしみたり、膿が出るといった自覚症状が現れることもあります。
こうした自覚症状がある場合、すぐに歯科を受診しましょう。歯周病(歯肉炎・歯周炎)がさらに進んで手遅れになると、歯が抜けてしまいます。できるだけ早く受診し、歯周病の進行を抑えることが大切です。
Q. 歯ぐきの状態のほかに、むし歯についてはどうでしょうか。
A. 40代ぐらいからよく見られるのが「大人むし歯」と呼ばれるむし歯。過去に治療した詰め物と歯のすき間にむし歯菌が入りこむ「再発むし歯」と呼ばれるケースが多く、気づかないまま進行することも多いのです。こちらも、定期的に歯科でチェックすることが、早期発見・早期治療につながります。
Q. 歯周病も再発むし歯も、定期健診を受けることが重要なのですね。自宅でのお手入れでは、どのようなことに気をつければ良いでしょうか。
A. ハブラシは、毛の硬さは”ふつう”または、歯ぐきが下がってきた方は歯ぐきへのあたりがソフトなものを使いましょう。力を入れすぎるブラッシングは、歯にも歯ぐきにもよくありません。毛先を歯の面に当て、軽い力で小刻みに動かしましょう。
また、歯と歯のすき間が広がってきた場合、歯間ブラシなど歯間清掃具を併用します。デンタルフロスは、巻き取りタイプがおすすめ。理由は、歯間ごとにフロスを巻き取るため清潔なこと、詰め物などにひっかかっても片方の指のフロスを取ればスルッと外れるためです。
フロスは40センチほどの長さに切って使う。ひとつの歯間で使うのは1~2センチほど。巻き取りながら使うため、歯間ごとに新しい部分で清掃することができる。
Q. 最後に、オーラルケアの観点から、30~40代が生活習慣で気をつけるポイントを教えてください。
A. この年代で歯周病やむし歯の悪化を防ぎ、いかに健康な状態を維持するかが非常に重要となってきます。後のオーラルフレイルを予防し、健康寿命を延伸するためにもまずは定期健診を受けていただきたいと思います。
また、ストレスも増える年代ですので、歯のくいしばりや歯ぎしり、顎関節症状などの悩みで来院する方も多くなります。マウスピースを作るなどで対策できますので、気になることがあれば、気軽に歯科へ相談してください。
取材・記事 クラブサンスター編集部
撮影 茨木裕子