コラム
2020/09/15

第7回:ベビーの歯みがき。これって早すぎ?強すぎ?みがきすぎ?

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いつから?どんなブラシやペーストを使う?どれくらいの力ですればいい?ベビーの歯みがき、不安と心配がたくさんありますよね。星子さんの妹も日々悩んでいるようです。でも、不安だからといって、恐れて何もしないわけにはいきません。ふたり目の出産の予定もあり、これからのことを考えて、悩みを解消しておきたい!そこで、専門家にベビーのお口のケアのためのアドバイスをいただきました。

今回の相談相手

 
石津実咲(いしづ みさき)
一般財団法人 サンスター財団 歯科衛生士。予防事業部に所属し、企業歯科健診、成人セミナー、小学校・幼稚園への歯科保健指導などを行っている。

生後半年くらいはスキンシップを意識して

左
先生、なんだか妹の子どもは歯みがきが嫌そうなんです。妹は「将来を考えても今からしっかりやってあげないと!」と思っているのですが、やりすぎているのでしょうか?
右
そうですねぇ、ちょっとがんばりすぎちゃいましたね。
左
がんばりすぎですか!
右
でも放置してはいけませんし、気にかけてあげることはとてもいいことです。どのようにしたらよいのか、生まれてからの時系列でアドバイスさせていただきますね。
左
お願いします!
右
ベビーの成長には個人差がありますが、まず意識するのは、乳歯が生えてくる生後半年ぐらいから。下から2本、そのあと上から2本生えてきます。その頃は、濡れたガーゼ、または専用のお口を拭くシートを使って、まずはスキンシップを行いお子さんのお口に触れる練習をしてみてください。
左
半年ぐらいではハブラシは早いんですね。
右
そうなんです。まず、この頃の赤ちゃんは口の中に人から何かを入れられるのが怖いという感情があります。歯が生える前の生後3ヶ月頃から、頬をつついたり、頭をなでたりしてから、お口の中を指の腹で優しく触れてみましょう。お口のケアというよりもスキンシップの時間だと思っていただくといいですね。
左
スキンシップ!いいですね。
右
授乳後や離乳食後のタイミングなどは、あまりこだわらずに。この頃の赤ちゃんは指などを自分の口に運ぶ習慣が出てきます。そういう欲求に寄りそって一緒にふき取るなど、気持ちに寄り添ってみてください。
左
そうか。親の都合ではなく、赤ちゃんの気持ちに寄り添うことが大事なんですね。

乳歯が揃ったらいよいよハブラシの出番

左
ハブラシをはじめるタイミングはいつ頃でしょう?
右
上の前歯が2本生えてきた頃がハブラシ開始のタイミング。お子さんのブラシと、保護者用の仕上げブラシを分けて使ってみてください。


毛先がお子さん用ブラシよりも小さいハブラシ。その分持ち手から毛先を繋ぐ部分が長く、赤ちゃんの小さな歯や、届きにくい奥歯のケアに適しています。

左
その際、ペーストは使ってもよいのでしょうか?
右
はい、使ってあげてください。むし歯対策にフッ素配合のものがおすすめです。ただ、少量でお願いします。切った指の爪ぐらいが目安です。
左
むし歯にならないようにと思うと、つい、つけすぎてしまいがちです…。
右
お気持ちはわかります。ただこの時期は自分でうがいができないので、誤って飲み込んでしまうと、あまりよくありません。2歳ぐらいからぶくぶくうがいの練習もできるので、それまでは少量で。
左
子ども用のペーストはおいしそうな香りなので、慣れてくれる良さがある反面、舐めて飲み込んじゃうこともありそうですね。気をつけます。回数やタイミングも教えてください。
右
基本は毎食後と就寝前ですが、食後、絶対しなくてはいけないと思いすぎないでください。2歳ぐらいまでは、就寝前はちゃんとするとして、食後は機嫌が良い時に様子を見ながらでも大丈夫ですよ。それから、奥歯は自然に舌をよけた時に、ハブラシで優しくなでるようにみがいてみましょう。嫌がらないことを優先にしてあげてください。
左
そうか…。無理しないことも大切ですね。
右
1歳半頃からは「感染の窓」が開きます。これはむし歯になりやすい時期のことなのですが、この時期のケアでお子さんの今後のお口の環境が決まります。しっかりお口のケアをしてあげるためにも歯が生える前から少しずつ慣らしてあげることが重要です。


乳歯が生え揃う2歳半になる前、1歳半ぐらいから赤ちゃん自身にハブラシに触れてもらい興味を持たせる。ただしくわえながら歩くと危険なのでお母さんの膝の上で。

お口のケアの時間を幸せな時間に

左
成長にあわせて考えるということが理解できました。改めてポイントを教えてください。
右
やはり「無理しない」「無理をさせない」ということです。実は赤ちゃんの唾液は大人とほとんど同じ量であり、自浄作用もありますので、たくさんみがかないと!と気を詰めることはありません。むし歯を恐れて無理に歯みがきをして痛がったり、嫌にならないように、1歳半ぐらいまではスキンシップを大切にしていただきたいです。
左
痛がることもあるんですか!
右
はい。特に気をつけたいのは、上唇の裏側と前歯の間で歯肉をつないでいる「上唇小帯」です。子どもは上の前歯の間までそのヒダが伸びていることが多いため当たりやすく、ここにハブラシが当たると痛いんです。ですので、指でそのヒダを軽く押さえ、できるだけ当たらないように注意してみてください。
左
気をつけないと。むし歯になっていないかどうか、歯並びはどうか…なんだか気になることはたくさんありますね。
右
気になることがあれば赤ちゃんに慣れていらっしゃる歯科医院を利用するのもいいですよ。赤ちゃんはむし歯の進行が早いのですが、トラブルのサインを見つけるのが難しいんです。0歳からでも受診可能ですし、1歳半健診のあと、定期的に歯科に検診へ行ってみるのも良いですね。

左
わかりました!歯やお口のケアのことだけを考えるのではなく、この時期はベビーと心を通わせ、まずはスキンシップの一環としてとらえればいいんですね。難しいことだと思っていましたけど、赤ちゃんのお口のケアって、なんだか幸せな時間なんですね。

取材・記事 岩瀬大二
イラスト なとみ みわ

健康なお口ですくすく元気に成長できるように、妊娠期・出産期・育児期にママや家族に知っておいて欲しいことをご紹介しています。詳しくはこちら>>

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