10月22日はアニメの日。「アニメは子どものもの」だった時代は過ぎ去り、今や大人も子どもも楽しめるコンテンツの代表格!そんなアニメに絶対欠かせないのが声優さんです。アニメの声だけでなく、歌やラジオなどで活躍の場を広げる方も少なくありません。
今回インタビューするのは、「あひるの空」「BANANA FISH」といったアニメの声優だけでなく、アーティストとしても大活躍中の内田雄馬さん!普段のお口のケアやトレーニング、日々の習慣などについてお伺いしました。
プロフィール
文化放送のスタジオで。
ラジオ収録のあと、インタビューに応じてくださった内田雄馬さん。普段のオーラルケアはどのようにしているのでしょうか。
「朝と寝る前にしっかり歯をみがくようにしています。目が覚めた時に歯みがきするとスッキリしますし、寝る前も気持ちがいいですよね。一日のはじまりと終わりのメリハリみたいになっています。人と対面する仕事なので、においも気になりますから、マメにケアするようにしています」
歯みがきをする時、どんなことに気を付けているのでしょうか?
「電動ハブラシを使っていたことがありますが、歯ぐきがあまり強くないみたいで…。気持ちよくて強くみがきすぎてしまうので、普通のハブラシに戻して、適度な力でみがいています」
ハブラシはこれと決めているものはなく、いろいろなものを試しているのだそう。
声のお仕事だけでなく、歌やダンス、ミュージックビデオなど、「見られる」お仕事もたくさんあるため、最近はホワイトニングも気になっているのだとか。
「もともと、歯に色が付きやすいので、ホワイトニング効果のあるのハミガキも試してみるようになりました」
ひとりごとでも、毎日話すことが大事なのだそう。
歯のケア以外にも、お口のトレーニングは欠かせません。毎日の習慣としてどんなことをしているのでしょうか。
「きっと、早口言葉をイメージされる方が多いですよね。もちろんそういうトレーニングもするのですが、毎日の習慣として、とにかく喋って口を動かすようにしています。原稿を読んだり、ひとりごとをいったりしますね」
毎日話すことが大事なのだそう。
「使っていないと、声帯やその周りの筋肉が衰えてしまうんです。毎日使って、常にアイドリング状態にしておきます」
その中で特に意識することや気を付けていることはあるのでしょうか。
「上あごの柔らかい部分を軟口蓋(なんこうがい)というのですが、トレーニングしていないとそこが下がってきます。声を出す時には、軟口蓋を引っぱるように意識しますね。ちゃんと上がっていれば、声の抜けもよくなり、お芝居する時に口がよく回るようになります」
「舌の位置や、声帯の周りの筋肉によっても声が変わってきます」と内田さん。
軟口蓋が下がっていると、キャラクターによってはうまくお芝居できないこともあるのだそう。常にメンテナンスをサボらないことが大事なのですね。
「カラダの状態も、声にすごく関わっているんです。僕たちは、マイクの前に立って『走っている時』『起き上がる時』といった動作を声で表現します。その動作を想像しながら声を出すので、かなりカラダを使うんです。だから、カラダを柔軟に保っておくのも声をコントロールするために大切。10分ほどのストレッチを毎日欠かさないようにしています」
そんな内田さんは、数ヶ月前に腰を痛めてしまったことがあったそうです。
「腰が悪いと、そこをかばって声を出そうとするので、別の場所が硬くなったり、筋が痛くなったりします。カラダがこわばって、声が響かなくなっていきます。本当にカラダが資本だと感じましたね」
腰をかばうので、首まで痛くなってしまった、と内田さん。
内田さんは、本番時はその場に適応することを大事にしているのだそう。
普段の習慣に加えて、本番前のコンディションの整え方もお伺いしたいところです。毎回決めていることなどはあるのでしょうか。
「特別なことはしていません。決まりを作ると、それができなかった時に不安になってしまうので。お芝居も、自分の中で決めすぎてしまうと、想定と違った時に対応できません。状況にあわせて、考えながら適応するようにしているんです」
今回の撮影でも、こちら側のニーズを汲みながら協力をしてくれていました。いろいろなことへの適応力が高いのですね。
「もちろん、キャラクターをこう見せたい、と自分なりに準備をしていきます。でも、ほかの役者さんと作っていくので、たいてい違う流れになる。さらに、監督さんの想いもあります。それらをどうマッチングさせて、ベストなものを見つけていくか…。それは声優に限らず、多くのお仕事でも同じかもしれませんね」
周囲の様子を見るだけでなく、自分自身も客観的に見つめ、考えながら表現をしていくことが多いのだそうです。
「思ったような表現ができなかった時に『何が悪かったんだろう』とかなり考えます。原因がわかったら『次はどうすればいいだろう』と、その繰り返し。やりながら、ずっと考え続けるタイプですね」
考え続け、改善していく。その試行錯誤が、内田さんの表現力の秘密なのかもしれません。
自分を客観的に見つめ、考え続けてお芝居をするのが内田さんのスタイル。
ストレッチ以外にも、健康面で気を付けていることはあるのでしょうか。
「食事には気を付けていて、エネルギーや糖質を取りすぎないようにしています。体力配分を考えたり、胃を休めたりすることも大事。胃がもたれていると、頭が回らなくなってしまうんですよね。コンビニで軽食を買う時にも、栄養バランスを考えて選びます」
とはいえ、理想と違って食べたくなってしまうことも…。
「肉が好きなので(笑)、つい食べてしまう時もあります。でも、大好きな肉を食べるために普段どういう食事をすればいいか、という観点で考えています」
最後に、私たちにもできるお口のトレーニングを教えていただきました。
「声のトレーニングで簡単なのは、大きめの声を出すことです。話していて、声が聞こえにくい人っていますよね。そういう人は『声が届くように』と意識するだけでトレーニングになりますよ。僕の仕事でも、声優の仕事と歌の仕事で声の出し方は違いますが、『伝える』ということは共通です。相手に伝えることを意識するだけで、口の使い方や声ってすごく変わっていきます」
お口のケアもエチケットも、目の前の相手を不快にさせないため。また、お口のトレーニングは相手にしっかりと声を伝えるため。そう思うと、お口は人との関係性を作る大切なものといえます。内田さんのように、意識しながら毎日しっかりとケアしていきたいですね。
「歌手も声優も『伝える』という意識は共通です」と内田さん。
取材・記事 栃尾江美
撮影 石原敦志