冷たい水で口をゆすいだ時や、歯みがきの時に歯がしみた経験はありませんか?
歯は、エナメル質、象牙質、神経(歯髄)の3層構造になっています。歯に冷たい物や熱い物が触れたり、ハブラシで強くこすったりしても痛みを感じないのは、エナメル質が内側の象牙質や神経を刺激から守っているためです。
ところが、加齢や歯周病などが原因で象牙質がむき出しになると、ちょっとした温度変化や、ブラッシングの刺激などで、歯がしみるようになります。
加齢や歯周病などが原因でむき出しになった象牙質にあいた穴(象牙細管)から刺激が伝わり歯がしみる原因に。
歯がしみる時に、まず思い浮かべるのはむし歯です。しかし、むし歯がない場合でも、歯がしみることがあります。主な原因には以下のようなものがあります。
●むし歯
むし歯でエナメル質が溶かされて穴があくと、歯がしみるようになります。
むし歯の進行度は、COからC4の5段階に分類されます。むし歯がエナメル質の表面に留まっているC1では痛みはありませんが、歯がしみる症状が出はじめることもあります。
むし歯が象牙質まで進んだC2では、冷たい物や甘い物が歯にしみるようになり、神経にまで進行したC3になると、ズキズキとした強い痛みを感じるようになります。
もっとも初期の「CO」はこれ「シーゼロ」ではなく「シーオー」と読み、Questionable Caries for Observation(要観察歯)の略。
●知覚過敏
むし歯でも歯周病でもないのに、冷たい物がしみたり、ブラッシングで痛みを感じる場合は、知覚過敏かもしれません。
ブラッシング圧が強い、歯ぎしりや噛み締めのクセがある、お酢や炭酸飲料、ワインなどの酸性度の高い食べ物をよく食べる…こうした生活習慣によって、エナメル質が薄くなったり欠けたりすることで、歯がしみるようになります。
歯の外側にある「エナメル質」が摩耗すると徐々に象牙質が露出してしまい、象牙質にある「象牙細管」という無数の穴を通じて、外部からの刺激が神経(歯髄)に伝わり、しみてしまうのです。
むし歯が初期のうちは、知覚過敏と見分けがつきにくいもの。すぐに歯科医院で診察してもらうのが最良の方法ですが、自分でできる対処法で様子を見たいと思う方も多いでしょう。そんな時のセルフケアの方法をお知らせします。
●フッ素入りのハミガキを使う
エナメル質が少し弱くなっているため歯がしみやすいという方には、薬用成分のフッ素が配合されているハミガキがおすすめです。フッ素には、歯の再石灰化を促進するはたらきがあります。そのため、フッ素入りのハミガキを使い続けているうちにエナメル質が補修され、症状が治まることもあります。さらに、歯からカルシウムが溶け出す「脱灰(だっかい)」を抑える作用によって、知覚過敏の予防にも役立ちます。
知覚過敏専用のハミガキもあるので、上手に活用して。
●知覚過敏用の塗り薬を使う
歯科医院では、露出した象牙質に薬剤を塗ったり、表面をコーティングすることで、刺激から歯を守る治療を行っています。近年では、重度の知覚過敏にも効果的なレーザー治療も注目されています。
●冷たい物や熱い物などの温度刺激を避ける
歯がしみないようにするには、冷たい物や熱い物といった刺激物を避けるのが、手っ取り早い方法です。
歯がしみる嫌な感じやキーンとした痛みを何度も感じていると、それを避けるために歯みがきがおろそかになり、むし歯や歯周病になってしまうこともあります。まずは刺激物を避け、丁寧に歯みがきを行いましょう。
熱い物で歯がしみる場合は、冷たい物でしみる時よりも、症状が進んでいる可能性が高くなります。なるべく早く、歯科医院に相談しましょう。
熱い飲み物がしみるようになったら要注意。
歯の治療は遅くなればなるほど削る量が増え、時間もお金もかかるだけでなく、歯を失う可能性が高くなります。
はじめはしみるだけだったのに、痛むようになった。痛みがひどくなってきた。知覚過敏用のハミガキを使っても全然効果が出ない。そんな時には、すぐに歯科医院で診断・治療をしてもらいましょう。
取材・記事 クラブサンスター編集部