コラム
2022/08/18

歯の付け根はどうみがく?歯間ブラシやデンタルリンスの使い分け、舌みがきの方法、口内炎の時のみがき方【会員さんの悩みに答えます!】

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会員さんからお悩み質問BOXに寄せられた質問にお答えします。今回は、歯みがきにまつわる疑問に、サンスター財団の歯科衛生士の金子さんにお答えいただきました。

監修者プロフィール

 
金子真希(かねこ まき)
一般財団法人サンスター財団所属の歯科衛生士。企業歯科健診、成人セミナー、小中学校・幼稚園への歯科保健事業に携わっている。

歯の付け根のみがき方、どうすればしっかりみがける?

「先日歯医者の定期健診で歯の付け根のみがき方が全般的に弱いと指摘されました。年齢と共に歯ぐきも下がるので歯垢が溜まりやすいようですが、みがき方を教えてください」(70代・女性)

歯周病やむし歯予防には、歯の付け根をしっかりみがくことが大切ですね。おっしゃる通り、歯ぐきが下がってくるとみがかないといけない部分が増える傾向にありますので、意識的なケアを心掛けましょう。

歯の周りのみがき方

まず、みがき方ですが、歯に対してハブラシを直角に当てて(スクラビング法:上図)、優しく小刻みにみがきます。バス法という歯と歯ぐきの境目に毛先を当てるみがき方もありますが、質問者さまのように歯ぐきが下がってきている場合は歯ぐきを傷つけて退縮を進めてしまう恐れもあるため、スクラビング法をおすすめします。歯をみがいた後にその部分を舌で触ってみて、ツルっとしていたら、しっかりみがけているサインです。

ブラッシング圧

汚れを落としたいからと、ゴシゴシ力を入れてみがくのはNG。できるだけ、ハブラシの毛先が広がらないよう歯に軽くあてる程度の圧でみがいてください。それぐらいの圧でもプラーク(歯垢)はしっかり落ちます。

歯みがきの基本

握り方は2種類ありますが、ついつい力が入りがちな方は、鉛筆持ちするペングリップタイプがおすすめです。歯ぐきが下がると、歯と歯の間の隙間も大きくなるので、上記のみがき方に加えて、歯間ブラシを利用するのもいいでしょう。

歯みがきと、歯間ブラシやデンタルフロスは併用した方がいい?

「歯みがきの時、歯間ブラシやデンタルフロスは併用した方がさらにいいですか?」(50代・女性)

はい、できれば毎日1回は歯間ブラシやフロスを使って歯と歯の間のケアはしてもらいたいです。というのも、ハブラシだけでは歯と歯の間の汚れは60%程度しか落とせないためです。ハブラシだけでなく、歯と歯の間の隙間の大きさにあわせてデンタルフロスや歯間ブラシを選びお手入れしましょう。

「デンタルフロス」は隙間が狭い部分、「歯間ブラシ」は隙間が広い部分と使い分けることができます。50代以上の方になると、歯と歯の隙間が徐々に広がっていくことから「歯間ブラシ」を利用される方が増える傾向にあります。

「デンタルフロス」を挿入する時は、歯ぐきに当たって傷つけないように、きつい部分をスライドさせながら糸を挿入するよう気を付けます。挿入したら、歯の側面にしっかり糸を沿わせて、プラーク(歯垢)をかき出しましょう。
「歯間ブラシ」には歯と歯の隙間の大きさよりも少し細いものを選んで利用します。歯間ブラシは歯ぐきを傷つけないよう図のように歯ぐき側から歯の先に向かってやや斜めに挿入し、そのまま抜かずに3~5往復させてしっかり前後の歯の側面をみがくようにしましょう。少し斜めに挿入することで歯ぐきへの突き刺しを予防することができますよ。自分にあったサイズがわからない時は、一番サイズの細いものからはじめてみてください。太すぎる歯間ブラシを無理に入れないよう注意が必要です。

歯間ブラシ・ソフトピックの使い方

デンタルフロスやゴムでできている歯間ブラシは使い切りですが、ワイヤータイプの歯間ブラシは繰り返し使えます。使い終わったら、都度、水で洗って、風通しのよいところで保管します。毛先が痛んできたら交換のサイン。だいたい週1回が交換の目安です。

歯間ブラシのお手入れ方法

フロスを勢いよく挿入してしまったり、歯間ブラシのサイズがあっていないなど正しい使い方ができていない場合は歯ぐきから出血がみられることがあるので注意が必要です。
さらに気を付けたいのは、正しい使い方をしているはずなのに、歯ぐきから出血するというケース。そのような時は、歯周病になっている可能性があります。見分け方が難しいので、歯科医師に相談していただき歯周病による出血が疑われる方は、より積極的に歯間清掃を続けてもらいたいなと思います。定期的な歯科受診とセルフケアをあわせて行うことが、健康なお口を保つことにつながります。

デンタルリンスと歯みがきペースト、どう使い分ければいいの?

「デンタルリンスと歯みがきペーストの使い分け方について知りたいです」(60代・女性)

たしかに、デンタルリンスと歯みがきペーストの使い分け知っているようで、意外と知らない方多いかもしれません。ご質問ありがとうございます。

一般的に、「デンタルリンス」と呼ばれるものには、使用方法によって「液体ハミガキ」と「洗口液」のふたつのタイプがあるのはご存じでしょうか。

■液体ハミガキ…適量をお口に含み、ブラッシングをする、あるいは適量をお口に含み吐き出した後、ブラッシングをすることにより、口臭、むし歯の予防に加え、歯周病などの口腔疾患の予防をするもの

■洗口液…ハブラシを使わずに、適量、お口に含んですすぐことにより、主に口臭の防止やお口の中の浄化をするもの

(出典:日本歯磨工業会

商品には、パッケージに「液体ハミガキ」、「洗口液」と明記され区別できますので、確認してみてくださいね。

液体ハミガキは、知覚過敏がある方や、丁寧にブラッシングを行いたい方におすすめです。清掃剤が入っていないので優しくみがくことができますし、ブクブクと泡立つ発泡剤が入っていないので、泡を気にすることなく、長くブラッシングできるのが、液体ハミガキの良いところです。また、お口をゆすぐだけで、薬用成分がお口の隅々まで行き渡りやすいのも液体ハミガキのメリットです。歯みがき剤なので、もちろん毎日使って構いません。

着色汚れが気になる方は、ペーストタイプを使うのがおすすめです。ペーストタイプには、着色を落とす清掃剤が入っているのに対し、液体には清掃剤が入っていないためです。

洗口液は、夜寝る直前に使うのがおすすめ。寝ている間に増える菌を抑えることができ、翌朝のお口のネバつきや口臭を予防できます。お口の臭いが気になる時や、歯みがきができないタイミングに洗口液を使うのもいいですね。ただ、注意したいのは、洗口液だけでは、プラーク(歯垢)を落とせるわけではないこと。日々のブラッシングの変わりになるわけではないので、洗口液を使っているからといって、毎日の歯みがきを疎かにしないようにしましょう。

参考コラム>>
液体ハミガキと洗口液(マウスウォッシュ)って違うの?G・U・Mシリーズ徹底比較

舌みがきの方法は?毎日やってもいいもの?

「舌みがきの方法を教えてください」(50代・男性)

「朝起きると、舌が白くなってることがあります。胃の調子が悪い時、疲れが残っている時、口呼吸してたといわれた時など…。舌ブラシを使った方がいいでしょうか?使う時の注意点なども教えてください」(60代・女性)

舌みがきのご質問ありがとうございます。みなさんは、「舌苔」という言葉は聞いたことありますか。白っぽかったり黄色っぽい汚れが「舌苔」です。「舌苔」は、お口の粘膜からはがれた古い表皮や細菌が集まってできたもの。お口の清掃状態が悪かったり、お口が乾燥していると舌苔は溜まりやすくなります。舌みがきは、毎日ではなく、この舌苔がついている時にケアすれば大丈夫。舌をお手入れするための「舌ブラシ」を使用すると良いでしょう。舌ブラシは柄の部分が長く、奥までブラシを入れやすく柔らかい毛先のものを選ぶのがポイントです。みがき方は、舌をベ~っと前に出して、舌の奥から手前へ優しくなでるように落としましょう。歯みがきペーストを使うのはNGです。

舌の汚れのおそうじ方法

嘔吐反射を避けるためにも、鏡を見てお口から舌を出した状態でみがきましょう。汚れを落としたいからといってゴシゴシみがくのは避けてください。舌を傷つけて、かえって汚れが付きやすくなる恐れがあります。

質問者さまがおっしゃる通り、朝起きた時というのは、舌苔がたまっていやすいタイミングです。睡眠中は唾液の分泌が減ってお口が乾燥しやすくなっているためです。頑固に舌苔が付いている場合は、舌みがきだけでなく、日中、お口を潤すことも意識しましょう。そして、無理に1回で落とそうとしなくても大丈夫です!舌苔は、食事で自然と取れたりもします。数日かけて徐々にケアすれば、キレイに落とすことができます。

また、お口のねばつきが気になる時などは、洗口液を使ったり、唾液腺マッサージで唾液を分泌させるのも、舌の健康を保つためのポイントです。

「唾液線マッサージ」の方法はこちら>>
唾液には、サラサラとネバネバの2種類があった!

口内炎の時、歯みがきはどうやるのが正解?

「口内炎ができていて、歯みがきすると痛みを感じる時の歯みがき方法が知りたいです。」(40代・女性)

口内炎があると、確かに、歯みがきは苦痛ですよね。でも、その口内炎を治すにあたってお口の清潔を保つこともとても大切です。

まずはヘッドが小さく、柔らかい毛先のハブラシで、口内炎に当たらないようにみがいてください。口内炎の痛みが強い時には、刺激の強いペーストなどは避けるようにしましょう。刺激の少ないノンアルコールタイプの液体ハミガキにかえるのもひとつの手です。口内炎周辺の強い痛みを感じる部位については、毛先が口内炎に直接当たらないように毛束がひとつになっているタフトブラシを使って、お手入れするのもおすすめです。

痛みがあるとハミガキも苦痛になってしまうものですが、ここでご紹介したみがき方が少しでもお役に立てますように。

正しい歯みがきの方法を動画でチェック!

ここまでみなさんのお悩みの回答の中で説明したものもありますが、「ハブラシ」「デンタルフロス」「歯間ブラシ」の使い方は動画でも説明していますので、より詳しく正しい使い方を知りたい方は、こちらのコラムも参考にしてみてくださいね。

関連コラム>>
こちら歯みがき情報局

取材・記事 清水美奈

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