ふと鏡を覗いたとき、しわやたるみが気になる…そんな瞬間はありませんか?
こうした口元のお悩みにアプローチできるのが「歯ぐきマッサージ」。歯ぐきをやさしく刺激することで、口元のお悩みを緩和してくれます。さらに肩こりや鼻詰まりなど、口元以外のさまざまなお悩みにもうれしい効果が…!
指1本で今日からできる簡単メソッドを、歯科医の小川恵子先生に教えてもらいました。
監修者プロフィール
今回お話を聞いたのは、歯科医師であり、歯ぐきマッサージの第一人者である小川恵子先生。
これまで多くの患者さんと向き合ってきた小川先生は、どんな方にもぜひ「歯ぐきマッサージ」を知っておいてほしいと話します。
「当初はリラクゼーション効果を期待して歯ぐきマッサージの施術を始めたのですが、施術後に、単に気持ちよかったというだけでなく、『肩こりがなくなった』『熟睡できるようになった』『小顔効果があった』…といった報告をしてくれる方が増えて。カラダのさまざまな悩みを歯ぐきマッサージで解消できたらおもしろいなと、独自に研究を重ねました。」
「お口周りの悩み」として多いのは、フェイスラインのしぼみ・たるみ、二重顎など。また、「お口の中の悩み」には、歯ぐきの腫れや色味、歯ぐきがやせて下がってきたという相談が多いのだとか。
「実はこれらのお悩みが、歯ぐきのマッサージで緩和・改善できることも多いんです。普段から、歯ぐきはきれいなピンク色かどうか、腫れや出血などはないかなど、お口のセルフチェックを意識しながら、歯ぐきをマッサージする習慣を取り入れておくことをおすすめしています。」(小川先生・以下同)
それでは、実際に歯ぐきマッサージにはどのような効果が期待できるのか、詳しくみていきましょう。
【効果①】小顔につながる!リフトアップ効果にも期待
小顔を妨げる要因のひとつ「むくみ」の対策として、歯ぐきをマッサージしてあげることは有効です。
「現代人はストレスやスマホ・PCの影響などでカラダに余計な力がかかり、猫背になりがち。結果、口のなかもつぶれて狭くなり、むくみにつながってしまいます。
歯ぐきマッサージで顔の緊張をほぐして縮こまった筋肉を広げ、めぐりをよくすることで、リフトアップや、エラ張り・二重顎の改善、口角をあげる効果も期待できます。習慣化することで小顔にも近づき、いいことづくめですよ!」
【効果②】ツボを刺激して全身のさまざまなお悩みを緩和
歯ぐきのマッサージをすることで、血行がよくなって歯ぐき自体がひきしまるのはもちろん、カラダのさまざまなお悩み緩和も期待できます。
「実は歯ぐきには、足ツボや耳ツボと同じようにさまざまな“ツボ”が存在するんです。例えばいちばん奥は肩こりのツボ、前歯の方には泌尿器系のツボがあります。
泌尿器系のツボはむくみ解消におすすめ。花粉症の季節には、鼻や呼吸器のツボをマッサージすると、鼻詰まりがスッキリすることも。
歯ぐきマッサージは、皮膚ではなく粘膜に直接触れて行います。粘膜はとても敏感。だからこそ、刺激を感じやすく、全身のあらゆるお悩みへのアプローチを期待できるということなんです。」
【効果③】睡眠の質が向上することも
歯ぐきマッサージは、実は睡眠とも深い関係があります。
「1日の終わりに歯ぐきマッサージをすることで、顔だけでなくカラダ全体を脱力した状態で眠りにつくことができます。お風呂に浸かりながら、だらんと力を抜いて行うのもおすすめ。
寝る前に全身の力を抜くことで、歯ぎしり・食いしばりが解消されたという声も多いです。歯ぎしりって、“寝ているあいだに筋トレしっぱなし”というくらい、すごく力が入っている状態なんです。歯ぐきマッサージでカラダの力を抜き、深く眠ることで、翌朝のスッキリ感が段違いになった、という声もあります。」
歯ぐきマッサージのうれしい効果がわかったところで、早速やり方を覚えていきましょう!
1日に何度もやる必要はありません。1日1回、「寝る前にお風呂のなかで」が、はじめての方にも取り入れやすくおすすめです。
マッサージの前にはきちんと歯磨きをして、口のなかをきれいにしておきましょう。
フロスやマウスウォッシュなどを使う場合も、マッサージ前に済ませておきます。指を直接口の中に入れるので、手をきれいに洗っておくのも忘れずに。
特に道具は必要ありませんが、摩擦が気になる場合は口腔ケア用のジェルを使うのもおすすめです。
STEP1: まずは準備運動。顔をグー・パーでエクササイズ
目と口を閉じて「グー」と顔を中央に寄せる→開いて「パー」と大きく広げる。この動作を何回か繰り返します。表情筋を大きく動かして、顔の血行を促進しましょう。
STEP2: 歯ぐきを4分割するイメージで、順番にマッサージ
人差し指の腹のカーブした部分を直接歯ぐきにあて、指先がうまくフィットする場所を押していきます。やさしく、骨に対して垂直に力を入れましょう。しっかりと指圧するというよりも、トロンと脱力しながら行うのが基本です。デリケートな口の中を傷つけないために、絶対に爪を立てないよう注意!もし痛みを感じた場合は、力加減など見直すと良いでしょう。歯ぐきを上下左右に4分割し、右上→右下→左上→左下と、順番に刺激していきます。
軽く押したり、くるくるとちいさく円を描いたりするイメージで指を動かします。このとき、右側の歯ぐきは左手で、左側の歯ぐきは右手で行うのがポイント。
「左右を入れ替えることで、顔に余計な力がかかってシワの原因になるのを防ぎます。指がいい感じにフィットするくぼみを狙って、刺激していきましょう。具体的に効かせたいツボがある方は、先ほど紹介したツボ表を参考にして、重点的にマッサージしてみてください。」
STEP3: 仕上げの顔ストレッチ
歯ぐきを一通り刺激したら、親指で頬を内側から伸ばして完了!このときも、右頬は左手で、左頬は右手で行います。
舌の周囲に歯の跡がつきやすいと感じる人は、食いしばりなど、余計な力が入っている可能性が。筋肉をほぐしてあげるために、ベーっと舌を出す動きも取り入れてあげるとよいでしょう。
また、マッサージ後は血行がよくなるため、水をこまめに飲むよう心がけましょう。体内の循環がスムーズになった状態で水分を摂ることにより、老廃物の排泄を促す作用が期待できます。
【体験レポート】編集部も実際にやってみました!
お風呂の中で今日からできる簡単ケア。編集部も実際にやってみましたが、特別な道具やテクニックも不要で、本当に気軽にできました。奥歯のあたりにある肩こりのツボを押すと「痛気持ちいい」感覚があり、重点的にマッサージしてみると首や肩がすっきり。マッサージ後は顔周りがぽかぽかとして、リラックスした気持ちで眠りにつくことができました。何日か続けてみると、寝起きの顔が明らかにスッキリしている…!これは今後も毎日続けたいところ。職業病の肩こりを解消しつつ、憧れの小顔を目指したいです。
口は食事、呼吸、会話まで行う人間の『原点』のようなもの。
「口の健康は、カラダのすべてにつながるものだと思っています。けれども、日本人にとって歯医者は『痛くなってから行く場所』という認識が強い。歯は一度むし歯や歯周病になると、元の状態に戻すのは難しいです。だからこそ、日頃から先手のケアを意識することが重要なんです。お口周りを大切にする、ひいては自分のカラダを大切にするために、歯ぐきマッサージが最初のきっかけになってほしいなと考えています。」
みなさんも毎日の健康のために、歯ぐきマッサージを習慣化してはいかがでしょうか。今日からできる簡単メソッド、ぜひはじめてみてください!
取材・文:徳永留依子