今回は、第76回米国糖尿病学会でも発表された食事スタイルに関するニュースをお届けします。
ハーバード公衆衛生大学院栄養学部の研究チームは、「看護師健康研究」(1984~2012年)や「看護師健康研究2」(1991~2011年)に参加した女性と、「医療者追跡研究」(1986~2010年)に参加した男性の全20万人以上の20年以上にわたる追跡データを解析し、「植物性食品中心の食事スタイル」と糖尿病発症との関連を調べました。
その結果、野菜、果物、精製されていない全粒粉、大豆、豆類、ナッツ類などの植物性食品を多く摂り、赤身肉や加工肉などの動物性食品をあまり摂らない食事スタイルを続けていたグループは、2型糖尿病の発症リスクが20年間で20%低下していることがわかりました。また、健康的な食事スタイルを続けることで、糖尿病リスクは最大で34%低下することも判明しました。
その一方で、白米や白パンなどの精製された穀類、ジャガイモなどの高炭水化物の食品、砂糖や果糖などの多い清涼飲料やお菓子などを多く摂取する食事スタイルを続けたグループは、糖尿病リスクが16%上昇しました。
これらの結果から、ハーバード公衆衛生大学院病態栄養学のフランク フー教授は「本研究によって、植物性の食事を摂る食事スタイルは、遵守度が中程度であった場合でも、2型糖尿病の予防において重要な役割を果たすことが明らかになった。糖尿病などの慢性疾患を予防するためにどんな食事を推奨したらよいか、明確なエビデンスを示すことができた。」と述べています。
また、植物性食品を中心とする食事には、以下のようなメリットがあります。
・食物繊維や抗酸化物質、不飽和脂肪酸などの体に良い栄養素を多く摂取することができ、マグネシウムなどの微量栄養素も摂れる。
・ビフィズス菌や乳酸菌などの腸内細菌が増え、腸内フローラが改善する可能性がある。腸内フローラが改善すると、肥満やメタボリックシンドローム、糖尿病、アレルギーなどの免疫疾患の改善につながる。
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ただし、今回の研究は長期間に及ぶものであるうえ、食事については自己申告制であったため、誤差が含まれる可能性があり、他の集団でも調査を行う必要があると指摘されていますが、20万人以上を20年以上追跡した大規模な研究結果は今後の糖尿病治療に役立つのではないでしょうか。
※引用元:糖尿病ネットワーク
「植物性食品」が中心の食事スタイルが糖尿病リスクを減少させる - 2016年06月28日
http://www.dm-net.co.jp/calendar/2016/025642.php
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