今回は、大規模追跡調査で明らかになった油のおきかえについて、こんな記事をご紹介します。
みなさんは、普段どのようなものから油を摂っていますか?また、摂るものを意識していますか?
今回ご紹介するニュースは、アメリカで実施された、12万人以上を約30年間追跡調査したデータを解析した研究です。研究の詳細の前に、脂肪酸について整理しましょう。
脂肪酸とは、三大栄養素の1つである脂質の主な成分であり、脂肪酸は、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられます。さらに不飽和脂肪酸は、構造によって一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸やシス脂肪酸とトランス脂肪酸にわけられます。飽和脂肪酸にはパルミチン酸やステアリン酸などがあり、特に肉や乳製品に多く含まれています。
調査では、食事、生活習慣、健康状態が2~4年おきに調べられており、研究チームは、このデータから取得した脂肪酸の種類と総死亡率、および心血管系疾患、がん、神経変性性疾患、呼吸器疾患による死亡率との関係を解析しました。
研究の結果、以下のことが明らかになりました。
・トランス脂肪酸の摂取量が2%増えると、死亡リスクは16%高まる
・飽和脂肪酸の摂取量が5%増えると、死亡リスクは8%高まる
(同じカロリーの炭水化物摂取時と比べて)
・不飽和脂肪酸を摂取すると、総死亡リスクは11~19%低下する
(同じ量の炭水化物摂取時と比べて)
・植物性食品に多く含まれるオメガ6脂肪酸や、魚や大豆に多く含まれるオメガ3脂肪酸は、多価不飽和脂肪酸の中でも特に死亡リスクを低下させる
主任研究者のフウ教授は、「飽和脂肪酸やトランス脂肪酸を不飽和脂肪酸(シス脂肪酸)に置き換えると、明らかに体に良い」と説明しています。
また、ハーバード公衆衛生大学院栄養・疫学部のドン ワング氏は「この研究で赤身肉、ラード、バターなどに含まれる飽和脂肪酸を、植物由来のオリーブ油、キャノーラ油、大豆油、ナッツ類ような不飽和脂肪酸に置き換えることで、健康上の大きな恩恵が得られることが確かめられました」と述べています。
ハーバード公衆衛生大学院は、体に良い脂肪の摂り方を以下のようにまとめています。
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●肉の脂肪に含まれる飽和脂肪酸の摂取基準は10%以下
赤身肉、ラード、バターなどの脂肪には飽和脂肪酸が多く含まれていますが、飽和脂肪酸には、動脈硬化を進めるLDLコレステロールを増やす作用があります。「米国人のための食事ガイドライン2015~2020年版」では、この飽和脂肪酸を、総摂取エネルギーの10%以下にすることを推奨しています。
●植物性食品を多く摂れば糖尿病リスクを下げられる
野菜、果物、全粒粉、大豆、ナッツ類などの植物性食品を多く摂ると、2型糖尿病の発症リスクを減らすことができます。
●魚の不飽和脂肪酸であるEPAは心臓病のリスクを下げる
魚、特にイワシ、サバ、サンマといった青魚には不飽和脂肪酸がたくさん含まれており、不飽和脂肪酸には、LDLコレステロールは上げず、中性脂肪を下げる作用があります。
●トランス脂肪酸は心臓病のリスクを高める
油脂を加工・精製する工程でできるトランス脂肪酸は、マーガリン、ショートニングや、それらを原材料にしたパン、ケーキ、ドーナツなどの洋菓子や揚げ物などに含まれます。トランス脂肪酸を摂り過ぎると、LDLコレステロールが増え、HDLコレステロールが減ることが報告されており、心臓病のリスクを高める可能性があります。
●内臓脂肪型肥満に注意!心臓病や脳卒中のリスクが上昇
飽和脂肪酸を摂り過ぎると、内臓脂肪型肥満になり、動脈硬化が進行しやすくなることがわかっています。
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「飽和脂肪酸を不飽和脂肪酸に置き換えると、死亡リスクを下げられます。不飽和脂肪酸を摂ることで、心血管疾患、がん、神経変性性疾患、呼吸器疾患による死亡リスクも低下することが示されました」とも、ワング氏は言っています。不飽和脂肪酸だからといって、どれだけ摂ってもいいのではないので、その点はご注意くださいね。
何かをやめたり、我慢することは難しいですが、「おきかえ」ならできそうではないでしょうか?先日の「うまくつきあう」おきかえセットモニター企画でも、無理なくおきかえることが出来たというレポートを、数多くいただいています。
今回の飽和脂肪酸のリスクについては「おいしいクリスマスディナーも、食べ過ぎには要注意☆バターや肉の代わりに、おすすめしたい食材をご紹介♪」という記事でもご紹介していますが、トランス脂肪酸や飽和脂肪酸を控えようと思ったら、動物由来の油を植物由来の油におきかえることから無理なく取り組んでみてはいかがでしょうか。
※引用元:糖尿病ネットワーク
長生きの秘訣は「不飽和脂肪酸」 植物油をいかせば寿命を延ばせる - 2016年07月15日
http://www.dm-net.co.jp/calendar/2016/025702.php
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