今回は「脂肪肝」について、こんな記事をご紹介いたします。
みなさんは、健康診断などで、「脂肪肝」を指摘されたことはありませんか?また、注意を受けたことがある方は、改善のための対策をとっていますか?
肝臓は、膵臓とともに「沈黙の臓器」と呼ばれているように、痛みなどの症状が出ることはあまりなく、異常に気づいたときには、病気がかなり進行している場合もあります。
脂肪肝を放っておくと、肝臓の機能悪化や、肝硬変などの深刻な病気に進展し、動脈硬化が進行しやすくなります。糖尿病の方では、脂肪肝は糖尿病を悪化させる原因にもなります。そのため、脂肪肝に早めに気づき、対策をとる必要があります。
脂肪肝とは、食べ過ぎや運動不足によって余った糖質や脂質が中性脂肪に変わり、たまった脂肪が、肝臓全体の30%以上を占めるようになった状態をいいます。
日本人では、軽度の脂肪肝は、見た目が痩せている人にも見られ、体重が2~3kg増えただけでも、肝臓に脂肪がたまる可能性があります。
日本人間ドック学会が2016年に発表した「全国集計結果」によると、人間ドックを受診した人の33.2%(男性40.2%、女性22.8%)に「肝機能異常」がみられました。この数値は、「高コレステロール」(33.4%)に続いて多く、さらに20年前と比較すると10.5%上昇しています。
インスリンは、肝臓や骨格筋に作用して血糖値を下げる働きがありますが、作用する肝臓や骨格筋に脂肪が蓄積すると、全身にインスリンが効きにくくなる「インスリン抵抗性」が生じます。
このインスリン抵抗性は、肥満とは関係なく生じ、高血糖や高インスリン血症になりやすくなります。
つまり、脂肪肝があると、狭心症や心筋梗塞など心疾患の合併率が上昇し、さらにインスリン抵抗性が進行しやすくなってしまいます。
では、脂肪肝はどのように予防・改善すればよいのでしょうか。
筑波大学の研究によって、ウォーキングなどの運動を1日に30分以上続けると脂肪肝が改善することが明らかになっています。
研究によると、ウォーキングなどの有酸素運動を3ヵ月間続けると脂肪肝が改善することが確認できました。また、「中高強度の運動」を週に250分以上行うと、効果的な運動量であることがわかりました。
肝臓などにたまった脂肪は遊離脂肪酸として放出され、運動のエネルギー源になります。この遊離脂肪酸は、運動を開始して約10分後からエネルギー源として使用されるため、脂肪を燃焼させるためには、ある程度の時間運動を続ける必要があります。
他にも、運動を続けることで、
・「HDLコレステロール」が増加
・動脈硬化を防いだり、インスリンの働きを高める「アディポネクチン」が増加
・酸化ストレスから体を守る仕組みの促進
などの効果があることもわかりました。
LDLコレステロール値が上昇する原因の1つが脂肪肝です。LDLコレステロールの大半は肝臓で作られ、血中濃度が高くなると動脈硬化が進行し、心疾患や脳卒中のリスクを高めます。
岐阜大学は、そんな悪玉の「LDLコレステロール」の血中濃度を下げるために、毎日緑茶を飲むことが効果的である、という研究を発表しました。
緑茶に含まれるカテキンには抗酸化作用があります。この研究では、カテキンが悪玉のLDLコレステロールを肝臓に取り込み、分解や排泄する働きを助け、血中濃度を下げる働きをすることを明らかにしました。
飲酒習慣も脂肪肝の発症につながる要因の1つです。飲酒が関係する脂肪肝は「アルコール性脂肪肝」と呼ばれています。
飲酒により、体内に入ったアルコールのほとんどは肝臓で解毒され、体外へ排出されますが、解毒過程で肝臓の働きに異常が生じ、肝臓中に脂肪が増えてたまっていくのが「アルコール性脂肪肝」です。
飲み過ぎは体に悪影響です。肝硬変になる前にお酒を控えることや、適切な飲酒量を知ることが重要です。
アルコールが原因でない脂肪肝は「非アルコール性脂肪肝」と呼ばれています。
原因としては、肥満や2型糖尿病、脂質異常症などが挙げられます。この状態では、インスリンの働きがにぶくなっているため、肝臓に脂肪がたまりやすく、脂肪肝になりやすいといえます。
以前は、非アルコール性脂肪肝は、放置しても肝硬変や肝がんに進むことはない、とみられていました。しかし、なかには放置すると進行して「非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)」になり、肝硬変や肝がんに進行するものがあることがわかっています。
目立った症状がないため見過ごされやすいですが、早期の発見と治療が重要です。
また、脂肪肝になるリスクと「酔いやすさ」が関係していることが、熊本大学の研究で明らかになっています。お酒に酔いやすい人は、たとえ飲酒をしなくても「非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)」を発症するリスクが、酔いにくい人の約2倍高いのだそう。
ご紹介してきたように、健康的な生活を送ることで脂肪肝を改善できることがさまざまな研究で確かめられています。他にも標準的な体重を維持すること、標準体重を目指すことも重要なのだそう。
脂肪肝を予防するためにも、健康的な生活を心がけたいと思うたまきでした。
※引用元:糖尿病ネットワーク
危険な「脂肪肝」は3つの方法で改善できる 肥満でない人も要注意 - 2017年04月19日
http://www.dm-net.co.jp/calendar/2017/026793.php
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