今回は「朝食を食べる重要性」について、こんな記事をご紹介いたします。
みなさんは毎日朝食を食べていますか?朝は忙しくて、ついつい朝食を抜いてしまいがち…という人は要注意です!
朝食を抜く習慣のある人は、朝食をしっかり食べる習慣のある人に比べ、動脈硬化を発症する可能性が2倍に高まるという研究結果が発表されました。
朝食と動脈硬化には、どのような関係があるのでしょうか?
朝食は、1日のエネルギー摂取量、代謝効率、満腹感の得やすさ、食欲の調節などに関わります。さらに、それらに加えて、朝食を食べることが「心臓血管の健康」にも大きく影響していることもわかっています。
これまでの研究で、朝食を抜くと心臓病の危険因子となる、
・肥満
・2型糖尿病
・高コレステロール血症
などの危険性が高まることが明らかになっています。
そして今回、米国のマウントサイナイ病院などの研究チームは、朝食を抜くことで動脈硬化が進行しやすくなるのではないかと考え、次のような調査を行いました。
研究チームは、スペイン在住の心臓病の既往歴がない成人4,052人を対象に、食事に関するアンケートを実施し、1日の総エネルギー摂取量のうち朝食が占めるエネルギーの割合によって、朝食の摂取パターンを以下の3つに分類しました。
(1) 朝食抜き派: 朝食で1日のエネルギーの5%未満を摂る
(2) 朝食軽め派: 朝食で1日のエネルギーの5~20%を摂る
(3) 朝食重視派: 朝食で1日のエネルギーの20%以上を摂る
研究に参加した4,052人のうち、「朝食抜き派」は2.9%、「朝食軽め派」は69.4%、「朝食重視派」は27.7%でした。
また、それぞれの食事の内容をみると、「朝食抜き派」は、ほとんどがコーヒーやジュースのみであり、朝食にかける時間はわずか5分程度。
「朝食軽め派」は、コーヒーやオレンジジュース、フルーツ、トースト、全粒粉のクッキー、ペストリーなどを。「朝食重視派」は、さらにトマト、ハム、シリアルなどを食べていました。
動脈硬化には、「アテローム性動脈硬化症」と「石灰化」の2つのタイプがあります。「アテローム性動脈硬化症」では、血管の内膜にコレステロールや脂肪が沈着物(プラーク)として溜まり、血液の通り道を狭くすることで血流が悪化します。
もう1つは、血管の中膜の部分にカルシウムが沈着して血管が硬くなる「石灰化」と呼ばれるタイプです。血管の石灰化が進行すると、血管が伸び縮みしにくくなり、血流によるダメージを受けやすくなります。
研究の結果、「朝食抜き派」は「朝食重視派」に比べ、頸動脈で21%、腹部大動脈で17%、それぞれ動脈硬化が進行していることが明らかになりました。
また「朝食抜き派」では、アテローム性動脈硬化症の中の非冠動脈性動脈硬化症のリスクが1.55倍に、全身性動脈硬化症のリスクが2.57倍に、それぞれ上昇していました。
さらに、腹囲周囲径、体格指数、血圧、コレステロール値など、アテローム性動脈硬化症の危険因子となる検査値も、「朝食抜き派」において高い傾向が示されました。
朝食を抜く習慣は、症状や病気が現れる前の段階である「無症候性動脈硬化症」に、大きく関わることが明らかになりました。
そして、朝食を抜く習慣のある人は、過体重や肥満になりやすいだけでなく、食事の時間が不規則になりがち/アルコールを多く摂取している/喫煙習慣があるなど、生活スタイルが不健康である傾向にあることも分かりました。
体重を減らすために朝食を抜いている人も多くみられました。しかし、朝食を抜くことで、昼食以降にエネルギーを摂り過ぎてしまい、1日の摂取エネルギーは変わらないか、むしろ多くなるケースもありました。
一方で、食事を規則正しく摂っている人は、1日の摂取エネルギーが安定し、運動量も多く、喫煙率が低く、より健康的な生活をしている傾向も示されました。
研究に関わったスペイン心血管研究センター(CNIC)のヴァレンティン フスターター氏は、「体重を減らしたり、メタボを解消したいと考え、朝食を食べなかったり、3食を2食や1食に減らすことを考える人は多いですが、そうした食事スタイルが逆に肥満やメタボ、2型糖尿病を誘引してしまうおそれがある」と話しています。
朝食を抜くと空腹感が強くなり、それを満たすために昼食や夕食で食べ過ぎてしまう、お菓子などの間食を摂り過ぎてしまうなどの傾向があります。みなさんの中にもそのような経験がある方がいらっしゃるのではないでしょうか?
1日の栄養素のバランスを考えて間食をとれれば理想的ですが、多くの場合は栄養バランスを乱す原因となってしまいます。
また、夕食から朝食までの間は、もっとも長い空腹時間です。昼食や夕食でより多くの食事を摂取すると、食後に血糖値が上昇しやすくなり、血糖を下げるためにインスリンも分泌され、肥満になりやすくなります。
1日の摂取エネルギーが変わらない場合でも、朝食を摂ることで、昼食後の血糖値を低く抑えられる効果(セカンドミール効果)を得られやすくなり、また食欲を増進させるホルモンの低下も期待できます。
毎日の朝食には、食物繊維の多い全粒粉のパンやごはん、脂肪の少ない肉類や植物性のタンパク質、そして野菜やフルーツなどを摂ることが推奨されています。
<メニュー例>
・糖分を加えていないお茶、コーヒー、水
・全粒粉のパン、玄米や雑穀を混ぜた米
・砂糖不使用で食物繊維が豊富なシリアル
・野菜
・魚、鶏肉、卵
・低脂肪の乳製品、ナッツ類、チーズ(小盛り)
・果物、糖分を加えていないプレーンヨーグルト
これらをバランス良く摂ることが大切です。
1日のリズムを作る体内時計は、朝起きて光を浴びた時に目から入る光の刺激でリセットされます。また光と同じように、食事をしてインスリンが分泌されることによっても体内時計がリセットされます。
眠りから活動に向かうリズムを整えるためにも、朝食は大切な存在です。毎日の元気のために、朝食をしっかりと摂っていきたいなと思うたまきでした。
※引用元:糖尿病ネットワーク
朝食を食べないと動脈硬化リスクが2倍に 糖尿病の人に朝食は大切 - 2017年11月09日
http://www.dm-net.co.jp/calendar/2017/027493.php
[日本医療・健康情報研究所] Copyright @ 2017 Soshinsha.